丑の刻参り
この夏、私は田舎に帰省している。今日はお祭りの帰り道だ。腕時計に目をやると夜中の1時50分だ。1人で歩く夜道は怖い。足元は懐中電灯でやっと見える。慣れない道の恐怖をひしひしと感じている。足を進めると神社の境内が見えた。私はラッキーだと思った。
麻衣(こっちの方が近道じゃん。境内通って早く家路に就こう。)
神社の敷地に入り、降りる階段に差し掛かるタイミングだった。カンカンカンと釘を打つ音が耳の中へ反響した。私は立ち止まりパニックになった。なぜなら、目の前には私を睨みつける白装束の男がいた。
麻衣(人を呪う儀式!?丑の刻参りだ!!)
男「見たなあああ?」
麻衣「きゃああああああああ!!!」
声にならない叫びを上げて私は逃げる。男は唸りながら、私を追いかけてくる。振り切って薄明かりの公園の女子トイレの1番奥の6つ目の個室に身を潜めた。ドクドクと流れる心臓の鼓動を抑えるように胸に手を当て息を殺す。
麻衣(助かった?いや、まだよね?)
足音が聞こえる。
男「1つ。」
ドアを開ける音が聞こえて私は青ざめる。
男「2つ。」
間違いない。この男はトイレの個室を1つずつ調べている。鍵をかけているとはいえ、1番奥まで来られたら終わりだ。
男「3つ。4つ。5つ。」
マズい。次だ。
麻衣(終わった…!)
男「ぎゃあっ!?」
外で男が悲鳴を上げた。恐る恐るドアを開けると、そこには男のものと思わしき肉片が散らばっていた。人を呪わば穴二つとはこういうことかもしれない。
麻衣「いやあああああ!!!」