春に咲く雨上がりのヒマワリ
2作目投稿です。
前回同様、語彙の拙さには目を瞑って下さるとありがたいです。
雨は好きだ。ザァザァと地面を打ちつける音は心を落ち着かせてくれる。
傘を差したり合羽を着るのを苦とは思わないし、濡れることをうざったるいと思わないし、交通に不便を感じてもそれが嫌いになる要因になることは無い。
少しでも長く雨の下にいる為に小降りでも雨が降れば自転車通学を徒歩に変える。傘に打ちつける雨音に耳を澄ませて登下校路を歩く。その時間が一番気楽だ。
何より、雨を感じることで退屈とさえ感じる高校生活を、その一日を洗い流してくれるような気がした。
今も黒塗りのカバンを右手に、深緑色の傘を左手にひとり歩道を歩いている。
“将来を考慮していい高校に入れ”という親の言葉のもと、そこそこの進学校に入学した。もともと周りより温度の低かった俺は満足な交友関係を築くこともなく気づけば1月も後半になっていた。
「1年ってはえーなぁー」
ポツリと呟いて車道へと視線を向ける。右から左、左から右へと行き交う車群を眺めているうちに、対岸に見える藤棚が目に入った。鉄の足の中腹から上は緑色で埋め尽くされている。
気づけば足を止めていた。
「あんなのあったんだ」
約1年この道を通り続けているが今までで気にも留まらなかった。
この時の俺の心情は、うまく言葉に表せない。多分休憩でもと考えたのだろう、俺は再び足を進めて対岸のその藤棚へと向かった。
バラバラと、雨脚は強くもならなければ弱くもならない。静かな鉛色の空に反して辺りは賑やかだ。
藤棚の下は不思議な程に濡れていない。歪な正方形の境界線がそこには引かれている。
……いや。少し訂正しよう。1箇所だけ濡れている場所がある。そこには今も尚雨粒がポツポツと滴り落ちている。
ベンチに少女がひとり座っていた。
少し長めのボブカットの黒髪には朝露のように雫が所々に光って見える。前髪で隠れて表情は窺えない。身に纏う制服は見覚えのある、かつて通っていた中学のものだ。ただその少女は……ぐしょ濡れだ。冬服だから透けることはないものの肌にへばりついてさぞかし気持ち悪いだろう。
雨が傘を打つ音に気がついたのか、少女はこちらへ顔を向け、そして一瞬だけ目を見開いた。
「誰かと思えば、坂崎センパイでしたか。なんでここにいるんでしょうか」
冷ややかな声が耳に届いた。
その言葉に思わず面食らった。少女は俺のことを知っているのだ。だが俺はこの子に思い当たる節がない。……誰だ?
「わかりませんか? そこそこの進学校に行った癖に記憶力がないんですね。それとも、私なんか記憶に残しておくまでもないんでしょうか」
俺に向けられる少女の言葉は攻撃的で尖っている。……ん? いや待てよ。この感じ、覚えがある。
何度も耳にしたことのある声。言葉にやたらと刺がある。そして何よりこの愛想のなさ。
「おまえ、日向か?」
「はいそうです。中学時代ずっとセンパイのお世話をしてあげていた日向葵です」
こいつはまた偉そうなことを……
「誰が世話をしてあげていただ。面倒見てやってたのはこっちだろ」
思い出した。こいつはこういうやつだ。超がつくほどの無愛想で口調が強く、それが災いして学年では孤立していた。
「そんな可哀想なやつを母親同士が同級生だった俺が面倒を見ていた。これが真実だ」
俺は傘を閉じ、日向の隣に腰掛ける。
「じゃあセンパイ。今友達何人います?」
「……」
唐突に問われた嫌な質問に思わず言葉を詰まらせる。
こちらを嘲笑うかのような瞳が見て取れる。こいつ笑わないくせに嘲笑だけは上手いんだな……
「ほぅら、私がいないとひとりもいないじゃないですか。オトモダチ」
「何も言ってないんだが?」
「いてもどうせ片手で足りるんでしょ?」
くっそッ。なんでこいつ的確なとこばかり突いてくんだよ。あと、俺がいつお前のオトモダチになった。
「お前、その性格まだ直ってなかったんだな」
「別に、治すも何も変える必要性がありません。私は私を通しているだけです。周りが私を拒否するなら結局はその程度ってことですよ」
そうだ。日向葵は自分の無愛想の程を自覚している。そしてそれが自分らしいと肯定している。
恐らく入学の頃から他者との接触を拒絶してきたのだろう。多分こいつが中学の2年間で対話という対話をしてきたのは俺くらいだろう。それ故に、俺が卒業したあとの1年間、周りに理解者はいなくなり完全に孤高の存在となった。
そう言えばあの頃のこいつって……
「お前、前まで髪括ってなかったか? 確かポニテだったよな」
「…………もしかして、センパイが私を分からなかったの、髪関係してます?」
おぅ、唐突にジト目だな。危ない一瞬怯んだ。
でも確かにこいつの印象ってポニテが強かったかもな。
「ああ、多分」
そう答えた瞬間、日向はプイッとそっぽを向いてしまった。
「忘れてるならもういいです」
そしてそう、ポツリと呟く。……忘れてる? 俺は何か忘れているのだろうか。
あぁそういえば、日向と言えばもうひとつ。
「まだヒマワリって呼ばれてんの?」
瞬間、凄まじい眼光が俺を射抜く。
「やめてください、それ。クラスの連中を思い出すんで」
怖いよ目、顔。恐い。
いやぁ〜。思ったより孤立具合半端ねェなぁ。
名前の順番を替えると向日葵になることから、ヒマワリと呼ばれることがしばしばあった。俺もかつて呼んだひとりだ。
日向曰く、一部のクラスメイトから“ひねくれヒマワリ”と影で囁かれているらしい。本人が知ってる時点で影じゃないが。しかしまぁ、ぴったりな渾名だが、ヒマワリにひねくれとはまた矛盾感が凄いな。
「ははは……でも、うちの母親は可愛いって言ってたぞ?」
「渾名自体馬鹿にされてる感じで嫌いなんですよ。渾名を愛称とはよく言ったものですね。なに、ひねくれヒマワリって。喧嘩売ってんだろ……」
最後の方の呟きの声音が恐い。お前こそマジで喧嘩売るなよ?
これ以上はダメだ。冷や汗がとまらん。
俺は腕時計に目をやる。なんだかんだで結構時間経ってるんだな。
「お前、まだ帰んないの?」
「はい。私はまだいます」
「そうか。ならこの傘使え。俺は寒いしそろそろ帰る」
「えっ?」
日向は驚いたような、不思議そうな目で俺を見る。
「寒いから早く家で温まりたいんだよ」
「いや……そうじゃなくて」
ん? そうじゃないって……あぁ、そっちか。
「お前濡れてるだろ。風邪ひかれても困る。それとも、相合傘でもするか?」
俺は少しいたずらに訊いてみる。すると日向は俯いて言葉を詰まらせた。今の日向はあからさまにたじろいでいる。
俺は溜め息をひとつついて俯いた日向の頭にポンと右手を乗せる。
「お前、学校の奴に見られるの気にしてんだろ?」
日向は驚いたように顔を上げ目をぱちくりさせている。さしずめ、「なんで」とでも言いたいんだろう。
こいつは無愛想であることとさらに、プライドもまた高い。そして学校では孤高の存在で通っているのだろう。そんな奴が『年上の男と一緒にいた、それも相合傘で』などと知られればプライドを傷つけられ、羞恥の念に駆られるだろう。
「俺はお前じゃないしお前の家族でもない。だからお前のことが分かるとは言わないが……少なくとも、学校の奴らよりもお前のことを理解しているつもりだ」
髪をすっと梳くように頭から手を離し、姿を空に晒したまま境界線を越える。その一歩手前。制服の袖を引かれる感覚。
「……?」
「……ナメないで下さい。そんなんで恥ずかしがるほど、ヤワじゃありませんっ」
明らかに強がっているのが顔に出ている。
そうだ。日向葵というのは愛想がなく、プライドの高い、負けず嫌いな女の子なのだ。
「それに、それで風邪をひかれたら嫌でも罪悪感が残るんで」
そして、たまに見せる気遣いは歪んでいて素直じゃない。
(ほんと、可愛くないヤツ……)
俺は心でそう呟き、またひとつ溜め息をついた。
日向から傘を受け取り、俺たちは土砂降りの中ひとつ傘の下、並んで歩いた。
*****
あの日以来、雨の日はあの藤棚で下校の際に落ち合うようになった。
これを予期していたかのように、この冬は例年より雨が多かった。梅雨や夏に少なかった反動だろうか。
今日2月14日の時点で10回以上は日向と会っている。この短期間で10日とは異例だろう。
「センパイ」
不意に、いつも通り隣に座っている日向が俺を呼んだ。顔は前を向いたまま「なんだ?」と短く答える。
「これあげます」
そう言って顔はそっぽを向いたまま手だけが伸びてくる。日向が手に持っているのはシンプルな包装紙に包まれた……形的に小箱だろうか?取り敢えず受け取っておく。
「なに? これ」
「勘違いしないでくださいね。義理も義理ですから。ギ・リ」
義理……? あぁ、今日はバレンタインか。すっかり忘れてた。だから男子共がやたらとソワソワしてたのか。
「ありがとう、と言っておく」
若干顔を引き攣らせて礼を言う。
包装紙を外すとまず目に入ってきたのは──税込 464円──そんな文字が書かれた白いシールだった。コノヤロウ、せめて値札外せよ……
「まぁ、こうして雨の日だけでも付き合ってもらってますし。ここで駄弁ってるだけでも教室にいるよりは気が楽なんで。そのお礼です」
「おまえ……」
おお! こいつが人に礼を言える奴だとは。
こいつの評価を少し改めようと思った……のだが、一拍後にはその考えを覆すことになる。
「良かったですねぇ、センパイ。可愛い後輩からチョコ貰えて。1個目ゲットじゃないですか」
あぁダメだ。やっぱり日向は日向だ。一切ブレねぇ。
「どの口で可愛い言ってんだ。ってか、なんで1個目って分かんだよ」
「そりゃあ、センパイのオトモダチ事情は知ってますから。どうせ仲の良い女子なんていないんでしょ?」
ちぃっ。合ってるから何も言えねぇ。俺が顔を歪ませると日向はめっちゃドヤ顔になった。しかし、その顔を正面に向けると間もなく、フッと笑みが消えた。
「さてセンパイ。今更ですが私は受験生です」
「ああ。そうだな」
「はい。なので少しでも沢山受験勉強しなければなりません」
御説ごもっともだ。
「そのため、明日から受験が終わるまで雨が降っても私はここに来ません」
「そうか」
日向は少し間を置いて再度口を開いた。
「なのでセンパイ。合格発表のある3月20日以降、最初に雨の降った日にまたここで会いましょう」
いいですかと、少し穏やかな口調で日向は言う。
「分かった。その時まで俺もここに来るのをやめよう。俺たちが次にここに来るのは合格発表のあと、最初に雨が降った日のいつもの時間だ」
俺たちは約束を交わした。指切りなんてしていない、けれども確かな約束を。
次に会うのは1ヶ月と少しあと。
それまで、こいつの合格祈願に勤しむとしよう。
*****
俺の生活に特に変化はなかった。当然といえば当然、前の生活にも戻っただけだったからだ。だが、物寂しい感じはしないでもなかったが。
春休みに入って、特にやることもないので宿題も順調に進んでいる。
目が覚めると暗い部屋。まだ意識は覚醒しきっていない。今日も今日とて家で一日中過ごすのだろう。……と、思っていた。
何やら外が騒がしい。カーテンを両に開くと、外は薄暗く、空には鉛色の雲が広がっていた。そして、窓越しでもあの心を落ち着かせる音が聴こえる。
「……雨だ」
デジタル時計のカレンダーが表示するのは3月25日。時刻は午前9時47分。
確か昨日の予報では降水確率は50パーセントにも満たなかった。
「あんまり期待してなかったけど、どうやら今日のようだな」
俺は脳を起こすべく、ベッドから下りて洗面所へと向かった。
午後3時。未だ雨は振り続けている。そろそろいい時間だろう。俺は土砂降りの中、深緑色の傘を差して家を出た。
なんだろう。とても久し振りに感じる。日向の素っ気ない態度は慣れてくると清々しく思えてくる。今日も内心、楽しみにしていた。
雨とはいえ、通りには車は当然の如く走っていた。俺の右側を何度も通り過ぎる走行音。前方からは小さい女の子とその母親が横並びで歩いてくる。女の子はキャッキャとはしゃいでいる。
「あいつも、あれくらい可愛げがありゃあな」
丁度親子の横を通り抜けた時、一陣の強風がほんの数秒に渡り吹いた。危うく傘を持っていかれる所だったが、なんとか回避できた。
ふぅ、と溜め息をついたその直後。
「あっ!」
すぐ後ろで甲高い声が耳に届いた。反射的に振り返ると、衝撃的な光景だった。強風により女の子の手から離れた傘が空を舞い、それを追って女の子が車道に飛び出していた。
「ダメッ!!」
女の子の母親がそう叫んだとほぼ同時に、俺は傘を捨てて駆け出した。
女の子が傘を拾ったその車線には、最悪なことに乗用車が向かってきていた。
クラクションか鳴り響く。女の子は立ち尽くし動かない。乗用車は急ブレーキをかけたがあの距離じゃ駄目だ。
(間に合えェェェェェ!!)
猛ダッシュで女の子と乗用車の間に文字通り飛び入り、女の子の頭を胸と手で守り、両腕でしっかりと抱きしめて庇う。直後。
──ドンッ!
そんな鈍い音が背中から直接響いた。一瞬、何が起きたか全く分からなかった。何をしていたかも分からなかった。ただ、完全に空中にある自分の身体。手足は全く動かない。胸の中には小さい女の子。身体中に迸る衝撃、痛み。俺はすぐに自分が乗用車と衝突して轢かれたことを悟った。
幾度か地面にバウンドして各部を打ちつけられる。地面に広がる紅色の液体に雨水が混じり合うのが見える。胸のなかにいるこの子は無事だろうか。俺は無事でいられるだろうか。
いろんな人の声が聞こえる。悲鳴、怒号、驚嘆、狼狽。朦朧とする意識の中、そんな類の声が鼓膜を震わせる。
……数拍後には、俺の意識は昏い昏い闇の底に堕ちていた。
*****
最初に聴こえてきたのは雨音だった。
どうやら外はまだ雨が降っているようだ。
ゆっくりと目を開くと知らない天井。でもどこか見たことのある真っ白な天井だ。
「病院……か?」
俺は仰向けに寝ていて、暖かいものに包まれている。頭を含めた体の各部に何か巻かれている感覚があるが、包帯だろうか。
「目覚めて……くれましたか?」
何とも弱々しく震えた声が耳に入る。
顔だけ声のした方に向けると、頬に涙を伝わらせた日向が目を見開いて座っていた。
「なんで……お前が……」
「よかっ……た。起きて、くれた……」
日向はほろほろと涙を零し、呻くように吐き出された声は震えて、途切れている。
「センパイが起きなかったらって、ずっと……ずっと……」
こいつがこんな風に感情を曝け出すのは初めてだ。心配……させたんだな……
上体を起こすと痛みが走り、うッと唸る。
「無理しないでくださいっ。安静にしてないと駄目です」
「あ、あぁ。ありがとう、大丈夫だ」
日向に手伝ってもらい足を伸ばしたまま座る。
「日向、なんでお前がここに?」
姿を認識した時からの疑問をぶつけてみる。
「私、見てたんです。センパイが女の子を助けようとして轢かれたところ」
「それは……かっこ悪いところを見せたな」
「いえ。かっこ良かったですよ、誰よりも早く走り出したセンパイ」
「そうか。それで、女の子は無事なのか?」
それが気になって仕方がない。訊かずにはいられなかった。
「はい。幸い、数箇所の擦り傷で済んだそうです。センパイが抱きかかえていたお陰で重大な怪我には至らなかったと」
「そうか……良かった」
やっと肩の荷が下りた気がした。罪悪感の念に駆られることはないようだ。でもやはり、女の子の命が助かって良かった。それが一番だ。
俺の顔を見て安心したのか、日向は深く深呼吸する。次の瞬間、
「全く、再会はあの藤棚の下って約束だったのに。まさか私から約束を破ることになるとは思いませんでした」
不意打ちで、どこか懐かしい皮肉が飛んでくる。なんというか、やっぱりこいつはこうでなくては。
「悪かったな。感動の再会がこんなところで」
「感動なんてそんな大層なものじゃないと思いますけど?」
「そうか? 俺が起きた途端に涙まで流してくれてたのにか?」
「……っ、はぁッ!? べ別に泣いてないですけど!?」
「くっ、ははははは! 必死じゃねぇか」
あまりにも必死なので笑いを堪えることができなかった。日向は顔を背けて紅くしている。
思いっきり笑ったせいでまた痛みが走り、日向が再び慌て、叱る。
ふと、そこで俺はあることに気づいた。
「日向お前、その制服って……」
見覚えのある、いや、と言うかほとんど毎日見ている。春休みに入ってからはご無沙汰だが間違いない、日向が着ているのは俺の通う高校の制服だった。
「ハァ……やっと気づきましたか。全然気づかないものですからセンパイの目は節穴かと思いましたよ。それと今更ですけど、私が髪を下ろしたの、センパイが『そっちの方が似合う』って言ったからですよ」
心の内を隠すこともなく、盛大に皮肉を言ってみせる日向。続けて明かされた日向が髪を下ろした理由。……そういえば、そんなことも言ったっけか?
俺が忘れていたことが気に食わなかったのか、もういいですとそっぽ向いてしまった。
「まったく……ご察しの通り、私が合格したのはセンパイと同じ高校です。センパイが中学を卒業してからずっと退屈でした。虚無感以外何もない1年でした。……でも、これからはまた一緒です。雨の日じゃなくても会えます。また、同じ学校の後輩としてよろしくお願いしますね。坂崎センパイ」
そう言った日向は、花開いた向日葵のように満面の笑みを咲かせた。
「お前、笑ったら可愛いじゃねぇか」
「は、はぁ!? な、なななんですか急に! かっ、か、かわ……」
「おぉ〜? 照れてる照れてる」
俺は笑いながら日向の髪を無造作に撫でる。
「ちょっ、やめてください! 髪くしゃくしゃになるから!」
そしてゆっくりと手の勢いを殺し、最後にポンと手を置く。
「よろしくな、日向」
日向は顔を真っ赤にして俯き、うーーと唸り頭の上の俺の手に両手を添える。
そして今度は照れたように微笑んだ。
「はい。よろしくお願いしますっ、センパイ」
こうして無愛想な元後輩は、もう一度俺の後輩になった。この瞬間にこいつのことを愛おしいと思ったのは内緒だ。
気づけば窓の外の空は雨が止み、雲の切れ間から陽の光が薄暗い街を幻想的に照らしていた。
そして、俺と日向の新しい春が幕を開けようとしていた。
─Fin─
一応、初作のあとがきで「雨」をテーマに書くと予告していました……大分日あいたけど。
無愛想ヒロインを描きたかったので今回取り入れてみました。「こんなの無愛想じゃないッ!」って思われたのなら申し訳ないです……
兎にも角にも、最後まで読んで下さりありがとうございました。また機会があればなんか書いてみよっかなぁー、って思ってます。その時は御一読下さると幸いです。