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君に捧ぐ花  作者: ancco
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11月12日(水)

杏がログインしました。


杏:『ご無沙汰してまーす!いてるかな?』


ナツキ:『しばらくだったってことは、順調ってことだろ?』


杏:『すごい!お見通しだね!いつも愚痴や悩み聞いてもらってるもんね(汗)』


ナツキ:『で、彼氏?とはどうなの?』


杏:『あはは(笑)彼氏かどうかは微妙なんだけど、金曜の夜に晩御飯食べる約束してる。今度の土日は仕事らしくて。』


ナツキ:『普通のサラリーマンでも土日仕事とかあるんだな。どんな仕事?』


杏:『機械メーカーのエンジニアなんだけど、納入先に点検や修理に行くときは大抵休みの日なんだって。ほら、機械止めないと出来ないから。』


ナツキ:『なるほどな。しかしエンジニアとは、またずいぶん都会っぽい職種のサラリーマンだな(笑)』


杏:『そお?なんで?横文字だから?』


ナツキ:『田舎には園芸屋は居てもエンジニアはいないわな。』


杏:『園芸屋もガーデナーって言えば洗練された風に聞こえるよ?』


ナツキ:『おぉー。さすが渉外部だけあるな。英語が達者でいらっしゃる。』


杏:『英語ってほどでもないけどね(笑)そういえばナツキも外国から植物を輸入したりしてるんだよね?英語出来るんじゃないの?』


ナツキ:『うーん。そこが辛いとこなんだよ。普通に学校で習ったレベル。挨拶や身振り手振りを交えた簡単な会話くらいならできるけど、取引に関わる大事な部分にはプロの通訳や翻訳者入れてるよ。』


杏:『身振り手振りって、実際に現地に行くこともあるの!?』


ナツキ:『そうか、杏と知り合ったのは秋口だったから、出張に行ったことなかったよな。大体毎年4月と9月ころに現地に行ってるよ。やっぱ自分の目で物を確かめたいからな。』


杏:『かっこいー!!私なんて英語ができても専ら裏方要員で、仕事で海外に行くことはないもん。』


ナツキ:『俺のは、杏が憧れてるような海外出張とは違うよ。何時間も車に揺られて山ん中行って植物見たりとか、畑ん中を何時間も歩いたりとか。埃や泥まみれで、全身クタクタ。経費掛けたくないからフライトも乗り継ぎや時間が最悪だし、トンボ返りで観光なんてしないしな。』


杏:『ほんと、それはしんどそうだね(汗)そうか、出張費用も全部自分で稼ぎ出すんだもんね。会社のお金で気楽に行く出張とは違うか。なんか安易にカッコいいとか言ってごめんなさい…』


ナツキ:『謝ることないって。俺は好きでやってるんだしな。イイ物見つけて売ってもらえたときの感動ったらないぞー。そしてそれが無事に日本に到着してだな、俺の手で磨き上げられて良いところに売られていってみろよ。まるで娘を嫁に出したような心持ちになるぞ。』


杏:『あはは(笑)結婚したこともないのに娘って!でもナツキの情熱伝わってきたよ。門外漢だけど、その感動ってすごいだろうなって思う。ナツキほんとに良い仕事してるね。心の底から羨ましい。』


ナツキ:『田舎から出らんないけどな(笑)』


杏:『結局そこか(笑)ナツキは仕事を愛してるくせに、田舎は嫌なんだね。都会に憧れがあるの???』


ナツキ:『そうかもな。俺はたまたまここで食っていける仕事があるけどさ、同級生は、家の商売継いだやつ以外はみんな都会に出ていってな。そんで、そういう奴等が帰省したときに、都会のキラキラしい土産話を置いていくんだよ。憧れもするだろ?』


杏:『それたぶん、90%見栄と誇張でできてるとおもうよ(笑)』


ナツキ:『だろうな。でもそういう話を聞いて、外に出ていく夢を見てる若いやつは多いぞ。』


杏:『そういう若い人がもし身近にいたら、どうぞ私の泥色のOLライフについて話してあげてよ(泣)都会のOLだって皆が充実した日々を送れるわけじゃないってね。』


ナツキ:『最近ピンクになってきてるんじゃねえの?』


杏:『プライベートではそうかもね。でも仕事では全然。相変わらず隣の席の中国人にネチネチやられてるよ。はぁ~。明日もあるからそろそろ寝なきゃね。気が重い…』


ナツキ:『そうだな、まぁ気負わずやれよ。おやすみ』


杏:『ありがと!おやすみなさい。』


ナツキがログアウトしました。

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