1. 悪魔召還
新連載始めました!亀更新になるかもしれませんが、よろしくお願いしますm(_ _)m
「さぁ、神巫女様、お願いしますぞ?」
「は、はい…。」
私、水森くるみ(16)が下校途中に突然異界へ飛ばされて一年。訳も分からないまま神巫女様と呼ばれて、世界の理やらを学んだ。いや、学んだ…と言うよりは、私の斜め後ろにいるユゲル大臣によって無理やりにでも学ばされたというか…。
チラリと視線をその男にやるとジロリと無言の圧を掛けられた。
わかったわよ…やれば良いんでしょう?失敗など許されないんでしょ?この数週間耳にタコができるくらい聞いたわよ。
視線を前に戻して溜息をつく。目の前には少し懐かしい大きな白い石で出来た台座。その周りを取り囲むように描かれた細やかな紋章。1年前と同様に宮廷魔術師達が慎重に一寸違わず作り上げた魔法陣だ。いや、同様では無いか。私の時とは比べものにならない程の労力を使って作り上げた魔法陣だ。なんせおとぎ話になるほど現実味の無い勇者様を召還しようとしているのだから。
とりあえず集中しないと…
失敗は許されない。
なんせ国どころか世界の崩壊がかかっているのだから…。
集中を高めていくとゆっくりと魔法陣が光を帯び始める。
もっと…慎重に…!
体に感じる力の流れを魔法陣に注いでいく。
均等に、確実に偏りなく…よしっ!
魔法陣の紋様がクッキリと浮かび上がる時、さんざん繰り返し練習した言葉を詠唱する。
「我、豊穣の女神が願いを唱えん。大地の力をもって、今ここに勇者召還を命ずる!」
言葉の直後、魔法陣がいっそう輝きを強く放って星空へと光を円柱状に伸ばす。
「わぁ…」
なんか凄いなぁ。夜空へと続く光を目で追って気づいた。あ、だから天井が無かったのか…って今はどうでも良いか。
目の前の台座へと視線を戻すと、光が収束していくと共に現れた人影…もとい勇者様。
「いって…何だよこれ…」
頭を右手で抑えて俯いたままのその頭は黒かった。
「ひっ…!あ…悪魔っ!悪魔だぁああ!」
斜め後ろの大臣がいきなり叫び声をあげた。
艶のない真っ暗な髪を持つ青年がそこにいた。本来なら勇者と呼ばれる存在、いやこの世界に召還された者はあの光と同様の金髪になるはずなのに…。まさか…どうしよう。失敗など…シッパイナドユルサレナイノニ…
「そんな…」
絶望の最中、小さく漏れだした声に青年がこちらを向いた。
そんな…
今度は声を出さなかった…その代わりに出たのは…
「み、御堂くん…」
かつてのクラスメイト、御堂 新くん の名前だった。