405号室にて
待ち合いの午さがり。
翳りにそっと揺れたのは、夢を見た、その所為か、予ての病気が故か。
窓枠に嵌められた、見目麗しき石英。
この頃は、夢に見る、あなたがそう望んだのだ。
あなたを知った病室へ、向いている此のつま先。
青過ぎる今日の空の色は、それに似て非なる夢想家。
古錆びた幻に別れをそっと告げたのは、
鮮やかな現実が、今まさに香り立ったせい。
壁際に囚はれた見るももどかしき時計は、
事済めばそれまでの我が身を駆り立てんとする。
あなたが去った病室は無色透明なれども、
青過ぎる今日の僕自身は、ひどく身を窶し、染まる。
あなたに逢った病室は、カーテンも屹度真白く。
青白い顔をした僕は「場違い」
薄れゆく人翳と、気絶しそうな想いはこの先も、屹度同じように。あなたに残留るというなら。
ああ無性に、口惜しい。