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読んでおきたいレビューの心得  作者: 杏仁みかん
第二章(おまけ):アプリレビュー編
8/9

1:実際のアプリレビュー一例

 久々の執筆です。久々すぎて敬語混じりでお届けします。

 というか、恐らくこれから話す内容には個人的見解が強いのと、ちょっとキツい内容もありますので、偉そうには書けないというのもあります。

 レビューの書き方というよりはゲームアプリの話が多いことを予めご了承下さい。


 ということで、前の項では基本的なレビューについてお話させていただきましたが、今回はなろうなどの小説サイトからは大きく外れて、アプリレビューについて語ろうと思います。


 と言いますのも、僕は最近ゲームプランナーという仕事をやっておりまして、自分が関わっているプロジェクトのAndroidやiOSのストアに書かれたレビューは、ほぼ毎日目を通しておりました。


 え? 毎日じゃないの?

 ──はい、その通りで。


 まあ、内容が内容だけに酷い評価が目立つのは痛い程に分かっておりますし、各人大体仰ることは同じです。そこで初めて発覚することもたまーにありますけれども。

 とはいえ、レビューについて語っている自分としては見過ごせない内容のレビューばかり。


 次に述べるのは僕が関わっていた以外も含め、よく目にするレビューの文章(要約)です。


 1:「ガチャが当たらない。どうにかしろ」

 2:「早くサービス止めろ」

 3:「さよなら」

 4:「面白い」

 5:「期待をこめて星5」

 6:「バグが酷い。金返せ」


 多分ここまで読んでいただいた皆様ならお分かりかと思いますが、これはけっしてレビューなんかじゃありません。


 アプリが酷いのはよーく分かりました。

 しかし、レビューを書くところですよ。一方的な文句(=意見)やお問い合わせを書くところではありません。


 まず、1を見てみましょう。

 ガチャが当たらない──確かにこれは見方によっては事実なのでレビューとしては生きるように見えますが、この一言でゲームが伝わるでしょうか。


 少々寄り道をしますが、そもそもガチャというのは……言い方は悪いですが、日本人特有の賭け事中毒になりやすい体質を利用した、現時点で最も効率の良い利益の搾取方法であり、はなっからアプリそのものを有料にするよりお金を回収しやすいシステムなんです(と自分は思っています)。

 その他でよく見かける売り方は、広告の動画を見たら(厳密には動画についたリンク先に行かなくちゃならない)チャリンチャリン出来るという広告収入、待ち時間(スタミナ回復を含む)を短縮できる時短系の課金、追加コンテンツにだけ課金要素が含まれるタイプなどがありますが、大作になるほどガチャの方が儲かるようです。それだけ大勢の方が「当たるまでは……!」とお金を費やしてくれるからです。残念ながらまだひよっこプランナーなので、この辺はあまり詳しくないのですが。


 基本無料で遊べる「無料アプリ」が人気の大半を占める現在ですが、企業がアプリを作る以上、まずは開発スタッフ、運営スタッフ、カスタマーサポート(CS)など、人を雇うための人件費がかかっています。

 そして、オンラインサービスであればサーバーの利用料が課せられます。

 その他、必要経費……例えば広告費やら開発で使うソフト──Unityの有料ライセンスやアセットの使用料、Photoshopの契約などなど。

 更にその上、アプリを作った最大の理由として、会社への利益分が上乗せされます。


 これを1日にアプリを利用したユーザー数(DAU)やら課金したユーザー一人当たりの平均収益(ARPPU)やらといった集計や予測から、「じゃあ、有料部分はいくらで売りましょう」とか、「コレなら売れるんじゃね?」って企画会議をしてガチャなどの商品とその価格、確率なんかを決めていくわけです。


 ──話を戻します。

 1のレビューの酷いところ。ガチャが当たりにくいのは当然の話というのが見えてきましたでしょうか。


 宝くじを思い出して下さい。10枚……多くて100枚とか買いました。


 ……それで1億円当たりますか?


 宝くじは大当たりの規模が違うのでまあ、それは大げさかもしれませんが、当たらなくてもいいし、当たればラッキー、ぐらいのものですよね? 一番くじや福引なんかも概ねその通り。その程度なら中には当たるまで回し続ける方もいますが、それは例外です。


 ですが、最近のレビューを見てると、どうも「ガチャはどこかで当たるもの」と思い込んでいるユーザーが多いのなんのって。……いや、そんなわけないでしょう!

 数百回回してようやく大当たり1個というのが「当たり前」。つまりそのくらいの課金をしてもらわないとそのプロジェクトとしては成り立たない収益、という計算なんですよ。

 そんな「当たれば当然」なレビューが増えているから、企業としても何とか(評価)を保つために大当たりを引かせようと策を講じるのですが、結局のところ、その分の赤字をどっかで埋める調整をしなくちゃならないのです。


 つまり、ガチャの当たり外れについてのレビューは的外れ。

 どこでもやっている施策をただ評価しただけの話です。タイトルごとのガチャについてのレビューとしてどっかのブログに載せるのは別に構いませんが、ストアのレビューに書くのは大間違いです。ゲーム開発者側から言わせて貰えば、本当に、今すぐ止めてください、マジで。


 そんなレビューのせいでプランナーが必死に組み立てた半年、一年先の予定がたった一カ月で出さなくちゃならなくなり、そうなると新規コンテンツも開発する余裕がなくなり、結果として寿命を縮めていったプロジェクトは、あっさりとサービス終了に繋がります。

 たかが1件2件のレビューでも痛いのです。酷い時には人も辞めていくし、時には人を殺す結果にもなりますので。


 まあ、ガチャの確率どうこうも予測してのゲームプランニングなんでしょうけど、上からの圧力や不具合対策による開発延期など、予測外のところで予算はドンドンオーバーするのです。


 ……重い話になってしまいましたが、2以降も同様であるということを理解していただけますと幸いです。


 2について。「サービス止めろ」とかいう直球。言うまでもありませんが、誹謗中傷でしかありません。

 お問い合わせとかでも似たような話がよくあります。「問題が起きた。直ぐに金(宝石)返せ」→「お客様の発生状況を詳しく教えていただけますか」→(教えてくれず)「何度もいってんだろ!いい加減にしろ! 訴える(た)ぞ!」……と、このようなやり取りとかです。本当にあります。


 ……いや、正統にバグが証明出来るなら運営開発側としてはちゃんと妥当な分のお詫びは払うし、文句言う前にわざわざ工数(金=給料)かけて調べるっつってんだから、質問にまず答えろやゴルァ! ……とか言いたいのを喉元まで押さえながら毎日を過ごしています。……いました。


 レビューの書き方的には、最悪のケースと言えます。本来、レビューはこれから遊ぶ人のための文章を書くもの。書き手の感情を表に出してはいけません。

 ……なので、お話になりません。次。


 3について。何が「さよなら」なのでしょう。

 せめて良い? 悪い? そこまで書いていただければ何を伝えたかったのかが分かるのですが、これではさっぱり。


 似たパターンでも「これこれこういう理由で悪い。さよなら」のもありますが、「さよなら」はレビューになりません。挨拶ですか? 書くところ間違っていますよ。


 4について。「面白い」。ありがとうございます。

 だけど、レビューとしては失格です。「面白い、じゃあやってみよう」とは思いませんよね? これはあくまでも「感想」です。人それぞれの感情を文章にしただけなので、先程の「さよなら」よりは多少マシではありますが、大差ありません。


 どこがどう「面白い」のか。本来のレビューはそこを伝えるべきです。


 この次の別項にて記述しますが、いくらかのパターンを踏まえて書くとレビューとして機能いたしますので、参考にしていただければと(あくまで自分流です)。


 5について。「期待を籠めて星5」。

 いや、期待してくれたんだなあというのは伝わりました。ありがとうございます。


 でもレビューじゃないです。なんでこれから知るゲームについて書かれているのですか。

 似たパターンにも「インストールしてないけど期待」「面白いに決まっている」「待ってました!」の類は、これから遊ぶ人達だというのが分かります。つまり、遊んでいません。レビューじゃない。

 開発者としてはいい評価が増えていくので、まあ嬉しいのですが、僕個人としては40点ぐらいで評価したい。


 0点じゃない理由としては、大勢のレビューが欠片となって一つのレビューとして機能しているパターンだなあと思ったからです。


 大抵この手の期待を示すレビューは、一人や二人程度のポツポツだとまったく機能しませんが、大勢が同じような内容で書き込まれていると(しかも文章は微妙に違うパターンで)、「ああ、期待されているんだな」というのは最低限伝わります。

 つまり、「期待されているゲームである」というレビューが間接的、抽象的にほんわかと伝わるので、まあまあのレビューとして機能しているかな、と。


 最近はこのパターンでユーザーを動かしていると言っても過言ではないでしょう。開発・運営側としても、これらの書き込みが大勢いた場合は、売れる予兆として色々準備することも──もしかしたらですが──ありますので。とはいえ、実際に売れるかはまた別の話。


 ですがやはり、これから遊ぶユーザーをちゃんとした方面に動かすためには、一度遊んで中身について触れたレビューを記載することです。「キャラクターアニメが凄い!」とか、「ゲームバランスが神!」とかでも、ただ期待を籠められるよりかは分かりやすいですし、断然、作り手としても嬉しいものです。


 最後の6。「バグが酷いので金返せ」の類。或いは「バグ直せ」「落ちた」「起動しない」とかでも同類ですが、こういうのは面倒でもレビューじゃなくてお問い合わせへ! 個別に対応してくれます。

 あと、エンジニアはバグ修正やコンテンツ追加に忙しくて評価見ません! 開発=運営でもありません! だから、開発チームへきちんとメッセージを届けるためにお問い合わせシステムを使って下さい!


 そして、レビューとは大きく異なる話ですが、お問い合わせの際には最低限書いて欲しいことがあります。


 ①OS(AndroidもしくはiOS。バージョンまであるとエンジニアが泣いて喜びます)

 ②機種名(SO-ほにゃらら、Xperiaなんとか、iPhone7、iPadの何とか……などなど、型番とか出来るだけ詳しく。特にAndroidは機種による相性とかもありますので。独特の専用ブラウザとかね……)

 ③発生日時(2018/3/18 20:59 みたいな感じがGOOD。詳しい時間が分からなかった場合はその旨も。この日の夜何時頃……とか大体の時間でも構いません。サーバー担当者が時間帯を絞ってログを辿るので、特定できる時間帯の幅が短いほどより早く、正確に調査できます)

 ④何回起きたか(毎度でなければ、10回中1回、みたいな。確実に起きるならその手段も沿えて確実、と)

 ⑤手順(1、タイトル画面をタップ 2、ホーム画面のメニュー>どこどこ 3、このタイミングでこう……とか箇条書きで書いていただけるとデバッグ担当が虹色の涙を流して喜びます)


 これ以外にも、タイトルによってお問い合わせのテンプレがあると思いますので、必ず従って書くようにしてください。時々、前述1のレビューに書いたお問い合わせのケースで、超いい加減に項目すっ飛ばしたりする人もいますが、それだと何も調査できません。本当に困る。



 ──以上、6パターンのレビューについて(ついでにお問い合わせについても)色々記載いたしましたが、如何でしたでしょうか。

 多分、いろんなゲームでよく見かけるパターンだったのではないでしょうか。


 あともう一つだけ例を挙げますと、稀に見るパターンで、「誰かがガチャが厳しいと言っているが、まったくそんな風には感じられない」とフォローに回るレビューを書いて下さっているパターンもありますが、こういうのは開発・運営側としては助かっています(笑)。


 ですが、出来ればレビュアーとしてはその後に「実際にはどこどこが面白くて、どこどこが凄い」みたいな具体的なレビューに回っていただければと思います。フォロー自体は本当はレビューなんかではないんですけどね。ありがたいのは確かなので無下には出来ません。


 最後に。レビューを書かなくてもiOS端末の方へお願い。

 ストアのアプリのページを開いて最初に乗っているレビューは一番古い評価です。

 アップデートを重ねていくうちに180度評価が変わるケースも稀にあります。

 レビューを見る際には一番最後の更新日のものから見ていくといいでしょう。


 Android、つまりGooglePlayの方は最新順だったと思いますが、やはり日付は気にしていていただければと。


 次回は「アプリレビューの書き方について」をお届けします。


 長文をお読みいただきまして、ありがとうございました。

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