【短編】彼は「たとえ結ばれない運命だとしても君を愛し抜く」と言った。【イセコイ】
「そろそろ婚約者を決めるよう、言われております」
目の前に座るレオンハルト・フォン・エーレンベルク小公爵の表情は、一瞬のうちに曇った。
レオンハルト様の銀色に輝く髪に、秋の柔らかな光が降りそそいでいた。
澄んだ空のような瞳には、わたくしの物憂げな顔が映り込んでいるに違いなかった。
この一年、共通の知人で侯爵家の四男アーデルベルト・フォン・ヴァルデンシュタイン様の協力の下、わたくしとレオンハルト様は侯爵家の庭園で、逢瀬を重ねてきた。
周囲にわたくしは、アーデルベルト様の妹君のお話し相手として、月に数回お屋敷に呼ばれていることになっていた。
実際は、レオンハルト様と落ちあっていたのだ。
侯爵邸の庭園は、帝都でも皇宮に次ぐ美しさだと評判だった。
アーデルベルト様のはからいで、わたくしたちは庭園の中央にある東屋でひととき心を通わせた。
移り行く季節のすべてを、レオンハルト様と眺められたことが、わたくしとレオンハルト様の叶わぬ恋を色鮮やかな思い出にしてくれる。
わたくしは心からアーデルベルト様に感謝している。
レオンハルト様との出会いは、アーデルベルト様の成人を祝う舞踏会だった。お二人がアカデミー時代からのご友人であることは、わたくしも伝え聞いていた。
わたくしはアーデルベルト様の婚約者候補として、招待された令嬢の一人だったけれど、平凡な伯爵令嬢でしかないわたくしが、アーデルベルト様に選ばれるはずもなく、もしかしたらレオンハルト様にお会いできるのではないかと、それだけを楽しみに臨んだ。
帝国内の派閥において中立派を貫くヴァルデンシュタイン家の舞踏会だったからこそ、貴族派の代表家門であるエーレンベルク公爵家の後継と、皇帝派に名を連ねるローゼンベルク家の長女であるわたくしとが顔を合わせる奇跡が起きたのだ。
皇室主催のパーティーには徹底して顔を出さないのが公爵家の方針だった。有名な詩人に、神が創造した最高傑作と言わしめたというレオンハルト様の噂があった。その話を聞いた時から、遠目でもよいので一度お目にかかりたいと願っていた。そう、皇帝派の一員であるわたくしにとってレオンハルト様は、御伽噺の中の存在にも近かった。
初めてお会いしたときの胸の高鳴りは、今も鮮明に思い出せる。
遠目にでも一度……そうしてわたくしの願いは叶った。ダンスを踊りたいなど、大それた夢は抱きもしなかったのだから。
わたくしはその日、アーデルベルト様の婚約者候補の一人としての態度を崩さなかった。まさかその後、レオンハルト様と恋に落ちるなど、想像もせずにいた。
舞踏会から数日が経ち、アーデルベルト様からの招待を受け、再び侯爵邸に伺った。
侯爵家の応接室にレオンハルト様がいて、わたくしたちは再会した。
アーデルベルト様はすぐに席を外され、レオンハルト様と二人きりになった。
「どうしても君と話がしたくて、アーデルベルトに頼んだのだ」
レオンハルト様は、舞踏会でわたくしを見かけた際に、好意を抱いてくださったのだった。
「君の蜂蜜を溶かしたような甘い色の髪が忘れられなかった。こうして近くで会い、瞳は朝露をたたえた若葉のように煌めくことも知り、私は確信を得た」
唐突な告白だった。それでも、レオンハルト様の表情は真剣そのもので、わたくしの心を動かすのには十分だった。
最初から、わたくしたちが結ばれることはないとわかっていたから、容易に恋に落ちたのかもしれないと、今ならわかる。
「君の婚約についてだが、アーデルベルトにすれば良いではないか」
レオンハルト様は、さも当たり前のことのように言った。過去にわたくしが、アーデルベルト様の婚約者候補には挙がっていたとはいえ、自分を別の男性に会うため利用し続けた令嬢を、受け入れるはずがない。
「難しいかと……。他にも皇帝派の家門の中に年齢の近い令息もおります。これから探すことになります」
「難しいかどうかは本人に聞けば良い」
レオンハルト様が「呼んでくる」と言って、席を外した。
一人になり、わたくしは小さなため息をついた。
お父様は他の誰かではなくアーデルベルト様との婚約を望んでいるのだ。そして、わたくしが今日、レオンハルト様にお別れを告げる覚悟をしたのは、これ以上侯爵邸に通い続ければ、アーデルベルト様との婚約が避けられなくなると察したからだった。
アーデルベルト様はとてもお優しい方だ。
レオンハルト様はお忙しい方なので、一時間ほどでお帰りになる。いつもわたくしだけ残り、アーデルベルト様と妹のカーリン様としばし談笑した。
名目上、カーリン様のお話相手として訪問しているため、まったく交流していないと社交の場で不自然になると、アーデルベルト様が配慮くださっているのだ。
カーリン様はまだ幼い。アーデルベルト様と同じ、栗色の髪とオレンジ色の瞳をしていて、太陽のように明るい笑顔を見せてくださる。
まさかご自分が、男女の逢瀬に利用されているなど、思いもせずに。
わたくしのこういった罪悪感が、もう、見過ごせないほどに強まったのは、他でもなく、レオンハルト様の婚約がきっかけだった。お相手は、貴族派で最近力をつけてきたダーミッシュ伯爵家のコルネリア嬢だった。
レオンハルト様は「たとえ結ばれない運命だとしても君を愛し抜く」と言ってくださった。だから、レオンハルト様の婚約後もこうして会い続けていた。わたくしたちはせいぜい手を重ねあう程度のスキンシップしかしなかったけれど、お互いに思いを寄せ合っていることがすでに、婚約者への裏切りなのだ。
まもなく、アーデルベルト様のお誕生日に、舞踏会が開かれる。その日に、婚約を公にできるようにと、お父様から急かされていた。
月に数度、一年間通い続けたのだから、お父様がそうお考えになるのも無理はない。
何もかもが、限界に近づいていた。だから今日、レオンハルト様にお別れを告げるつもりでいたのに。
面識のない誰かに嫁ぐのであれば、レオンハルト様とほとんど顔を合わせることなく生きていける。しかし、アーデルベルト様がお相手となればそうはいかない。
貴族の結婚に、必ずしも恋愛感情が伴わないのが公然の事実であったとしても、誰を愛しているのか知っている上で受け入れるのでは話が違う。
わたくしは婚約者を、どこか遠くの領地で暮らせるお相手で決めるつもりでいた。
レオンハルト様がアーデルベルト様を連れて戻ってきた。
「さあ、今後のことを話し合おう」
「話し合うことはないように思います」
アーデルベルト様に、わたくしとの婚約ができるかを問うこと自体、許されないと感じていた。
「アーデルベルト、君は、エリーゼと婚約するのは嫌か?」
「私がエリーゼ嬢と?」
アーデルベルト様が戸惑っている。
「そうだ。良い考えだろう。君は婚約者を探す苦労がなくなり、私たちはこれまで通りの関係でいられる」
レオンハルト様が信じられない発言をした。アーデルベルト様には、ご自身に相応しい令嬢と婚約をして幸せになる権利がある。
「これまでの関係ですか?」
アーデルベルト様が、レオンハルト様に質問した。
「そうだ……いや、違うな。今まではエリーゼが未来の婚約者に遠慮して、唇も許してはくれなかったが、アーデルベルトが婚約者になれば先に進めそうだ」
わたくしは、レオンハルト様の言葉を聞いて、あまりのショックに眩暈を起こしていた。
「エリーゼ嬢、大丈夫ですか?」
アーデルベルト様が声をかけてくださり、遠ざかりかけていた意識を取り戻した。
「レオンハルト様、わたくしはアーデルベルト様との婚約を望んでおりません」
レオンハルト様は眉根を寄せ、アーデルベルト様は傷ついたような表情を見せた。
「アーデルベルトの何が不満だ?」
「不満などあるはずございません。アーデルベルト様は大変優しく、また気遣いもしてくださいます。レオンハルト様との美しい思い出が作れたのはすべてアーデルベルト様のおかげです」
「アーデルベルトと君が婚約すれば、もっと美しい思い出を増やせるだろう。躊躇う理由がわからない」
わたくしは、レオンハルト様のお考えの方が理解できなかった。
「説明が不足していたな。当然、アーデルベルトには、公爵家でできるかぎりの優遇を考えている。四男であれば後を継ぐわけでもないから、結婚後は独立して生計を維持することになるだろう?」
わたくしはアーデルベルト様を見た。今は皇室騎士団で副団長を務めているけれど、いつか退かれるだろう。公爵家の後ろ盾は心強いかもしれない。
それでも……。
「わたくしは、アーデルベルト様とは婚約できません」
もう一度、意思を伝えた。アーデルベルト様はただ寂しそうな表情をして黙っていた。
「では、誰と婚約するつもりでいるんだ?」
今後、わたくしが誰と婚約するかは何も決まっていない。今、わたくしがレオンハルト様とお話しすべきは、あくまで今の関係を終わらせる件だ。
「婚約者は未定です。しかし、父からアーデルベルト様との婚約を期待されている事実がございます。これ以上、アーデルベルト様にご迷惑をおかけするわけにはいきませんので、レオンハルト様とお会いするのは今日が最後とさせていただきたいのです」
レオンハルト様が立ち上がった。
「何を言い出すんだ。私たちは愛し合っているというのに、なぜ会えなくなるんだ」
愛し合っているかは、関係なかった。
「レオンハルト様が別の方と婚約され、わたくしもまた、今後別の方と婚約をするからです」
「だから、理解のあるアーデルベルトと婚約すれば良いではないか」
アーデルベルト様のご様子から、あらかじめの意思確認もされていなかったと見受けられた。
「アーデルベルト様にとって、敵対家門にある令息と令嬢に逢瀬の場を提供するのと、自分の妻と友人の不貞を容認するのは、同じ重さではございませんよ」
「美しいエリーゼを妻にでき、私からの惜しみない援助が約束されるのだから、アーデルベルトに損はないはずだ」
「なぜ、アーデルベルト様が、愛するお方と結ばれ幸せに過ごされる可能性が存在しないかのようにお話されるのですか?」
レオンハルト様が、アーデルベルト様に「愛する女性などいないな?」と訊いた。
「私には、婚約の申し込みの機会を窺っている女性がおります」
「なんと」
レオンハルト様は、頭を抱えた。
「これでは私の計画がうまくいかないではないか……」
わたくしは最初からうまくいくはずもない計画だったのでは……と、指摘したい気持ちを抑え込んだ。
「わたくしは、レオンハルト様から頂いた『愛し抜く』というお言葉を信じ、今日までお会いしていたのです」
「その言葉に偽りはない。だからこうして君との将来を模索しているのではないか」
「わたくしは、レオンハルト様の考える『愛し抜く』が、一生人目を忍んで逢瀬を繰り返し、後ろめたい関係を続けることを指すのだとは思ってもおりませんでした」
「他にどうしようもないではないか」
わたくしがずっと、心の隅で燻らせていた思いが今、どうにも抑え切れないほどに熱くなっていた。
「本当に、どうしようもなかったのでしょうか? レオンハルト様は公爵様に『愛する女性がいる』とお話しされたことはありましたか? 皇族派の令嬢ではあるが、かけがえのない存在だと、わたくしにおっしゃってくださったように……。大切な女性がいると公爵様の説得を試みたことがありましたか?」
一度溢れ出た思いは、なかなか止められるものではなかった。涙は見せないと決めてこの場に臨んだというのに、思いだけでなく、涙も溢れ出ていた。
「君が望んでいれば、父に君のことを話していた」
私は流れ落ちる涙を拭いもせずに、ゆっくりと顔を左右に動かした。
「レオンハルト様は、わたくしがどうしたいのか、訊いてくださったことはありますか?」
レオンハルト様は少し考えた後で、「なかったかもしれないな」と言った。
「わたくしたちは出会ったその時から、いずれ別々の道を行く運命だったのです。だからこそ、ここでお話をしたすべてのことが、美しくこの胸に残るのです。わたくしはあなたと過ごした時間を後悔したくはありません」
レオンハルト様は、深いため息をついた。
「今の君は少し冷静ではない。今日は帰るから一度考え直してほしい」
レオンハルト様は、わたくしとアーデルベルト様をこの場に残して、足早に立ち去った。
アーデルベルト様が、ハンカチを差し出してくれた。
「お拭きください」
「ありがとうございます」
わたくしはハンカチで目元を押さえた。
「お恥ずかしいところをお見せしました」
「いえ、お気になさらぬよう」
アーデルベルト様の穏やかな声が、わたくしを慰めてくれた。
「このまま、少しお時間をいただけませんか?」
アーデルベルト様からの申し出を断れるはずがない。承諾すると、「場所を移しましょう」と、手を差し出された。
わたくしは思っていた以上に疲弊していたらしく、アーデルベルト様に支えられてようやく立ち上がることができた。
そのままエスコートされて、アーデルベルト様個人の客間に通された。
いつもカーリン様とお話をする部屋とは違い、落ち着いた色調の内装だった。
メイドがお茶を出してくれるのを待つ間、アーデルベルト様はわたくしに話しかけるわけでもなく、ただ、優しい眼差しを向けてくださった。
涙は止まったものの、レオンハルト様に浴びせてしまった言葉を繰り返し考えてしまい、気分は落ち込んだままだった。
それほど経たずにお茶が運ばれてきた。
「どうぞ」
アーデルベルト様は微笑みかけてくださった。促され、お茶を一口飲むと、心がわずかに落ち着きを取り戻した。
「今日はお引き止めしてしまい申し訳ございません。日を改めるか、迷ったのですが、どうしても今お伝えしたくて」
「はい。アーデルベルト様となら、わたくしもお話したいです」
アーデルベルト様の笑顔が、あまりにも優しく、わたくしは心から今一緒に過ごせていることに感謝した。一人になれば、悲しみに暮れてしまうことが目に見えている。
「エリーゼ嬢、あなたがレオンハルトを愛しているのは知っています」
アーデルベルト様の言葉を聞いて、今も、本当に、愛しているのだろうかと、疑問が湧いた。レオンハルト様が婚約をされた日から、会っている間、心から楽しめたことはなかった。
「そうですね。たしかに愛しておりました」
わたくしの中でレオンハルト様との関係は、過去にしなければならないことに変わってしまった。
「無理なさらなくても良いのですよ。愛したままでも誰に咎められるものではありません」
わたくしは頷けなかった。これからわたくしは婚約してくれる相手を探さなければならない。レオンハルト様を忘れられなくても、お相手には決して悟られてはいけないのだ。
「ところで、あなたにご提案があります」
「なんでしょうか?」
「私と婚約を交わしていただけませんか? 当然、ゆくゆくは結婚をする前提での婚約です」
「レオンハルト様の支援が必要なのですか?」
「そのようなものは必要ありません。それに、あなたをレオンハルトの自由にさせる気もありません。あなたが望まない限りは」
アーデルベルト様の真剣な眼差しに捉えられ、わたくしは瞬きもできなかった。
「最初からあなたの幸せを願って協力してきたのです。ただ最近は、あなたが辛そうに見えていたので、そろそろ協力を断ろうと考えていた矢先でした」
わたくしはアーデルベルト様の思いがけない告白に、何も言葉を返せずにいた。
「元々、私の成人の舞踏会にあなたが招かれたのは、私が強く望んだからです。まさか、あなたとレオンハルトとの縁を繋ぐことになるとは思いもしませんでした」
アーデルベルト様は、複雑な表情をしていた。
「アーデルベルト様のことは信頼していますが、わたくしとあなたが婚約すると、レオンハルト様が期待なさるのではありませんか?」
「レオンハルトのことは、この際関係ありません。あなたが私のプロポーズを受け入れてくださるかどうかです」
わたくしは、まだ混乱していて、先のことを考えられる状態ではなかった。
「今はまだ……」
「すぐに返事がいただけるとは思っていません。それに検討いただく前に、お話しておかなければならないこともあります」
わたくしは、本当に検討できるのか判断できないまま、アーデルベルト様の話に耳を傾けた。
「私は、数年以内に母方の祖父の後を継ぐために、北部へ移ります。北部は遠いため頻繁にはこちらに戻れなくなります」
「アーデルベルト様のお母様のご実家は、ヴァルデンベルク辺境伯領でしたか?」
「そうです。母の弟が継ぐ予定だったのですが、考古学に魅入られ行方不明になってしまったのです」
わたくしは思いがけない理由を聞き、呆気にとられてしまった。
「私が兄弟の中で一番、武芸に秀でていたため、後を継ぐことになりました」
昨年成人したばかりなのにもう皇室騎士団の副団長を任じられているのだ。辺境伯の役割を考えれば、アーデルベルト様に白羽の矢が立てられるのは当然だった。
アーデルベルト様の話を聞いて、わたくしが婚約者に望んでいた条件に合うことに気づいた。それでも、レオンハルト様へ抱いていた思いを知られている以上、アーデルベルト様の元へ嫁ぐことは許されない。
「アーデルベルト様……」
「今、返事をしようとしていますね。それは困ります」
「でも、先延ばしにするわけには……」
「北部へ移るのはやはり考えられませんか?」
「いえ……北部へはむしろ行きたいくらいですが……」
「では、なぜですか?」
「わたくしはレオンハルト様を忘れられてはおりません」
「無理に忘れる必要はありませんよ」
「それでは、申し訳が立ちません」
「私は、待てます……と言いたいところですが、それはエリーゼ嬢の心の負担になってしまいそうなのでやめておきます」
アーデルベルト様の優しさに、胸が締め付けられた。今すぐ思いに応えられればどんなに良かっただろう。
「プロポーズの返事を後日にしていただくのと、もう一つだけお願いをしても良いでしょうか?」
せめて、他の願いは聞き入れたいと思いながら、頷いた。
アーデルベルト様は、わたくしの前に移動してきた。
「エリーゼ嬢、次に開かれる舞踏会で私のパートナーになっていただけませんか?」
アーデルベルト様がわたくしに向けて手を差し出した。
何を頼まれるのかと身構えたが、婚約者のいないもの同士、パートナーとなることは良くある。
「謹んでお受けします」
わたくしはアーデルベルト様の手に手を乗せた。
「感謝いたします」
指先に、アーデルベルト様の唇が触れた。レオンハルト様にも指先へのキスは一度もされたことはなかった。そして、気づいた。
「次の舞踏会はまさか……」
「私の誕生日を祝う舞踏会が近く開かれます」
わたくしが狼狽えていると、アーデルベルト様は「大丈夫です」と言った。
「レオンハルトは招待しません」
わたくしが心配しているのはそんなことではなかった。アーデルベルト様の誕生日を祝う舞踏会でパートナーを務めること。それは、婚約をお披露目するのと同じ意味を持つ。
「あなたを幸せにしたいのです。今はもう、レオンハルトよりはあなたに相応しいと自信もあります」
アーデルベルト様でなくても、レオンハルト様よりわたくしを幸せにしてくれる方は他にもいるだろう。
それでも今、目を潤ませながらわたくしを誘うアーデルベルト様を見ながら、この方はわたくしが側にいれば幸せを感じられるのではないかと、そんな考えがよぎった。
〈おしまい〉
テンプレではなくてごめんなさい。
次はザマァを書いてみます。




