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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣を歩きたい――  作者: 蒼宙 つむぎ


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4.Cafe Latte(26)

21:00を少し過ぎてしまいました。(汗)

26.静かに、でもスピードを持って


 カタカタカタカタ……

 カリカリカリ……

 カチカチ カチカチ


 休み明け、割り振られた仕事を効率よくこなしていく。


(最終の哲平さんのチェックが3日後。1次チェックを今日してもらいたいから……。残り1時間でこっちを終わらせて……)

 頭の中はフル回転だ。


「山本さん、一つ追加お願いしてもいいですか?」

 石川さんから声をかけられる。

「はい」

 手を止め、メモとペンを手に取り、彼に向き合う。

「明日の午後一で取引先と打ち合わせに必要になりました。今日の14:00までに抜けがないか確認してください」

「はい」

 仕様書と議案書を受け取る。


 ペラペラペラ……


 議案書をざっと読んでから一気に仕様書に目通す。

(1ページ目と2ページ目は問題ない。3ページ目に2か所。後は5ページ目に3か所の抜けと間違いがある)

 腕時計を確認する。

「これだと1時間でできる。でも、最後にもう一度チェックをしたいから……うん。1次チェックをリスケして……」

 思ったことを無自覚でつぶやく。


 カサカサカサ……

 トントン


 広げていた書類をいったん集め、脇に寄せる。


 ペリッ

 カリカリカリ

 ペタ


 付箋に今までできたところ、続きはどうするのかを書いて貼る。


 背筋を伸ばし、細く長く息を吐く。

 そして、今しがた受け取った書類を横に並べ、ペンで文字をなぞるようにしながら目を通す。

(あ、2ページ目に1つ確認するところがある。それから……)

 1ページごとに時間をチェックし、どれだけのペースになったのかを把握する。

「うん。これならもっと短い時間で終わらせれる」

 もう一度頭の中でリスケをしながら手を動かしていった。


 周りの声やキーボードを打つ音は、全く気にならなかった。

 BGMのように聞こえた。

 会社の中にいるのに、自分だけが存在する。

 そんな感覚は初めてだった。



「……終わった」

 ぽつりと言葉を落とした。

 時計の表示は11:55。

 かなりの巻きが出来、最初のスケジュールに戻すことが出来そうだ。


「石川さん、終わりました。確認お願いします」

 受け取っていた書類を返し、スマートウォッチに目を落とす。

 “お昼に行こう  T”


 ふふっと笑みがこぼれ、音を立てずに席を離れる。

 お昼からも、頑張れそうだ。



 瑞葵が離れていったフロア。

 存在感がないと思われていた彼女は目立ちまくっていた。

「瑞葵ちゃん、なんだか雰囲気変わった?」

「前はもっと頼りなさそうだったのに」

「私もそう思った。なんだろ、声かけにくい、かも」

「そうだよね!なんだか、騙された感じがしてる」

「うんうん」


「……」

 石川聡一は眉間に皺をよせ、ため息をつく。

「……くだらない」

 低く地を這うような声は、誰にも拾えなかった。


明日も1話投稿予定です。

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