4.Cafe Latte(25)
2話目です。
25.グループチャット
「おはようございます」
翌朝、食堂へ向かうと哲平さんや水瀬朔さん、白石湊さんが食事をとっていた。黒川理央さんは夜遅くに帰宅している。神崎透さんは朝早くに帰路に就いたようだった。兄の樹は……、まだ夢の中らしい。
(神崎さん、帰っちゃったのか……。やっぱり今後のこと、お話しした方がよかったよね……)
昨日のうちに連絡先だけでも聞くべきだったと反省する。でも、昨日は胃が痛くてできそうになかったのだが。
「瑞葵、グループチャットに招待したから、あとで入っておいで」
哲平さんがコーヒーを飲みながら笑顔で教えてくれた。
「グループチャット、招待ありがとうございます。神崎さんに連絡とりたいと思っていたので、よかったです」
私も笑顔で返事をする。穏やかな気持ちになる。
「哲平のそんな顔、初めて見た!瑞葵ちゃんはどんな魔法掛けたの?」
水瀬朔さんから話しかけられた。
「え?哲平さんは、いつもやさしいです、よ?」
哲平さんは確かに笑顔を見せないことは多いけど、雪ちゃんやお兄ちゃんにも笑顔だから、特に不思議に思っていなかった。
「俺は……、身内にはいつもこんな感じだ」
哲平はそう言って雑誌を手に取って読み始めた。
「哲平~。逆さ向いているよ、その雑誌」
朔さんはからかい、哲平さんは耳を赤くさせた。
(哲平さんがちょっと子供っぽく見える。ちょっとかわいい)
思わず、ふふっと声が漏れた。
こんな哲平さん、初めてだ。
「瑞葵ちゃん、やっと笑った!笑顔がいいね!」
「え?」
朔さんの言葉にびっくりした。
「もしかして、険しい顔になっていました、でしょうか?」
「うん、難しい顔になっていたからね。ちょっと心配したかな」
「すみません。気を使っていただいて、ありがとうございます」
申し訳なくなり頭を下げた。
「気にしないで。俺たちも悪かったな……って思っていたんだ。昨日のミーティングはちょっとしんどかったよね。俺たちもやばいなって感じたくらいだからさ。でも、基本は仲がいいからね。安心して」
朔さんは柔らかく笑いながらフォローしてくれた。
(昨日のような感じが続くと身が持たないと思ったから、これからは大丈夫、なのかな)
胃薬を箱買いしようかと思っていたが、必要ないかもしれないので、ほっとする。
スマホをポケットから出し、通知を確認した。
グループチャットの招待を開き、参加ボタンを押した。
メンバーを確認し、昨日参加していない人の名前を見つけた。
“久遠蓮”
(久遠さん……。健太郎君と同じ苗字だ。珍しい苗字かと思ったのだけど、そうでもないのかな?)
蓮さんのことは気になったけど、そのうち会えるだろうと思ってあえて聞くことはしなかった。
久遠蓮――
画面を閉じても、
その名前だけが、頭の隅に残った。
今日も読んでくれてありがとうございます。
明日は1話投稿予定です。




