4.Cafe Latte(24)
今日1話目です。
24.髪が渇くまで ~神崎透side~
「はあ……」
哲平さんの家に全員が泊まることになり、“温泉か?”と言いたくなるようなお風呂で汚れと疲れを流し、縁側に座り大きなため息をついていた。
今日の樹さんの威圧感が半端なく、正直勘弁してほしい。
しかも、初期メンバーの俺が宙ぶらりんな立ち位置なのは、納得いかない。
「透。隣、座るよ」
タオルを首にかけた樹さんが、そう言いながら腰かけてきた。否の答えはないらしい。
「それで、何か用ですか?」
言葉が少し強めになるが、先刻の応戦の後なので仕方ないと思う。
「ははは。透は素直だね。少しは思っていることを隠さないと」
「……」
この男、へらへらと笑っているが、何を考えているかわからない。
「透。さっきはごめんね。言い方きつかったよね。まあ、わかってやっていたんだけどね」
「わかって?」
イラっとして語尾を強める。
「だから、ごめんって。でもね、こうでもしないと、透は前に進めないだろ?」
「俺が?前に?」
「うん。透は初期メンバーの中で一人年下だからさ。俺たちを立てて頑張ろうとするだろ?それに、お前はもともとは企画とかの方が合っているんだし」
そう、俺は先輩たちの後輩だ。
「俺は、先輩たちを尊敬しています。当たり前じゃないですか」
「透。俺たちはお前を後輩だとは思っていない。同志だと思っているんだ。なのに、つれないな。もっと一緒に同じ目線で作っていこうよ」
俺の顔を覗き込む笑顔は、あの時と同じ無邪気で嘘偽りのないものだった。
「……」
声を出せなかった。
「もう、強情だな~。……透、俺はお前だから瑞葵を託せれると思ったんだ。瑞葵のセンスは本物だ。俺すら敵わないところがある。まだまだ足りないところがあるから、お前が導いてやってくれ」
「導くって……。俺、優しくないですよ」
「知っているよ。でも、ちゃんと筋を通す奴だ。俺の大切な仲間だからな」
「でも、俺はサブですしね……」
ちょっと拗ねた言い方をした。
「はは!そこか!透が気になっているところは!それね、ちょっと違うよ」
「違う?」
言っている意味が分からなかった。
「だって、透は副リーダーになってもらうからね!」
耳を疑い、目を見開いた。
何も言えず、口だけが小さく動く。
樹さんは青年のような笑顔で最後に押し切ってきた。
「ね!」
「っ!!!」
意外だった。
リーダーとしての資質で言えば、哲平さんがなるものだと思っていたから。
なんで俺なんだ。
聞けばいい。
それだけなのに、喉が動かない。
「みんなも俺も、透がこれからを作っていく人だと思っている。頼りにしているんだよ。相棒」
俺は両手をギュッと握りしめた。
ポタポタと雫が落ちた。
「透、ちゃんと髪を乾かしてなかっただろ」
樹さんは首にかけていたタオルを俺にかけながら、そう言い訳をしてくれた。
もう必要とされていないかと思った。
他の人を入れると聞いて、もう駄目だと絶望感を味わった。
でも、彼らから離れるなんて、できないと思っていた。
俺はその場で肩を震わせ、髪が渇くのを待った。
後でもう1話投稿予定です。




