4.Cafe Latte(18)
18.ごめんなさい
「……はい」
健太郎君の問いかけに、俯いたまま返事をした。
もっと緊張するかと思ったけど、そうでもなかった。
『あ……』
何か言いたそうな、そんな声が聞こえた。
でも、視線は上げなかった。
(今日、どうしてWEB会議をすることになったんだろう)
ふと疑問に思った。
でも、聞かなかった。
その必要がないと思ったからだ。
――そして、時間だけが過ぎていく。
少しの沈黙の後、意外な人が重い空気を打ち払った。
コンコン
「瑞葵、まだかかりそうか? 」
哲平さんが個別ブースに顔をのぞかせる。
「健太郎、急ぎか?」
そう言って、今度はモニターを覗き込む。
私はびっくりして目を見開き、哲平さんを見る。
哲平さんもこっちを見て、やさしく笑う。
安心して、笑顔になった。
正直、ほっとした。
このままの雰囲気が続くのは、
辛かったから。
(ありがとう)
心の中でつぶやく。
『あ……。いえ。急ぎではないので、またメールします』
健太郎君は急ぎではなかったようだ。
モニターに視線を移す。
目をそらさず、
まっすぐに彼を見た。
彼も私を見ていた。
そして、返事をした。
「はい」
私は、笑顔にはならなかった。
彼は、少し寂しそうな顔をしていた――。
“退室”ボタンを押し、ノートPCを閉じた。
疲れてため息が出た。
ふと、心配かけて、感謝と謝罪を伝えていないことに気が付く。
(あとで、メールしよう)
長く息を吐いた。
そして、ノートPCを抱え、哲平の後を追いかける。
まっすぐ、しっかりと前を向いて。
本当なら、直接自分の言葉で伝えるべきだと思った。
だけど、今の私は、自分の心を守りたかった。
「ごめんなさい」
ぽつりと言葉が漏れた。
伝えるべき人には、
届くはずもなかった――。
今日も読んでくれてありがとうございます。
明日も投稿予定です。




