表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣を歩きたい――  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/69

4.Cafe Latte(15)

本日1話目です。

15.叱ってくれて、ありがとう


「瑞葵のバカ!」


(はい。バカです)

 ただいま、絶賛叱られ中です。


「樹、もう許してやれ。無事だったんだし」


 哲平さんは優しいです。


「哲平!雪ちゃんが同じことになったら、同じように叱るだろ?!」


(お兄ちゃん!雪ちゃんの名前は出さないで!そんなこと言ったら……)


「……あ~、瑞葵。素直にしっかりと叱られてくれ」


(やっぱり……。そうなると思ったのよ――)


 私は何も言わず、ただお叱りを受ける。




 ポタ  ポタ  ポタ


 私は意識を取り戻し、病院の処置室で点滴を打ってもらっている。

 今日一日は入院して、明日から1週間は自宅療養となった。


(あ~。休み明け、嫌だな……)

 過去のことを思い出し、憂鬱な気分だ。

「瑞葵、休み明け、ゆいにお礼は言ってくれ。瑞葵を見つけてくれたのはゆいだ」

「えっ。ゆいさん、が?」

「ああ、あいつの頭脳は本当にすごくてな。お前の性格とか行動とか、予測してすぐに見つけてくれた」

「そう、なんだ。……はい。ちゃんと感謝を伝えます」

 ゆいさんが探してくれたのが意外だった。

「瑞葵。ゆいも悪い奴じゃないんだ。あいつはいつも一人だったから、ひねくれてしまってな。あと、周りも気の強い奴らばっかだったから、虚勢を張らないと自分を守れなかったんだ。だからと言ってゆいの我儘とか、言葉とかは社会人として失格だ。ゆいにはちゃんと叱った。悪かった」

 哲平さんがいつもより饒舌になり、頭を下げる。

「哲平さん。ありがとうございます。ゆいさんと、話をしてみます」

「無理はするな」

「はい。あ、あの、もし無理そうなら、頼ってもいい、ですか?」

「勿論。だから、安心して復帰してこい」

 大きな手で頭をワシャワシャとされて、苦笑いをする。

(そうだね。大丈夫。ちゃんと、――距離を保つから)



 翌日、自宅に戻り、ソファに腰かけた。

 部屋は綺麗に掃除もされていてありがたい。

(哲平さんの手配でハウスキーパーさんに来てもらって助かった)

 兄の食事や身の回りのことが気になっていたが、私がいなくても問題ない。

 少し寂しく思うが、なんでもこなそうと頑張りすぎてもいけないと痛感する。


『家事はできる人がしたらいいんだ。でも、瑞葵はたった一人なんだよ。大事な家族なんだ』

 兄に叱られたときに言われ、これまでの自分の浅はかな考えに猛反省した。

 二人だけの家族。兄にとって、かけがえのない存在でいられる。

 ここに存在していいのだと、無条件で言ってくれる。



 久しぶりにカフェマシンの電源を入れた。

 マグカップは2つ。

 コポコポと抽出されるコーヒーの香りが広がる。

 入れている時間も愛おしい。


「お兄ちゃん、ありがとう」


 カップを見つめてつぶやく。

 叱ってくれる家族が傍にいる。

 私は小さく微笑んだ。


次話は22:00投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ