4.Cafe Latte(15)
本日1話目です。
15.叱ってくれて、ありがとう
「瑞葵のバカ!」
(はい。バカです)
ただいま、絶賛叱られ中です。
「樹、もう許してやれ。無事だったんだし」
哲平さんは優しいです。
「哲平!雪ちゃんが同じことになったら、同じように叱るだろ?!」
(お兄ちゃん!雪ちゃんの名前は出さないで!そんなこと言ったら……)
「……あ~、瑞葵。素直にしっかりと叱られてくれ」
(やっぱり……。そうなると思ったのよ――)
私は何も言わず、ただお叱りを受ける。
ポタ ポタ ポタ
私は意識を取り戻し、病院の処置室で点滴を打ってもらっている。
今日一日は入院して、明日から1週間は自宅療養となった。
(あ~。休み明け、嫌だな……)
過去のことを思い出し、憂鬱な気分だ。
「瑞葵、休み明け、ゆいにお礼は言ってくれ。瑞葵を見つけてくれたのはゆいだ」
「えっ。ゆいさん、が?」
「ああ、あいつの頭脳は本当にすごくてな。お前の性格とか行動とか、予測してすぐに見つけてくれた」
「そう、なんだ。……はい。ちゃんと感謝を伝えます」
ゆいさんが探してくれたのが意外だった。
「瑞葵。ゆいも悪い奴じゃないんだ。あいつはいつも一人だったから、ひねくれてしまってな。あと、周りも気の強い奴らばっかだったから、虚勢を張らないと自分を守れなかったんだ。だからと言ってゆいの我儘とか、言葉とかは社会人として失格だ。ゆいにはちゃんと叱った。悪かった」
哲平さんがいつもより饒舌になり、頭を下げる。
「哲平さん。ありがとうございます。ゆいさんと、話をしてみます」
「無理はするな」
「はい。あ、あの、もし無理そうなら、頼ってもいい、ですか?」
「勿論。だから、安心して復帰してこい」
大きな手で頭をワシャワシャとされて、苦笑いをする。
(そうだね。大丈夫。ちゃんと、――距離を保つから)
翌日、自宅に戻り、ソファに腰かけた。
部屋は綺麗に掃除もされていてありがたい。
(哲平さんの手配でハウスキーパーさんに来てもらって助かった)
兄の食事や身の回りのことが気になっていたが、私がいなくても問題ない。
少し寂しく思うが、なんでもこなそうと頑張りすぎてもいけないと痛感する。
『家事はできる人がしたらいいんだ。でも、瑞葵はたった一人なんだよ。大事な家族なんだ』
兄に叱られたときに言われ、これまでの自分の浅はかな考えに猛反省した。
二人だけの家族。兄にとって、かけがえのない存在でいられる。
ここに存在していいのだと、無条件で言ってくれる。
久しぶりにカフェマシンの電源を入れた。
マグカップは2つ。
コポコポと抽出されるコーヒーの香りが広がる。
入れている時間も愛おしい。
「お兄ちゃん、ありがとう」
カップを見つめてつぶやく。
叱ってくれる家族が傍にいる。
私は小さく微笑んだ。
次話は22:00投稿予定です。




