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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣を歩きたい――  作者: 蒼宙 つむぎ


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4.Cafe Latte(14)

本日2話目です。

14.見つけた ~ゆいside~


「健太郎、急ぎか?」

 哲平君が受信を受けて、健太郎君と話している。

 この前のWEB会議での言葉を受けた後、逃げ出してしまったから、今は彼の名前が出るのも、辛く感じる。


「瑞葵が?……おかしいな。……健太郎、すぐ探す」

 そう言って電話を切る哲平君。

 くりかえった顔は険しい。

「どうしたの?哲平君」

「瑞葵が、いないって。探さないと」

「えっ?いない?自席にいるんじゃ?」

「いや、健太郎とWEBで話をする予定なのに、繋がらないらしい」

「忘れているんじゃないの?」

「それは、あり得ない。瑞葵は極端に人の目を気にしている。何も言わずに予定を反故にしないし、忘れることはない」

「なんで?そんなのわからないでしょ?」

 哲平君は、私の言葉を受け、視線を逸らす。

「お前にはわからないのだろう。でも、俺は知っている。――ずっと、見てきたから」

「見てきたって……」

 哲平君の言い方が、気に入らなかった。

 すごく大事にしているって言っているみたいで。

(ちやほやされ過ぎでしょ。ムカつく)

「今のお前にはきっとわからない。あいつは……」

 そう言って、部屋を足早に出ていく。


(なんなの?本当にあの人)

 イライラしていた。

(みんなあの子を優先するんだもん。いつも見てもらえて、いいご身分ね)

 ただの嫉妬だと、わかっていた。

 でも、私はひねくれているから、素直にうらやましいとは言えない。


 自席に戻ろうとしてふと山本瑞葵の席に視線を投げた。

(スマホがある。ん?PCも?)

 違和感を感じた。

「カレンさん、山本さんはどこに?」

「ん?瑞葵?席にいない?」

「いません、ね……」

「え?いない。いつからだろう……。みんな、瑞葵ちゃんを見なかった?」

「見ていません」

「俺も、いつからいないのかな?」

「私は10:00すぎにどこかに行くのを見たのが最後……かも?」

「俺も。ちょっとふらついていたから心配になったんだよね……」

「ふらついていた?心配になったら言いなさいよ!」

 カレンさんが声を荒げた。

「カレンさん、何もそんな怒らなくても」

「あの子はね!気を使って、気を使って、使い過ぎてしまうのよ!クソ!私が忙しくて気に掛けるのを怠ったから……」

「え?なにそれ。そんな、子どもじゃないんだから、気にかけすぎでしょ」

 つい、本音が出てしまった。


 バチンッ


 左ほほをぶたれた。

 びっくりした。

 今まで、誰にもぶたれたことなんてなかったから。

 そして、プライドを傷つけられた気がした。


「何すんのよ!この私に何を!」

「うるさいんだよ!あの子の何がわかるんだ!あの子はずっと……一人で戦ってきたんだ。お前みたいな、心無い奴らに一人でな!」

「なっ!」

 言い返そうとした。でも、できなかった。


 心無い、――図星だったから。


 自覚していた。

 心無いことを言ったし、してきたって。

(でも、今更変えられないじゃない)


 カレンさんはチームの人たちになだめられていたが、喚いていた。

(ああいう大人にはなりたくないわね

 ――まあ、私も人のことは言えないんだけど)

 ジンジンと痛み出した左ほほをさすりながら、子どもの私はため息をつく。


 腕時計を見た。

 もうすぐ15:00。10:00過ぎから5時間が経とうとしている。

 心無いと言われた私でも、まずいと感じる時間だ。


 チッ!


 舌打ちをしてその場を離れた。

 ゆっくりしている場合では、ない。

 どんな人でも、命は平等。


(仕方ないな……)

「さて、どこに隠れているの?瑞葵さん」

 目を閉じ、雑音を脳内から排除した。


 空気を鼻から吸って、

 口から吐く。


 私は頭の中で彼女の行動パターンをプロファイルする。


「――うん。きっとここ、ね」


 私は、迷わず資料室へと向かった。


今日も読んでくれてありがとうございます。

明日も投稿頑張ります。

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