表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣を歩きたい――  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/63

4.Cafe Latte(3)

職場あるある……的な話になりました。


3.素直


「「瑞葵ちゃん!」」

 カレンさんに連れられ、フロアに入るとお世話になっていた先輩や同期が集まってきた。

「あ、あの!今日からまた、お世話になります。ご迷惑をおかけしました」

 緊張しながらも、丁寧に挨拶する。

 周りの人たちは少し涙目になっていた。1人を除いて。

「またお世話になります?ご迷惑をおかけした?だったら、来なけりゃいいじゃない。また、迷惑をかけるんじゃないの?」

 ちょっときつめの口調で、棘のある言葉を“ゆい”さんが投げつけてきた。

(え~。初めてあった人に言われちゃったわ……)

 この場所の空気が一気に凍りついたような、なんとも言えない状況になった。

「わあ。本当にそうだよね。ごめんなさい」

 なんとかこの場をおさめたくて返事をするが、全く変わった気がしない。

「わかってるなら帰ったら」

 さらに突き刺さる言葉をかけられて居たたまれなくなる。

(私、彼女になにかしたかなあ。リクルーターじゃないって言わなかったのがいけなかったのかな)

 だめだったことの答えを探し、反省する。

「ゆいちゃん、その言い方はおかしいでしょ。あなたに瑞葵ちゃんの何がわかるの?」

 庇ってくれるカレンさんの声は、とても低く冷たい。

「知りませんよ。この人のことなんて。自分で迷惑をかけたと言ったから、感じたことを言っただけです」

 “ゆい”さんは強い人でした。

(カレンさんに睨まれても言い返すことが出来るなんて。凄いわ!)

 自分なら泣いていると思い、彼女の強さが眩しく感じた。

「瑞葵が悪いわけじゃない。ゆい、お前は日本の文化をもっと学んで、周りに合わせる努力をしろ。――瑞葵、お帰り。ゆいの言葉は気にしなくていい」

 哲平さんが人だかりの奥から声をかけてくれ、みんな一斉に振り返り、さぁっと道を開く。

 腕組みした哲平さんは不機嫌そうな顔でゆっくりと歩いてきた。

「哲平君!ゆいは!悪くない!何もしていないなら謝らなければいいでしょ!だから日本っていやなのよ!」

 “ゆい”さんは大声で自分の主張を伝える。

(海外生活長いのかな?日本の言い回しに慣れていないのかも)

「そうか。なら、お前が帰れ。ここは職場だ。自分の感情をぶつけて、和を乱す奴はいらん」

 そう冷たく言い放つ哲平さんを、信じられないと言いたげなショックを受けた顔をして“ゆい”さんは大きな目に涙を浮かべる。

「哲平さん。それは言いすぎです。“ゆい”さん、まだ自己紹介してませんでしたね。初めまして。山本瑞葵と言います。訳があって、お休みしてました。今日から復帰なので、よろしくお願いします」

 そう言って頭を下げる。

「姫川ゆいです。言い方、きつかったみたいで、ごめんなさい」

 そう言って頭を下げてくれた。

(ゆいさん。ゆいちゃんって呼んでいいのかな。きっと悪い人じゃない、と思う)

「でも、思ったことは違わないので。それに関しては謝罪しません」

(……うん。個性的な子なのね)

 私は何も言えず、ただ笑顔を張り付けたまま途方に暮れた。


 世の中には、いろんな人がいる。

 素直に言葉にできない人。

 素直になりすぎる人。

 合う合わないは、誰にでもある。


 でも、いがみ合わず、尊重し合えばきっとうまくいく。

 ――これまでは、そう信じていた。

 でも、それが難しいことなのだと、あとで痛感することになった。


明日は2話投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ