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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣を歩きたい――  作者: 蒼宙 つむぎ


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2.My first café au lait(11)

本日1話目。

ちょっと短めです。

ですが、瑞葵の心の成長のお話です。

 11.小さな一歩(2)

 

 テストプレイが終わり、ざわついていた空気が少しずつ落ち着いていく。

 誰かが席を立ち、誰かが端末を閉じる音がして、室内に静けさが戻った。



 瑞葵は自席の画面の前に座っていた。


 さっきのプレイで、ほんの一瞬だけ気になったところがある。

 操作を間違えたわけでもない。

 止まったわけでもない。

 ただ――ほんの一拍、視線が迷った。


(……ここ)


 瑞葵はキーボードに指を置く。

 迷いはあったが、誰かに聞くほどのことでもない気がした。


 効果音を少しだけ弱める。

 表示されるテキストのタイミングを、ほんのわずか遅らせる。

 意味は変えず、温度だけを下げる。


 それだけ。


 カチャカチャカチャ……


 修正を保存して、静かに手を下す。

 自分でも理由ははっきり説明できない。

 でも、さっきより“しっくり”きた。


 そのとき、背後で足音が止まった。


「……今の」


 低く、落ち着いた声。

 振り返ると、哲平が立っていた。


「今の修正、いいな」


 それだけ言って、彼は去っていった。



 瑞葵はしばらく、その場に座ったままだった。


 それは、嬉しさとも、安心とも少し違う。

 でも確かに、自分の中で何かが“肯定された”感覚だった。


 瑞葵は画面を見つめ、そっと息を吐く。


(……これで、いい)


 それは小さな一歩だった。

 けれど確かに、前に進んだ一歩だった。


 ほんの少しだけ、

 自分の手で何かを変えられた気がする。


 背中の奥で、何かが静かに伸びたような気がした。


次は22:00に投稿予定です。

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