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第3話 ギャルと下校

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、法律などとは関係ありません。

「さっきどうして逃げたの~?」


 頬をムクッと膨らませながら距離を詰めてくる渡辺さん。

 目を逸らす俺。


「ね~どうして目逸らすの~?」


 カツアゲされると思った俺は、財布から諭吉を2枚スッと差し出す。

 昨日卸したばかりのピン札だ! くらえ!


「これで勘弁してください」

「何言ってんの? そんなのいらないよ?」


 はてなマークを浮かべる渡辺さん。


「えっ?」

「その鞄に付いてるキーホルダー『柘榴ですよ。』のだよね! あたしファンなんだ~!」


 俺の鞄に付いている、キーホルダーを指差した。

 一瞬思考が停止する。


「えっ!? 渡辺さん、『柘榴ですよ。』知ってるの?」

「あったりまえじゃーん。こう見えてもあたし、エ〇ゲーマーなんだよ♪」


 とんでもない事実が飛び出した。

 ギャルでスクールカースト最上位の渡辺さんが? エ〇ゲーマー? こんなことがあるのか……。


「知ってる人いてびっくりしちゃった!」


 どうやら渡辺さんは、『柘榴ですよ。』のファンで、

そのキーホルダーを付けていた俺に話しかけようとしただけだったというわけか。


 俺はずっとカツアゲと勘違いをしていた。なんか申し訳ない……。


「そだ! もう夕方だし、一緒にかえろー!」

「お、おう」


 ギャルは話題の転換が速い。



 そんなこんなでギャルと下校することに。

 渡辺さんの家は学校からさほど遠くなく、少し歩いた最寄りのバスで十分程で着くらしく、そこまで一緒に行くことになった。


 まさかこの俺がギャルと下校することになるなんて……。

 周りの視線がエグイ。

 それもそうだ、渡辺さんはクラスの人気者だし好意を抱いている男子も多いだろう。


「おい! オタクの野郎、渡辺と一緒にいるぞ、生意気だな」

「あいつクラスじゃ目立たないくせにマジウケる~」

「あいつの名前なんつったっけ?」

「えーと、たしか……栗井じゃなかったか?」


 粟井な! どいつもこいつも俺の名前覚えてる奴いねーよな!

 もういっそのこと栗井にしてやろうか。こら! とかいう俺もあいつらの名前は誰一人もしらないんだけどな。


「どしたの? 友達?」

「あぁ、いやなんでもないよ」


 外野がガヤガヤ五月蠅いがそこで高みの見物でもしているがいい。俺はギャルとの下校を堪能させていただこう。

今思えば、こうして女子生徒と下校するのは初めてだ。


 そんなことを考えていると渡辺さんが口を開いた。


「オタク君って名前なんだっけ?」

「あ、粟井だよ。粟井周介」」

「周くんね! よろしく♪」


 距離の詰め方すごいな……。さすがギャルだ。


「渡辺さんは……」

「呼び捨てでいーよー。あたしたちタメだし」

「ありがとう。助かる」


 こういう軽いノリが通用するのはギャルの特権だな。


「周くんさ~どうして逃げたりしたの? あたし、凄いショックだったんだよ~」

「悪い悪い。実はさ……」


 俺はずっと渡辺さんに抱いていた疑問を訊いてみることにした。


「渡辺の噂が……」

「噂? あっもしかして! あれの所為か~」


 渡辺は納得のいった顔を浮かべた。


「カツアゲされるかと思って……逃げちゃいました……」

「はー!? うちそんなことしないし~、最悪なんですけど~」

「わ、悪い……。人を見た目で判断しちゃいけないって分かってるんだけど」

「あっ! いや、周君は悪くないよ。あたし、こういう見た目してるから遊んでる風に見られるみたいでさ困ってるんだよね~」


 まぁ、金髪ミニスカにルーズソックスはギャルの3大特徴だしな。男子が勘違いするのも無理はない。


「告ってくるのもヤンキーで、ピチピチのスキニー履いてる陽キャばっかだし。ほんとダサいし最悪」


 それに関しては激しく同意。


「分かる。陽キャあるあるだよね」

「ほんとそれ! 量産型すぎ」


 意外だった。こういう見た目をしている人は、好きになる人もそういうタイプだと思っていたから。

 どうやら渡辺は違うらしい。

 どういうタイプが好きなの? と話題を振ろうと思ったが、まだ知り合ったばかりなのでやめることにした。


「それにしても噂どうにかならないかな~」

「流してる奴に心当たりとかないの?」

「ぜ~んぜん。どうしたもんかな~」


 渡辺さんは呆れ顔を浮かべた。

 それにしてもでたれめな噂が独り歩きしていては渡辺も大変だろう。


 その後俺たちは、渡辺の苦労話と少しだけエ〇ゲについて語った。

渡辺も熱い展開がある物語が好きらしくおすすめのエ〇ゲを教えてもらった。

 もう少し話していたかったが学校から最寄りのバスまで10分とそんなに遠くなかったのですぐ着いてしまった。


「あたし、このバスだから」

「おう、今日は楽しかった。また明日な」

「今日はありがと、めっちゃ楽しかった」

「それはよかった。俺も楽しかった」

「そーだ! また時間が合えば一緒にかえろーよ!」

「もちろん、俺で良ければ」

「えへへ、やった~!」


 渡辺は人差し指を口元へ添えながら


「また明日、周くん♪」


 綺麗な金髪とキラキラのメイクも相まって笑顔が眩しい。

 扉が閉まり、バスが視界から見えなくなるまで、その場にたたずむ……


 可愛くてノリが良い、それに、どんな人にも愛想が良いときた、こりゃ人気になるわけだ。

 俺は渡辺幸香がどうして人気者でスクールカースト最上位なのかを再確認した。

 

 それにしてもまさか渡辺と下校することになるとは思わなかった。

 俺みたいなオタクが絡んではいけない存在だと勝手に思っていたが考えすぎだったな。


 俺は全国のオタクに強く言いたい。






 オタクに優しいギャルは存在します!!!!!!!!!!!!

第3話、読んで頂きありがとうございます!

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