胸騒ぎと秘密の手渡し
泪は牢の中でグレイフェズのことを想い……。
私はメーメルと牢の中にいる。周囲からは鼻をつまみたくなるほどの悪臭が漂っていた。
両手を縛られているせいで鼻を塞ぐこともできない。
それでも目と口は塞がれてないから、みることもできるし話せるから良かったと思う。
これで何もできなかったらメーメルと話せなくて退屈だっただろうと思った。
そういえば今頃グレイは……どうしてるのかな? 早く終わらせて逢いたいなぁ。
そんなことを思いながら遠くをみつめる。
「ルイ、ツライのかのう?」
「ううん、そうじゃないよ。只、今頃グレイはどうしてるのかなって思ってたんだ」
「そうじゃなぁ。ムドルやベルべスクも一緒じゃ。一人ではないから大丈夫だと思うがのう」
そうメーメルに言われるも私は、なぜか胸騒ぎがしている。
「それは分かっているけど……なんか胸の辺りが、ザワザワしてるんだよね」
「暫く逢っていないからじゃないのかのう?」
「そうなのかなぁ……だけど、そうなのかもしれないよね」
なんか違うような気もしたけど私は、そう思うことにした。
「今は自分のことを心配した方がいいのじゃ」
「うん、そうだね。これから何が起きるか分からないし」
「それでいいのじゃ。それにしても何時まで、こんな所に居なければならないのかのう。鼻がまがってしまうのじゃ」
確かにメーメルの言う通り、ここって臭いよね。
そう思い私は苦笑する。
その後も私は、メーメルと話をして暇をつぶしていた。
▼△★△▼☆▼△
ここはバルギジアの町にあるティハイドの屋敷。その建物内にある一室だ。
その部屋には装備などが飾られている。
そんな装備などが不釣り合いなほどの部屋の模様だ。そう水色と白のストライプなのである。
その一室の床に魔法陣が浮かび上がり展開された。
そして、ピカッと魔法陣は発光したと同時にグレイフェズとカロムの姿が現れる。
「ここは何処なんだ?」
「それは言えません。それと、この部屋からは用もないのに出ないでください」
「なるほど……そういう事か分かった」
そう言いグレイフェズは、コクッと頷いた。だが心の中では建物の中を探れず悔しく思っている。
(外部に漏れることを恐れてのことか。どうやって探りを入れる? このままじゃ……何もできない)
するとカロムが、グレイフェズへと近づき監視用の魔道具に背を向けた。
そして鍵と小さく折られた手紙と青い魔石の付いた小さなブローチをカロムは素早くグレイフェズの手に握らせる。
「すぐ仕舞ってください。みるのはベッドの上で」
小声でそう言いカロムは何もなかったようにグレイフェズから離れた。
それを聞きグレイフェズは軽く頷き急いでカロムに渡された物を懐に入れる。
「チェックさせていただきましたが服や装備品に怪しい物は付いていませんでした」
「疑ってるのか?」
「いえ……念には念をですよ。私は自分の部屋に向かいます。グレイフェズ今日は、ユックリと寛いでいてください」
そう言うとカロムは自分の荷物を持ち部屋を出ていった。
それを確認するとグレイフェズは荷物を持ちベッドへと向かう。
(カロムは何を考えてる? いったい何を渡してくれたんだ)
そう思考を巡らせながらグレイフェズは、この広い部屋の中にあるベッドを探し歩いたのだった。
読んで頂きありがとうございます(^▽^)/
『私もルイさんを追いかけて森に向かいます!』…byムドル
『妾も行こうかのう』…byメーメル
『何処に行くの?』…by泪
『ムドルと森に行こうとしたのじゃ』…byメーメル
『そうなんだね。今ムドルさんが出ていくのみえたよ。早く追いかけた方がいいと思うけど』…by泪
『そうなのじゃ! 急ぐのじゃあ~』…byメーメル
『なんで、あんなに慌ててるんだろう?……早くって言ったけど。あんなに慌てなくても』…by泪
と、いう事で次話もよろしくお願いします(#^^#)






