表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/293

エピローグ1……告白されても

泪は宿屋の部屋で荷物の整理をしていたが……。

 ここはタルキニアの町の宿屋。


 現在、私はメーメルと荷物をまとめていた。そう、今日この町を発つからだ。


 昨日、私たちはここに着くなりギルドの方に向かいマスターと色々なことを話す。



 あ~あ……ギルドに残って、受付やりたかったなぁ。でも、まぁいいかぁ。他の町で受付の勉強してこれるし。

 そんなことよりも、マスター大変だったみたいだなぁ。色々なあと処理で……。コルザさんのこととか、この町で起きたことなんかも……一人でやってた。

 私も手伝いたかったけど、アクロマスグに行ってやらなきゃいけないことあるから……。とりあえず、マスターの手伝いができるぐらいに成長してこないとね。



 そう思いながら私は、バッグの中や異空間の収納ケースに荷物を入れる。


「あれ? メーメル、ちょっと待ってて急いで市場に行ってくる。もしグレイ達が来たら、ムリゴを買いに行ったって言っておいて」


「うむ、分かったのじゃ。慌てず、ゆっくりのう。まだ時間はあるのじゃ」


 そう言われ私は頷いた。


 その後、私は部屋を出て市場に向かう。



 ▼△★▽▲☆▼△



 私は市場でムリゴを買ったあと宿屋の中庭を通る。


「あ、ルイさん。市場に行って来たのですか?」


「ムドルさん。はい、旅の途中で食べようと思って」


「そういう事ですか。それにしても、本当にムリゴが好きですね」


 そう言いムドルさんは、優しく微笑む。


「うん、元々果物が好き。それにこのムリゴ美味しいし。それだけじゃないの、グレイが最初に買ってくれたのがこのムリゴだった」


「なるほど……その時のことを思いながら、食べていると……妬けますね」


「焼ける? ムリゴを焼くんですか??」


 そう私が聞くとムドルさんは一瞬、キョトンとした。


「……アハハハ、そうですね。ムリゴは、焼いて食べても美味しいですよ。焼きムリゴ、食べてみますか?」


「はい、食べてみたいです! でも、ここでですか?」


「そうですね……あそこに木の長椅子がありますが、どうしますか?」


 そう聞かれ私は悩んだ。だけど、まだ時間あるし食べてみたかったので頷いた。


「そうだね。お願いしようかな」


 そう私が言うとムドルさんは、ニコリと笑い木の長椅子の方に向かう。そのあとを私は追った。



 木の長椅子に腰かけると、ムドルさんも私の隣に座る。


 私は一瞬、ドキッとした。だけどグレイの顔が頭に浮かび、ムドルさんから少し離れる。


「……まあいいでしょう。ムリゴを一個いただけますか?」


 そう言われ私は、袋からムリゴを一個とってムドルさんに渡した。


 ムドルさんはムリゴを左手で持つ。そして右手をムリゴに翳すと魔族語で詠唱する。


 するとムドルさんの右手が光って、小さな魔法陣が現れた。その魔法陣から小さな炎が現れムリゴを覆い包む。


 その後、丁度いいぐらいの色にムリゴが焼ける。


 そのムリゴをムドルさんは、私にくれた。


 それを受けとると私は、そのいい匂いにウットリする。


「う~ん、良い匂い。いただきま~す!」


 そう言い私は、焼きムリゴを食べた。


「うわぁ~、凄く美味しい。こんな食べ方もあるんですね」


「ええ、本当に美味しそうに食べますね」


 そう言いムドルさんは、微笑みながら私をみつめる。


 みつめられ私は、ドキドキしてきた。



 どうしたんだろう……この空気、なんかまずい気がする。だけど……動けない。



 そう思い私は、この場をやり過ごそうと焼きムリゴを急いで食べる。


「アツ、ハハハハハ……だけど……美味しい」


「慌てないで、火傷しますよ……まだ熱いですので。あ、口元に……」


 そう言われ私は、自分の口をハンカチで拭こうとした。とその時、ムドルさんが私の口元の焼きムリゴの食べかすをなめる。


「……」


 私は何も言えなくなった。そして言うまでもなく、顔が茹蛸のような状態だ。



 鼓動が鳴りやまない、だけどどうして? なんで……口元の食べかすをなめたの? でも……。私は……。



 そうこう思考を巡らせる。


 するとムドルさんが私を抱きしめた。


 更に私は混乱する。


 ムドルさんは私の耳元で囁いた。信じられない言葉を……。


「――好きです。初めて逢ったあの日からずっと、こうしたかった」


 そう言われ私は、どうしていいか分からなくなる。



 えっ!? まって……。でも、私は……。だけど、グレイは私のことどう思ってる? 分からない……。



 考えても余計に混乱するだけだ。それにこの状況、凄くまずいと思った。


「……む、ムドルさん。気持ちは、凄く嬉しい。だけど、どうしたらいいのか分からないの。だから今は……」


「グレイが好きなのですね」


「そ、それは……。う、うん……好きなんだと思う。でも、グレイは……弟子としか思ってない」


「そうですか……そうですね」


 そう言いムドルさんは、私から少し距離を置く。


「気持ちの整理ができてからで構いません。私は、いつまでも待ちますので……」


 ムドルさんは、ニコリと笑う。


「ごめんなさい……」


 なぜか涙が出てきた。


 その涙をムドルさんがハンカチで拭いてくれる。


「謝らないでください。私は、大丈夫ですので」


 そう言いムドルさんは、立ち上がり私に背を向けた。


「そろそろ、旅立つ準備をしませんと」


「そうですね……。私も、準備しないと」


 私もそう言うと立ち上がった。


「このことは、誰にも言わないでください。流石に、恥ずかしいですので……」


 そう言い放ってムドルさんはこの場を離れる。


 そして私は、混乱したまま部屋に戻った。

読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)


『(ó﹏ò"ll)……』…by泪


『( ⸝⸝⸝ ̫⸝⸝⸝)◦♡︎……』…byムドル


『´・ω・`)??……二人共、どうしたんだ?』…byグレイフェズ


『うむ、なるほどのう。グレイは聞かない方が良いのじゃ(*´艸`*)♡……』…byメーメル


『σ(・ω・`)ハテ?』…byグレイフェズ


と、いう事で……∩^ω^∩


では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)


今日、第一部の最終話を22時過ぎに更新します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ