第1話 『目覚めの朝』
朝の光が寝室の中の暗闇を追い払ってゆく。
その光は窓にかかっているカーテンを透過して、ベッドに横たわっているジュンの瞼を熱く刺激する。
否応なく目が覚めた。
見慣れない天蓋が瞳に映し出される。
いったいここはどこだろう、という考えが一瞬頭に浮かんだ。
それからすぐに、そういえばと思い出す。
「ふぅ。やっぱり……夢じゃないよな……」
一言を洩らしつつ、昨日有ったことを順に思い出してゆく。
途中で面倒になり、その思考を中断する。後はレオンとケンジが目覚めてから考えればいいかと思う。
思考を整理するには、やはりアノやり方が一番だと思うから。
ジュンの隣では、いまだ安らかな寝息を立てるケンジと、薄く朱色の瞳を開いたレオンがいた。誰かが起きた事に気がついて目が覚めたようだ。
「よぉ、レオン。おはよぉさん」
まだ少し寝ぼけている頭を起こすように声を掛けた。
「ああ、ジュンか。おはよう」
すぐにシャキッと返事が返ってきた。
青年の金色の髪が、陽の光を浴びてより一層の輝きを放っている。彼には寝惚けている時間はないらしい。
ジュンは今が何時かと確認するために、傍らに置かれた時計に目をやった。
『6時16分』と表示――いや、長い針と短い針が指し示している。
この世界では科学技術の代わりにラルクリアと呼ばれるマジックアイテムと、魔法や魔装といった不思議な力が生活を支えている。
そのためジュンたちの国であるピースでは考えられないほど、ユーレスマリアはアナログの世界――詳しく言うならば中世ヨーロッパを偲ばれる世界だった。
「う~ん……」
「お、ケンジも起きたか」
ムニャムニャと口を動かしながら、栗色の髪をボサボサにした少年がムクッと起き上がった。
まだ完全に起きてはいないようで、目が虚ろいでいる。
「ふぁ~あ。おはようジュン、レオン」
大きな欠伸を手で押さえながらケンジが挨拶をしてきた。
かなり眠そうだ。あまり眠れなかったのだろうか……。
ジュンはあの消灯の後、すぐに眠りの森へ拉致られたため、彼の様子を知らない。
ふむと、考え込んでいると、レオンがそっと近づいてきて囁いた。
「ケンジは、消灯した後、布団の中でホログラフォンを使っていた。おそらくエンチャンターの勉強をしていたのだと思う」
あれほど、もう寝とけと言っておいたのにと思うが、ケンジらしいといえばケンジらしかった。
きっとレオンも、好きな事に打ち込んでいる彼を止めるに止められなかったのだろう。
もし本当にヤバイ状態なら力ずくで止めていただろうが、人間1日や2日徹夜しても大丈夫な体を持っている。
「なるほどな……。はぁ、アイツきっと今日の始業式とレクリエーションは寝てるつもりだな」
呆れたため息を1つ洩らした後、顔を洗う水を探しに行こうとベッドから降りた。
周りを見ても水を出してくれそうな器具も、ラルクリアらしきモノもない。
仕方なく、靴を履きなおし扉のほうへ歩いてゆく。
「……ジュン、どこに行くの?」
ようやく頭が回ってきたらしいケンジが尋ねてきた。
重たそうに体を起こす彼の姿は、緩慢という言葉を通り過ぎて、身重かよと突っ込みをいれたくなるほどにゆっくりだ。
「ちょっと顔を洗う水を探してこようと思ってさ。お前らの分も持ってきてやるから、そこで待ってていいぞ」
「あ、それなら、これ使ってよ」
そう言ってケンジが何かをこちらへ投げて寄越した。
空中で光を吸収しながら飛んで来る蒼い物体を、そのまま宙でキャッチする。
「……これは?」
「うんとね。確か、昨日の夜遅くにメイドさんみたいな人が来て、これで水をお出しくださいって言ってた」
メイドさん。そういや、昔地球の日本では流行っていたらしいそれは、ピースではすっかりと姿を消してしまっていた。
見れなくて残念と思う。
「ジュン、水を出すならこれを使うといい」
「あ、ああ。サンキュ、レオン」
いきなり話しかけられ、ドキッとした。断じて邪な事など考えていないが、心の中を読まれたかと思ったのだ。
詰まりながらも、なんとか言い切れた。
彼が持っていたのは空の桶。その中に水を入れて溜めておくものだと思われる。
「なんて唱えれば出るって?」
「え~と、たしか。スイデリアだった気がする」
「りょーかい。――スイデリア!」
蒼いスイデリアを桶の上に翳しながら、水魔法――というか物体の名称を唱えた。
マジックアイテム『ラルクリア』の発動条件は、水魔法の使用ではなく、水魔法が使える状態での、名称の点呼である。
つまり、この国が持つ属性が『水』である限り、国民の誰もがラルクリアを持ちながら名称を唱えるだけで使用できるという事だ。
ザァァーー。丸く小さいスイデリアから滝のように流れ出す水が、桶に溜まってゆく。
すぐに一杯にまで水が溜まる。
溜まった水はとても澄んだ色をしていて、おいしそうだ。
しかし今は顔を洗ってシャキッとするのが先決だと思い、やめる。
「相変わらず、すごいねぇ。ラルクリアって」
「ああ、そうだな。まぁ魔法なんてモノがこの世界には存在していること自体が、俺には驚きだが」
水をバシャバシャと顔に掛けながらレオンとケンジが話しているのが聴こえてきた。
二人とも魔法の凄さを再認識しているようだ。
三人が顔を洗い終え、することがなくなったため――7時に迎えの者を寄越すと女王が言っていた――いつもの思考整理法しようという話になった。
この世界ユーレスマリアで目覚めた時にやったアレだ。
「まず、この世界には魔法などという奇跡が存在している」
ジュンがまず題意的なものを提示するところから、これは始まる。
そして――
「そして、それが科学の代わりにこの世界の人々生活を支えており、男が魔装士、女が魔法使になる。もしくは例外的な機工魔導師になることもある」
レオンがそう詳しさを込める。
「それからまた、僕たちは今日から学園に通うこととなった」
ケンジが論の転換をする。
「元へ戻る方法は分かっていないが、この世界を満喫してやろうって気分な感じだな」
そしてやはり初めと同じようにジュンが締めた。
これをやると記憶がスッキリとして、とても清清しい気持ちになるのである。
要するにアレだと思う――やめられない、止まらない……カッパエビチリってヤツだ。
「さてと、本格的に時間が余って暇になってきたなぁ……」
う~んと、背伸びをしながら、暇をぼやいた。
すでに制服も着替え終え、することをなくしてしまっていたのだ。
ジュンにとって、この世界で最も忌むべきものは、暇であると思えてならない。
ほら、故人キルケゴールもこう言っているだろ――
「暇は死に至る病だと!」。
急に声を張り上げたジュンに、微妙に違うだろと内心で思うレオンとケンジ。
だが、その言わんとすること事態には大いに賛成である。
人間にとって時間は貴重なものだ。それを暇だと思い無下に過ごすのであらば、死はより速くその者へ迫ると思うから。
「というわけで、行こうか諸君!」
ただ待っているというのは、時間の浪費、いやそれ以上に『もったいない!』とういう故日本古来の精神が断じて許さない! とばかりに叫ぶ。
レオンとケンジも、ただ待っているのは居心地が悪い。体を動かす意味でも、行ってみようかと感じた。
道順などはほぼ暗記してあるから、別段問題もないはずだ。
勢いよく扉を開き、そのまま飛び出し行くジュンを生暖かい目で二人は見守った後、ゆっくりと寝室から出て行った。
と、思ったらケンジが1人で部屋に戻ってきて、ニタニタした表情で2つの物体を布団の下から取り出す。
それを大事そうに抱えながら、もう一度ジュンとレオンの後を追いかけていった。
「こちら、ジューンバルト。そちらはどうだ、オーバー?」
「こんな近くでオーバーもなにもないと思うんだけど……」
「そうだ。さっさと行け」
寝室からでたジュンたちはフィーナの部屋へ向かった。ジュンが先頭で、次がケンジ、最後がレオンと並んでいる。
あそこには、部屋の主である銀の少女と、居候のピンクポニーがいるはずである。
時間が余ってしまったので、迎えに来たのだ。
「なんだよ、お前ら。ノリわりぃな」
すっかりスパイ気分でいた黒髪の少年はジトッと、なじるような視線を2人へ向けた。
それをしかと受け取った金の青年と茶の少年は、わざとらしく肩をすくめ、喉の奥で笑っている。
「よし。なら、お前らはそこで待機。これから俺が何をしても、騒ぐなよ?」
黒髪と同じ色の瞳にイタズラな光を宿し、問いかけるジュン。
とても面白い事ではないが、少しぐらいは驚くだろうイタズラを思いついたのだ。
だが、これをやるには2人に駄目ってもらわねば成立しない。
特にこういう類の事にうるさく、めざといレオンには何としても黙っていてもらわねばならなかった。
渋々といった顔つきで頷く青年と、しょうがないなという呆れを含んだ少年を確認した後、フィーナの部屋の扉へ近づいてゆく。
コンコン――静かに扉を叩く音。
「姫様にお客様、起きておられますか?」
鼻を摘むことで声音を変えるジュン。しっかりと丁寧語で言うことも忘れていない。
完璧だと思った。これはまさしくメイドさんなるものの声で、尋ね方も間違いない!
後ろの様子を横目で確認すると、2人とも嫌そうな顔をしている。
「まだ起きておられませんか?」
大方バレると彼らは思っているのだろうと勝手な推測を終え、そのまま続きを話し出した。
(ふっふっふ。驚く顔が目に浮かぶぜ)
そう、ジュンはメイドさんのフリをすることでフィーナたちを起こし、出て来た所を驚かせてやろうと企んでいたのだ。
子供のささやかな児戯である。
「……はぁーい。ちょっと待って……」
少しの間の後、フィーナの声と思しきものが聴こえてきた。出てこようとしているようで、衣擦れの音が微かに耳に響く。
それからパタパタと靴が絨毯を踏む音が鼓膜を刺激した。
もうじき、ご対面である。
じっと身を潜め、息を殺しながらその瞬間を、今か今かと待つ。
ガチャ――扉がゆっくりと開いてゆく。
できた隙間から、柑橘系のいい香りが漂ってくる。
続いて見えたのは銀色の艶やかな髪だ。
「――なぁっ!?」
とりあえず、フィーナが出てきたところまではいい。許す。
だが、この光景は何だ? 彼女の体には薄い水色のネグリジェが覆っているだけだ。
正直に言って色々な部分が、透けて見えてしまう。
顔が沸騰し、蒸発するのではないかと思った。
目を上へ向けると、目を見開いて石像のように固まっているフィーナがいる。
かなり彼女も驚いているようだと認識すると、途端に自分は落ち着きを取り戻していった。
(ああ、なんかその顔……いいかも)
場違いな事を思いつつ、じっくりと眺めてしまう。
それから数秒ほど経った後、いきなり顔面にものすごい衝撃が弾けた。
顔の向きが強制的に右へずらされてしまう。つまり、頬をぶっ叩かれたのだ。フィーナに……。
「じゅ、じゅ、じゅ、じゅ……」
フィーナが、麻雀用語であるテンパルを実践しているのか、なんだか意味不明な言葉の羅列を言っている。
「数珠じゃなくて、ジュンだけど……おは――」
ここままだと仕方がないので、訂正をいれてやった。
そして挨拶をしようとして続けた次の瞬間、ものすごい勢いの風が肌を撫でる。
フィーナがこれまたものすごい勢いで部屋の中へ帰って行ったことにより、風という名の波動が発生したのだ。
「しゃ、しゃ、しゃ、シャーリー!」
「ど、どうしたの、フィーナ?」
バタンと大きな音を立てて閉められた扉の中において、フィーナとシャーリーが話しているのが分かった。
フィーナのほうはかなり慌てている様子で、シャーリーがそれに戸惑っている構図が目に浮かぶ。
「そ、そ、外に! ジュンが! ジュンが! ジュンが!」
そう何度も連呼しなくても伝わるはずなのだが、フィーナにとってはそれどころではないらしく、何も考えていないようだ。
バサッという何かを羽織る音が聴こえてきた。
そして――
「てんめぇは、何やっとんだぁ~!!」
暴れるような声が降ってきたかと思った時には、もうすでに自分の体が空中に吹っ飛んでいるのを感じた。
心地よい浮遊感と、強烈な痛みが絶妙なハーモニーを奏でる……わけはなく、ただ単純な痛みにより体中が軋むような音を立てる。
ドガン――壁にジュンが激突した音。
「ぐわぁっ……!」
カエルの鳴き声のような声を自然と発してしまった。
胸の奥が詰まり、一瞬の呼吸困難に陥る。
「アンタは……アンタってヤツは……」
目の前にはいまだ猛烈な殺気を放つピンクポニーがいるのを、ジュンの敏感な神経が補足する。
ちゃんとセーラー服を羽織っているところを見るに、準備は万端らしい。
(し、死ぬ。このまま連撃をくらったら、間違いなく余裕で死ねる!)
ヤバイ、ヤバイと心の中で呟きながら、よろよろ体を起こし、すぐさま逃げる準備を行う。
ガシッと自分の両肩を掴まれた。
もちろん掴んだのは、目の前に御する鬼武者以外の何者でもない。
「ま、待て、待つんだ! 早まるな! 話せば分かる!」
某犬養首相の最後の言葉と謳われている台詞を口ずさむ。確かアレは嘘だったと世界史でやったが、今は関係ない。
「ふ~ん。話せば分かるんだぁ~へぇ~……」
「あ、ははっ……はははっ……」
もう思考を手放し、乾いた笑いしか込み上げてこない。
「……言って、ごらんなさい……」
ものすごーく上からな目線を全身に感じる。イントネーションも不気味だ。
そこに殺気が多大に含まれているのは、何かの冗談であって欲しいと、本当に真剣に神様にお願いしてしまう。
「え~と、その、さ。レオンとケンジもいるんだよ? あははっ」
この際はなりふり構ってなどいられない。
仲間を売る非道人だと罵られようが、売国奴だと後ろ指差されようが、命あってのものだねである。
(すまない……レオン、ケンジ。俺はお前らが殺されている隙に逃げるから……。お前たちの遺志は俺が継ぐ! だから!)
言い訳をありったけしてから、そそくさと逃げる算段をする。
「…………」
しかし、いくら待ってもシャーリーが動く気配がない。
「……あれ?」
さすがに可笑しいと思い、後ろをソオッと振り返ってみた。
そこには誰もいない。人っ子一人どころか、影も形も全くない。
「……図られた!」
そう、奴らは俺を見捨てて逃げやがったんだ! この俺を!
「誰もいない……わよね?」
ウフフと気味の悪い言葉を発しないでいただきたい、シャーリーさん。
心臓がバックンバックン激しくのた打ち回っている。
もう全てを諦めて、やがて訪れる瞬間に身を委ねようと思った。
最後に浮かんだのは、恨みでも、僻みでも、復讐心でもなく、とても澄んでいて、優しい想いだった……。
この心を見せる事ができたのならば、きっと神様も願いをかなえる気になるに違いない。
でもそんなに現実は甘くはないと達観し――いや、諦念を感じていたところ――
「――待ってぇ!」
爽やかでいて、どこか切羽詰った声が耳に届いた。
これを幻聴と呼ぶのだろうと、感じる。
「待って、シャーリー!」
いや、これは幻聴などでは断じてない!
この少し高めのソプラノは、プリンセスのモノで間違いなかった。
「どうして止めるの、フィーナ? アイツに酷い事されたんでしょ?」
「で、でも、私がジュンに酷い事されたのだから、私がジュンの処遇は決めるわ」
そ、そうだ! 俺を裁く権利はシャーリーにはないぞ! と内心で言い張る。
無論、現実で言ったら、その瞬間が生命の期限だと思われたので、全く口にも表情にもそんな感情は出していない。
「……う~ん、それもそうね。分かったわ」
渋々といった感情を顔全体で表現しながら言っているシャーリー。
(た、たすかったぁ~。シャーリーの連撃をくらうぐらいなら、フィーナのパンチを10回くらったほうがマシだ)
先ほどのビンタもそれほど痛くはなかったし、プリンセスだからあまり力を鍛えてはいないだろうと思われる。
フィーナに腕立てをさせたら、それこそ10回できるかどうかも怪しいほど、彼女は細く繊細そうな腕をしている。
そのお姿はまさしく天使に他ならない。
これで安心だ。
「ありがとう、シャーリー。……それでジュン?」
シャーリーにお礼を言ってから、天使はジュンに呼びかけました。
「な、なに?」
フィーナは彼の多少強張った表情を見ると、何だか意地悪をしてしまいたくなるのを感じてなりません。
ジッとジュンの漆黒の瞳を見つめながら、ゆっくりと近づいてゆきます。
ジリジリ、ジリジリと、焦らすようでいてどこか厳かに距離を詰めてゆくのです。
「ジュン? あなたは私に何をしたのか……覚えていますね?」
自分の顔がニヤけないように、力を振り絞る。
ここで、笑ってしまったら、この寸劇が台無しである。
今は、このジュンの困った表情をじっくり、こってりと観察しなければなるまい。
(そうじゃなければ、恥ずかしい思いをした私だけが損じゃない)
そしてようやくジュンの目の前まで辿り着いた。
「ジュン……あなたは何をしたのですか?」
最大限の優しい声で尋ねる。
ジュンはそんな声を出すフィーナが恐ろしいのか、先ほどの安堵した顔をどこかへやってしまったようで、汗をダラダラと滝のように――そう、スイデリアの魔法のように掻いている。
目が上に行ったり、下に行ったりしていて、何だか顔芸を見ているようで面白い。
「ぷっ……あははっ! 変な顔!」
シャーリーが笑いを堪えきれず、噴出してしまった。
その様子を見ている自分にも限界が訪れるのは必然だろうと思う。
ほら、人が笑っているところを見ると、何だかこちらまで可笑しくなってきて、笑えてしまうでしょ?
「フッ、フフ。ジュン、本当に面白い顔ね……」
「え? そ、そんなことないぞ! 俺の顔はそれなりにノーマルティ溢れているはずだよ」
「そう? シャーリーはそうは見えないみたいだけど」
「うん。ぜんっぜん見えない。変な顔、略して変顔」
そのままシャーリーと2人で笑いあった。
ジュンは苦そうな顔つきをしていたけど、これぐらいの意地悪は許されるべきだ。
ほとんど裸同然の姿を見られたのである。差し引いても、役得のはず……と思う。
「……むぅ。悪かったな、変顔で」
どうやら2人してからかうものだから、ジュンは拗ねてしまったようだ。その姿がまた、唇をタコのように突き出していて、面白いこと限りない。
思わずシャーリーと顔を見合わせて、もう一度噴出してしまった。
最近――というか昨日から、ハシタナイことをたくさんしている気がするが、それこそ気にしてはならないのである。
今日もいい日になりそうだと、フィーナは思った。