同盟暦512年・旅立ち、ロブホーク編35
それから怒濤の早さで七日間が過ぎた。
シデとフロレンティナ、アルバートはハリファックスと生き残った兵達を護衛としてロブホークを旅立った。
ハリファックスが生きていた事にフロレンティナは暗い顔をしていたが、恨みの気配は見えなかった。
一応の話し合いはついたとシデが教えてくれた。
遠くなる彼女達の後ろ姿を見送るポー達。
「行っちゃったね」
「うん」
「皆さんの旅路に神の祝福があらんことを」
ポーは黙って見ていると、レオリックスが肩を叩いた。
「シデの婆さんを味方に引き入れたな」
「……どうだろう。僕の方が引き入れられたのかもしれない」
「詐欺師なんだよ。あの婆さん」
「けど、収穫は大きかった」
「なら安心した。連れてきたのは俺だしな。ここまで大事になるとは思ってなかったし…皆になんかあったら婆さんに償わせてたかも」
「僕らはともかく、ヘアになにかあれば僕は殺しただろうね」
「ならなかったろ?」
「ポー!」
アーネストがポーを呼んだ。
「これからどうするの?」
「えぇと……」
「あー!疲れたなー!寒いし!よし!次は暖かいところに行こう!南がいいな!南!」
次の目的地を話し合いかけると、レオリックスが大きな声を上げた。
「南…ですか?レオリックス卿?」
「…………あー…………」
「そう!南!大変だったんだ!バカンスを……⁉」
レオリックスの肩に飛び乗ったクーが素早く絞め技をかけた。
「行く」
「い…いやだ…!」
「里。あっち」
レオリックスは頑固に抵抗するも、クーも一歩も引かず力を緩めない。
「もしかしてレオ…カーリー・クーが怖いの?」
からかうようにニンマリと笑うアーネストに、ポーとベアトリスも苦笑い。
「う………」
「へぇ~…レオがそんなに嫌がるなんてね。興味あるわ。よし、次の目的地は牙の牛部族の里よ!」
「あー!おまえー!」
「んー!」
「痛い!痛い!クー!まじ痛い!」
「そ…それじゃ準備をしないといけませんね。ポー、手伝って頂けますか?」
「はい。じゃあ荷物をまとめましょう」
ギャアギャアと騒ぐ二人を置いて、ポーとベアトリスは小屋に向かう。
北部部族の中で最も勇敢で誇り高い"牙の牛民族"。
「(かつて最期まで白雪国と対立し、北部部族の中で唯一、敗北しなかった戦いの民。そこでなら、僕も新しい力を手に入れられるかもしれない…)」
ポーは仲間達を一瞥した。
そして二日後、ポー達は"北の尖り槍"と呼ばれる山岳地帯にある牙の牛部族の里を目指して旅立った。




