表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラン戦記  作者: 夢物語草子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/84

同盟暦512年・旅立ち、ロブホーク編19

クーリーの教え方はまるで手加減というものを知らず、徹底して実戦ばりの試合をするのみだ。

武器も渡されず一方的に叩かれるアルバートもたまらず「ぼく素手です!」と訴えたが、クーリーは無視を決め込んでいる。

「おいおい…容赦なさすぎだろ…」

「止めようか…」

ポーとレオリックスは木剣を手に頷き合って二人の間に割り込んだ。

「クー!ここまで!」

「むー!」

「この馬鹿!いじめてどうすんだ!」

二人に叱られクーリーは不満だらけの顔になりながらも手を引いた。

「あとで棗菓子買うから」

「‼。納得する」

甘いものに目がないクーリーを説得するには甘いもので釣るのが一番だった。

「大丈夫か?」

「うぅ…はいぃ…」

ポーはアルバートの手を握ると、視界が歪み立ちくらむ。

ポーの首に現れる異様な紋様の輪っか。

「(………?……⁉)」

一瞬、意識も飛びかけたが耐えた。

輪っかはすうっと跡形もなく消えた。

「?あ、あの?」

「あ、いや」

アルバートを立ち上がらせた。

摑んだ方の手に視線を落とす。

「(今のは……アルバートが?)」

不安と疑念をポーは抱いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

閉ざされた屋敷。

森の中に建てられた建物でハンニガンは客を迎えた。

「どうやって我々と接触する手段を知ったのか…教えてほしいものだ」

「そんな些末なことを知ってどうするんです?クーデターになんの影響もありませんよ?」

「同盟の間者であれば影響はあるだろう」

「父上!こんな奴の言葉など聞くことはありません!何が目的がわかりませんが、すぐに殺すべきです!」

ハリファックスは客、オリバー・ヘルブリンディ(男・年齢不詳)に今にも槍を突き立てる勢いだ。

「賞賛に値する判断力と決断力。ささやかですが拍手を贈りましょう」

パチパチパチと拍手するオリバーに侮辱と受け取ったハリファックスは眉を逆立てた。

「貴様……」

「んん?何かご不快なことでも?」

「息子よ。部屋を出ていろ」

「しかし!」

「出ろ。父の言葉が聞こえなかったか?」

苛立ちを隠さずにハリファックスは部屋を出た。

「申し訳ない。我が息子ながら腹芸というものを知らんのだ」

「ご立派なご子息ではないですか。さて、あらためて苦労をねぎらわせてもらいますよ。我が同胞」

「感動で気が狂いそうになるよ。我が同胞。あと少しで混乱と叫喚の光景を見せられそうだ」

「ハンニガン。あなたは正しく敬虔な教徒だ。その名は歴史のみならず経典にも記録されるだろう」

オリバーは指を動かして、空中に陣を描く。

映し出された映像は、部屋の外に待機するハリファックス達の姿。

「生真面目だね。盗み聞きもしないとは」

「堅物なんだよ。息子は」

「話していないのかい?」

「話す必要が?」

「ないね。ハンニガン、収穫の時期は近い。しくじるなよ」

ハンニガンはグラスを二つ用意して、蒸留酒を注ぐ。

「あまねく世界を辱め弄びたもう」

「そして人類に幸福を」

ハンニガンとオリバーはグラスを掲げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ