崩壊
※一部残酷な描写があります。
苦手な人は♦の下から読んでください。
「どうしたの?!」
私は階段へと駆け付けた。
次の瞬間、私の眼に恐ろしい光景が飛び込んだ。
慧美の体の、ありとあらゆる関節が、すべて反対に折れていたのだ。慧美は白目をむき、口から泡を吹いていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「だから行っちゃダメって言ったのに。」
ゆみちゃんがそう言ってこっちを見つめている。
「慧美が・・・慧美がぁあ・・・っ!!!」
逃げたいのに体が思うように動かない。
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「あーあ、これは殺すしかないね。」
ゆう君は表情一つ変えずに、包丁を持ちこっちへ一歩ずつ近付いてくる。
「助けて!だれか・・・・だれか!!!!」
そう言いたくても、絞り出した様な声しか出ない。
「ゆう、この人は殺さないであげよう?」
ゆみちゃんがゆう君を止めた。
「でも、ゆみ・・・。」
ゆう君が振り上げていた包丁をおろした。
「このお姉ちゃんは優しいよ?だから・・・ね・・・・?」
ゆみちゃんはこの場に釣り合わない笑顔で言った。
「じゃあ・・・・。」
そう言ってゆう君は包丁を手から離した。
そのすきに、私は玄関を飛び出した。
・・・・・逃げなきゃ、逃げなきゃ・・・!!ただそれだけを考えて。
4年後、
「菜摘、様子はどう?」
母がお茶を飲みながら言った。
「うん、順調!順調!」
「菜摘、名前はどうする?男か女か、まだ分からないけど」
夫の祐二が嬉しそうに話している。
「それにしても、旅行から帰ったら菜摘が記憶喪失になっていて、あの時はどうなるかと思ったが、祐二君と結婚して、おまけに子宝にも恵まれるなんて、いやぁ、本当によかった。」
と父。
「本当ねぇ、もうあれから4年も経ったのね。でも本当に、何事もなくてよかったわ。」
母が続けて言う。
そう、私は4年前より昔の記憶が無いのだ。それまでのことが、何一つ思い出せない。
――それから10ヶ月後、陣痛がきた。
私は激しい痛みをこらえて、無事に赤ちゃんを産むことができた。
「よく頑張ったな、菜摘。」
祐二が手を握り締めて私に言った。
「二人とも無事に生まれたぞ!」
「そう、よかっ――・・・」
何かが一瞬、私の頭に浮かんだ。
「でも、男二人じゃなくて、男と女だから、名前は唯と唯美だな。」
何故だかわからない、とてつもない恐怖に襲われた。
そう、まるで、4年前の――・・・・・・。
『・・・!!!!』
「どうした、菜摘。」
「どちらもかわいらしい赤ちゃんですよ」
看護婦さんがそう言いながら赤ちゃんを抱いてきた。
「おい、菜摘!」
言いようのない恐怖の波が押し寄せる。
横を見ると、赤ちゃんを抱いた看護婦が、笑顔でこういった。
「ほら、お母さん、可愛い赤ちゃんですよ。きれいな黒髪をしてますねー。男の子のほうは・・・お父さんに似たのかな?髪の毛がくりくりですよ、どっちも本当に可愛い顔立ちで―――・・・・・」
あの時の少女の言葉を思い出した。
――その言葉の意味が・・・・、今わかった。
『このお姉ちゃんは優しいよ。だから・・・ね・・・?』
―――私たちのお母さんになってもらおうよ。
すいません;かなりぐだぐだで・・・・。
いまいちな終わり方になってしまいましたね(汗)
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。