ピンポンダッシュ 1
長かった1週間もやっと終わり、今は下校の時間だ。
はぁ、家に帰ったら何しよっかな。
「なーっつみー!」
「え?何?」
親友の慧美が目を輝かせて何かを話そうとしている。
――何かめんどくさいことに巻き込まれそうな予感。
慧美は何かロクでもないことを思いついた時はいつもこうだ。
「ねぇねぇ、菜摘!ピンポンダッシュの双子知ってる?!」
やっぱり、案の定訳の分かんないことを言い出した。
「知らないよ、そんなの。てか何それ?」
「何か、ピンポンダッシュするんだって。」
「いや、それじゃ全然分かんないだろ。」
やっぱり慧美は変わった人だ。
6年間親友やってきたが不思議なオーラは相変わらずだ。
「えっと、可愛い双子でね、ピンポンダッシュするの。そうすると、何か誰も映ってないインターホンから声がするんだって。」
「はぁ?それだけ?それで、何て言ってんの?」
全然オチもない話だ。
「分かんない。バラバラなんだって。そのに時よって。」
慧美は平然と答えた。
「たとえば?」
「うーん・・・私が聞いた話では、遊ぼうとかそんな感じだった。」
「ふーん。」
「ねっ、でもさ見てみたいよね!?」
どうやら慧美は本当だと思っているらしい。
「全く・・・。そんなのいるわけないじゃん・・・・。」
「それがね、近所で見たって言う人結構いるんだって!!」
慧美は自信ありげに言っている。
「そりゃないでしょー。」
「でもね、タブーを犯すと双子に殺されちゃうんだって。タブーの内容はよく分かんないけど。実際に行方不明者が出てるんだってば!!!」
「はぁ、何言ってんの。まるで小学生レベルの怖い話じゃん。」
私は半ば呆れてしまった。流石に高校生になってまでこんな話を信じるとは。
「ということで、明日休みだから張り込みしない?ちょうど父さんも母さんも旅行だし!」
もう駄目だ。慧美はこうなるともう止まらない。
「えぇー。いやだしー。」
無駄だと分かりつつも、私は自分の休日を保護するために反論したがその努力もむなしく・・・。
結局、慧美の家で一日張り込みをすることになった。
あぁ、それにしても私の貴重な休日が・・・。
――翌日。
早速、慧美の家で張り込みが開始された。
その後三時間たっても何にも起きず、時はただ過ぎて行った。
もう二人とも本来の目的を忘れ、お菓子を食べたり、ゲームをしたりしていた。
・・・――ピンポーン
「あぁ、はいはーい。」
そう言いながら慧美は玄関へ行った。
「わぁっ!菜摘!!ちょっと来てー!」
突然慧美が大声を上げたので、何事かと思って急いで玄関へと向かった。
「慧美!?どうした・・・の?」
「あ、菜摘!インターホンから声がするの!やっぱりホントだったんだ!」
よく聞くと確かに“遊ぼう”と声がする。
その時、私は言いようのない不気味さを覚えた。
「菜摘、遊ぼうって言ってみない?」
慧美はすっかり舞い上がってしまっている。
「慧美、何かヤバくない?やめておこうよ・・・。」
私はなんだか気持悪くなってそういった。
「だいじょぶだって。いーよ、遊ぼう!」
慧美は勝手に返事をしてしまった。
「ホント!?」
そう声がしたかと思うと、玄関のドアが勝手に開いた。
――そこにいたのはそっくりな顔をした可愛い双子だった。
長くなっちゃいましたw
すいません。