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恋する少女のバイブル〜side巫莉音〜

ブックマークありがとうございます!

それに評価までしていただき本当にありがとうございます!

お陰でやる気満々です!



キーワード追加しました!



今回は巫莉音視点です!

今回は少し長いですがよろしくお願いします。


バタンッ!






ーーーーボフ。





「〜〜〜〜っ!」


私は家に帰るなり自分の部屋に急いで向かいベッドへとダイブした。そしてベッドに置いてあるクッションを手繰り寄せ顔を埋めながら声にならない声を上げ身悶える。

多分この姿を家族や友達に見られたら次の日から不自然に優しくされる事間違いなしである。

だって鏡を見ないでも私史上最高に顔がにやけている自信があるんだもん。


思い出すのは今日の事。

明日菜ちゃんにアドバイスをもらいながら恋愛について勉強(準備)したりして、勉強(準備)が出来たらこれまたアドバイス通りに余裕のある表情で彼を放課後呼び出した。

実際、放課後彼の前に立ってから全然思った通りに振る舞えなくて、それでまた焦って事前に練習してた事、全部頭から飛んでっちゃったんだけど……と、とりあえずは目標としている所には到達出来たのでよしとしよう!うん。




ちなみに、彼とは……上定律斗君の事である。

見た目として、身長は平均的で、髪は彼の目を少し隠すぐらいに伸ばしてある。少し地味めな見た目をしているけれども、その髪を一度あげれば、どちらかといえば可愛い系と言われる顔を見ることができる。友達とのやり取りで不意に見せる笑顔が私の心を全力で撃ち抜いている事は私だけの秘密である。


そんな上定君は実はというとあまり評判は良くない。

それはある事件が原因で……。実を言うと、私はその一部始終を全て知っている。偶然その場面に出くわした……というのが正しいのかもしれない。・・・私は自分のことをなかなかに最低な人間だと思っている。何故か……それは・・・。

その場面では呆気にとられて見ている事しか出来なかった事もあるけど。その後学校内でその事が広がっても私はその事に対して何も言わなかったからだ。私は自慢じゃないけれど、色んな人に少なくない好意を寄せられている自信がある。

明日菜ちゃんにも私から頼めばきっと誤解を解くのに協力してくれただろう。

なのに何故それをしないのか・・・それはとっても単純で、みんなに上定君の素敵な所を知られたく無かったから……独占欲である。

最初はその事件で彼の事を知って……それから度々彼を観察していると細やかな事にも気を配り、誰に対しても優しい人物である事が分かった。

そうしている内に私自身も興味本位でしかなかった気持ちが徐々に育っていき、好意として花開かせるまでに至ったのである。

みんなが彼のそんな素敵なところを知ればきっとライバルが凄く増えてしまう。それを危惧した私は口を噤んでしまったのである。おまけに私が最終的に望む関係になれば誤解を解いていこう…なんて都合の良い事を考えている所が我ながら本当に救いようがないな、とも思う。



「はぁ……。」


私は自己嫌悪からなる暗い気持ちに押し潰されないよう、顔を上げた。そこでふと机の上に置いてある本が目に入った。








『健全なるドレイの作り方〜ドMの育成方法〜』








その本のタイトルである。





最初に言っておくけど、私にどれいを作りたい欲求も無ければそのような趣味も無い。

なら何故私はこのような本を読み、実行に移したかと言うと…明日菜ちゃんの助言による所が大きい。









ーーー甘川明日菜。


私の小学校からの仲で。才色兼備な親友でもある。

肩口まで伸ばされた濡羽色の髪持ち、少し釣り上がった黒曜石の様な瞳はけれど必要以上にキツさを感じさせず、むしろその逆に愛嬌を感じさせる程。身長は167(本人が身体測定時に言っていた)と女性にしては高く、それに見合う程のスタイルの良さも併せ持っている。

勉強の方も私ではどんなに頑張っても10位以内がやっとな所を常にトップに君臨し、私が知る限りそこ(一位)を譲った所を見たことが無い。

私が唯一勝っている運動に関しても明日菜ちゃんが運動音痴という事もなく、普通に学年でもトップクラスである。

分け隔てなく誰とでも接して、いつも笑顔を絶やさないという点でも自慢できる親友である。


ただ、時々蔑んだ目で相手を見て普段では考えられないような冷たい言葉をかけてる時があるけど、相手の人喜んでるし・・・う〜ん、そういう挨拶なのかな?




そして何より彼の想い人でもある。……と言っても本人も言っていたようにまだ恋愛感情までには進んでないと思う。

憧れのような・・・でも異性としても気になる。そんなところだと思う。

現状の状況を作ってしまった原因の一端である私にはきっと応援するのが罪滅ぼしとしても正しいんじゃないかと思う自分がいる。

でもそれ以上に彼のそば居たいと、強く思う自分がいるんだからどんな理由があったとしても応援は出来そうにない。我ながらほんと自分勝手だなー、とは思うけど・・・。





この想いは漫画やドラマ見たいに一目惚れとか劇的な何かがあって生まれたもの(恋心)じゃない。

ただ当たり前にある毎日の中で私が大切に育てていった想い(恋心)だ。だからこそ譲れない。これは例え相手が明日菜ちゃんであっても譲れない想いだ。


でもどんなに彼の事を思ってもどうしたら良いのか全く分からなかった。なにせこういう気持ちになったのは生まれて初めてで感情も行動の仕方も全て持て余していたんだ。

だから親友でもあり恋のライバル(私が勝手に思ってるだけだけど)でもある明日菜ちゃんにアドバイスを求める事にした。










ーーー






「ねぇ、明日菜ちゃん」


「どうしましたか?莉音」


「えっとね?明日菜ちゃんって何かこう、毎日の中で大切にしてる事とか、お手本にしてることとかってないかな?」


「???そうですね。そういう事なら私が愛読している本ならありますけ・・・」


「それ、貸してくれないかな!?」







ーーー






あれ?今思い返すと私、かなりがっついてるような……で、でも仕方ないよね?だって明日菜ちゃんが愛読(参考に)してるって事は、上定君の理想の女の子に近づけるって事と同義でもあるんだから。恋する女の子を舐めたらダメだよ!

そして多少恥ずかしい思いをしながら手に入れたこの本。

サドとかマゾとかちょっとよく分からない事が結構書いてあるけど、そこは明日菜ちゃんにアドバイスをもらいながらなんとか読み解いていった。


そして今日、準備をしっかり整えて行動に移したのだ。

今はまだ私のことを何とも思ってないだろうけど、必ず振り向かせてみせる!……そう決意すると同時に、きっと今感じてるこの罪悪感はずっと消えないんだろうなとも思う。それでも私は彼のあの笑顔を手に入れたいと思ってしまったんだ。こればっかりは自分でもどうしようもない事だと思う。





ピロン♪





特に飾り気のない。それでも私が気に入っている携帯のLIMEを知らせる音で私は意識を浮上させた。

用件はお母さんからでどうやら夕ご飯を知らせるもののようだ。

私は今から行くと返事を打ち、それから少し逡巡の末、今日交換した彼へと繋がるLIMEの画面を開き、短い文章を打ちスマホを閉じた。




恋心って自分じゃどうにも出来ないモノなんだなって、入ってきた時とはまた別の笑み(苦笑)を浮かべながら夕ご飯を食べる為、私は部屋をの扉を開けるのだった。

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