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校舎裏へ集合〜後〜

ブックマークありがとうございます!


やべぇ…。笑顔って時に人に恐怖を与えるんだな。

よく漫画とかである顔は笑ってるけど目が笑ってないってやつ、今まではただ単に創作物特有のオーバーな表現かと思ってたがそんな事ないってよく分かったわ。

え?ソース?俺だよ!現在進行形の俺だ!

めっちゃ説得力あんだろ?出来れば知りたくなかったけどな!


何で俺がこんなにもビビって……こほん、恐れ慄いているかというと。(え?表現変わってなくないかって?細かい事は気にするな)

先ほどから俺の目の前にいる美少女が大変素敵な笑顔で俺を見ているからである。

いや、笑顔は凄く可愛いしそこに黒さとかは感じないんだけど……なんというか、圧が凄い。

なんだろう?覚悟の具合が侍っていうのか?いやまあ本物見たことないんだけど……何にしてもあのエンジェルスマイルとは不釣り合いな鋭利な雰囲気を纏っている彼女に対して不思議とそんなイメージが浮かんだ。


そんな俺の内心を知ってか知らずか、彼女は口を開いた。


「それで、ね?上定君に来てもらった用事なんだけど・・・」


彼女は温かい想いを打ち明けるかの様に頬を薄く染め、はにかみながら何かの写真(いやもう想像はつくけども!)を掲げ


「あのね……」


もう一度大きく息を吸い、この体育館裏という一見平和に見える地にとんでもない爆弾を放り込んできた。




「この写真を明日菜に見せられたくなければ、あたしのど・・っどれいになりなさい!」







「………は?」








「………え?」








いや、あまりに想定外だったから思わず間抜けな声が出たんだが…あの巫さん?何故貴女も、あれ?読んだ内容と反応が違う。って驚愕してるの?……っていうか読んだって何を参考にしたの!?いや、怖くて聞けないけども!俺ってばチキンハートですからね!

ていうか…


「何でここで甘川さんが出てくるんだ!?」


甘川さん関係なくない!?


「……むぅ。何でって・・上定君、キミ、明日菜の事す、好きでしょ?だからこんなかわい……こほん、だらしがない顔見られたくないんじゃないかなって思ったの!」


そう言って写真を俺の目の前へと突きつけてくる。

何故かその表情は頬を膨らませ、如何にも不満です!と訴えているようだった。


「べ、別に好きとかじゃないし!?そりゃ…素敵だなとは、思うけど………」


俺は自分の中に小さく秘めていた想いを的確に当てられ、面白いように狼狽した。

いや、だって俺みたいな男にも優しい笑顔でおはようございます。お疲れ様です。大丈夫ですか?とかなんと接してくれるんだぞ?そりゃ1回や2回簡単に惚れるだろ!?

俺がそう自分に言い訳を繰り広げていたため


ボソ(分かってたけど!分かってたんだけど!!流石に目の前で現実を突きつけられるのは覚悟してても辛いというか………で、でも今がそうでも絶対振り向かせてみせるんだから!)


彼女が何か小声での呟きが俺の耳に入ることはなかった。


そして巫は覚悟を持って顔を上げ

「それでね!どうなのかな?私の……どれいになってくれる・・よね?」


……たんだが、後半になるにつれ自信が無くなってきたのか涙目になって俺を見上げている。


そんな今にも泣きそうな女の子に俺はNoとは言えない…。例え要求がどんなに突拍子も無かったとしても、だ。

たがら俺は


「わかった。俺は巫の…その、どれいになるよ」


と、多少は躊躇ったけれども巫の望む答えを口にした。……そもそもあの写真があるのだから従わないという選択肢はないんだけれども。胸に抱いてる写真が凄い存在感放ってくるんですけども!

そんな俺の男としての英断(?)に巫は、やった!!ホントに!?嬉しいな〜。などと満面の笑みで喜んでいた。


………え?なにこの子。滅茶苦茶可愛くない??

何でこんな可愛いのに道を踏み外しちゃったの??


俺のそんな憐憫の眼差しに気づいたのか恥ずかしそうに、こほん、と咳払いをして(なお、その姿も可愛かったとここに明記しておこう)


「……さて、ドレイになった上定君に最初の命令です!」


彼女はそれでも嬉しさを隠しきれずそう言葉を発したのだった。


「最初の、命令?」


「そう、最初の命令です」


……い、いったいどんな恐ろしい事を要求してくるんだ??


「それは…」


「それは…?」


俺と彼女の間に言い知れぬ緊張が走る。


「LIMEの交換をしよう!」


「………は?」


また予想とは斜め方向な命令に俺は思わず本日二度目の「は?」を出してしまった。


しかし巫は俺の態度が気に食わなかったのか不満げに口を開く。


「むう…。何か問題でもあるの?」


「いや、命令って言うからもっとこう…まさかLIMEの交換だとは思わなくて」


俺が戸惑いながら答えると


「上定君は何も分かってないね?これから2人で何かするにしても連絡できない事にはどうすることも出来ないんだよ?だからね?これからの事も踏まえてのこれが最初の命令としては正解なわけなんだよ!」


彼女は名案でしょ?と微笑みながら答えた。

……ただまあ、連絡先ぐらいなら命令とか使わなくても普通に教えたんだけど……嬉しそうな彼女にそれを言うのは憚られたので俺はその言葉を飲み込んだのである。実は俺、こう見えてかなり空気が読める子なんです。


そうして連絡先を交換し彼女は目的を果たして満足したのか


「時間大分経ったっちゃったね。今日はこれぐらいにしてもう帰ろっか?」


「ああ…そうだな」


そう俺が返事をして帰宅をするため、2人で校門へと向かう。

しかしその距離は2人の今日からのどこか歪な関係を表すかのように少し離れているが…。



……ふと、少し先を歩く彼女がくるっとこちらを振り返り





「そうだ!上定君、知ってる?どれいってね・・・」





巫は誰もが見惚れるであろう咲き誇る大輪の向日葵のような笑顔で









「返事は、『わん』なんだよ?」









俺の人権を全力で奪いに来たのであった。


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