プロローグ的な何か
「この写真を明日菜に見せられたくなければ、あたしのど・・っどれいになりなさい!」
俺こと上定律斗、17歳は現在、放課後体育館裏にて学校でも1、2を争う美少女から奴隷になれと脅されている最中だった。
あれ?なんでこんな事になってるんだろう?
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オッス。オラ|上定律斗。何処にでもいる高校2年生だ!
……あ、ごめん、ウソつきました。ごめんなさい。
実は俺、クラス…いや、学校でも屑オブ屑という称号を得ているぐらい特殊性にとんだ人間である。
理由はまあ、小学生男子を大声で怒鳴りつけて泣かせたってのが同じ高校の奴に見られてそれが拡散したからなんだが……。いや、流石の俺でも突然そんな事しないよ?もちろんそれなりの理由があった訳さ。
まあそう言ったところで?周りが信用するかは謎だけどな。だからこそ俺はもうその事にたいして周りに何かを言うことは諦め、傍観する事にした。もちろんその事でどうせでも少ない友人はさらに少なくなった訳だけど。
まあそれでも現状最悪といえる状況の俺であっても親しくしてくれる奴が数人はいるわけで…そいつらには大分助けられて、当時は本当に救われたわけだ。
閑話休題
事の発端は昼休みのことだった。
俺が友人2人と学食で昼食をとっている時だった。
それまでそこそこ騒がしかった学食内がある女子グループが入って来た瞬間一斉に静寂…あれはまさしく皆の息のあった好プレーだった。…そして当然俺も右へ倣え。
何故か?それはとても単純明快。先程入って来たそのグループにはこの高校の二大天使と謳われる甘川明日菜と巫莉音の2人がいたためである。
男子はだらしない顔で、女子は羨望の眼差しで2人を観ている。だがその当人達はそんな視線など日常だと言わんばかりに(まあ実際その通りなんだろうけど)楽しそうに会話をしながら昼食を取る席へと移動している。
……と、座ろうとしている席が近いからなのか俺の方へと近づいてくる。
(……いつも通りだ。いつも通りにクールな俺でいろ!)
「おい、律斗どうした?ただでさえ締まりのない顔がだらけきってるぞ?」
「………」
「………?」
ドカッ!
「いてぇ!?」
ギルティーである。
俺のクールな表情に対して大変失礼な事を言ってきた奴の膝を蹴って沈めたのを視界の隅に確認した後、俺はまたいつものクールな表情へと戻したのである。
チラッ
「……ん?」
事件が起こったのは二大天使が俺の後ろを丁度通った時の事である。俺の前ににB5の紙を半分に折った程度の紙が舞ったのである。俺はその紙をビーチフラッグを取るかのような素早さでキャッチするとおそらくその紙を手放したであろう元へ目線を動かした。
そこにタイミングよく天使の1人……巫莉音が振り返りな、なんと俺にウインクをしたのである。
俺はしばらくその姿を見惚れていたが、ハッと意識を取り戻すと急いで紙を開けたのである。
きっとここには俺の青春到来を告げる記念すべき言葉達が踊っているはずと、そう信じて疑わず……。
しかし現実とは常に厳しいもので、その手紙には
『放課後、校舎裏で待っています。』
という可愛らしい文字とともに、俺が小学生女子に頬にキスをされて顔がこれでもかとだらけきっている写真の画像が貼られていたのである。