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大外刈り
『道場』と言っても、体育館のように艶がかった板張りの床と、少し高めの天井になんだか胸が落ち着かない。レオは着替えてくるからと、俺を一人残してスキップをしながら更衣室へ行ってしまった。初めての場所に一人残すあたりが陽気というか、サディズムを感じるというか、たしかに日本人の気質ではないが、気遣いばかりの日本人よりは良いのかもしれない。ここには試合も行われるかのように広い観客席があるので、ひとまずそこに腰を下ろし、目の前に広がる光景を頭の中で整理しようとしていた、その時だった。
『ダァーッン!』
何かが落ちたのか、はたまた何かが床に強く叩きつけられた音がした。その方角を見て、俺は目をこすった。
ユリだ。ユリが床に叩きつけられていたのだ。相手は、ユリよりも体格が大きくてゴリラのような女だった。
そしてその後また、2人は取り組み始めていた。