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04 手にしてしまった俺の愛銃

「まだかなー」

俺はエアガンを購入してから届く日を待ちに待っていた。

その日の夕飯は唐揚げとウイスキー。これが最高に好きなんだな。

ウイスキーを片手にPCで動画を見ているとき「ピンポーン」

どこかでインターホンが押された音がした。

「ハル!荷物だって!」

母親が俺の部屋に向かい叫ぶ。

「いまいく!」

俺は母親のいる方向に叫び返してお金を片手に玄関を開けた。


「こんばんは、宅配便です。代引きですがいいですか?」

と聞かれた。もちろんコンビニまで払いに行くのは過酷なので代引きに交換にした。だが荷物を持っていたお兄さんは

「すみません。これ、相当重いんで先置かせてもらっていいですか?」

と聞かれた。もちろん了承しお金を払いお兄さんは乗ってきたであろうトラックに帰っていった。


俺は玄関に置かれた荷物を持って部屋に行こうと思ったその時

「は?」

段ボールが動かない。

「エアガンってこんなに重いの?」

俺の人生で一番重い宅配物は間違えなくPCだ。流石にそれよりも重い物は届かないと思っていた。

だが現に今PCレベルの重い物を目の前にしている。


俺は何とかして自分の部屋に運び込んだ。

「あーつかれた。」

PCの時もそうだったが一度持ってしまえば楽なものだった。

「よし、やりますか」

そう意気込んでカッターを片手に段ボールを開けていく。

この瞬間が一番楽しい。じらされ爆発しそうな興奮を抑え込むかのようにカッターを滑らせていく。

「かっこいい…」

実物の銃を見た俺は無意識に言葉をこぼしていた。

手にもつと鉄のひんやりした感触とずっしり重量感のあるこの感覚、今まで経験したこと無いこの情報量は自分の気分を高めていった。

早速撃ってみたいと気持ちにせかされつつマガジンとBB弾を探す。

だがBB弾の姿、そしてBB弾の入るマガジンは存在していなかった。


中に入っていたものは、銃本体と大量のダミーカート、そしてダミーカート用のマガジンであった。

「うわーやられた」

俺は軽く落ち込んだ。

「まぁ400円でそんなうまい話あるわけないわなぁー」

ダメ元でダンボールをあさってみるが何もない

「ん?なんだこれ?」

中に入っていた梱包材にはざまった紙が目に飛び込んだ。

二つ折りにされた紙には整った文字で

「購入ありがとうございます。」

その書き出しとともに銃の説明が書いてあった。


「すっきりしないしこれで遊んでみよ」

俺はマガジンに弾を込め銃にセットした。

「俺は今戦場にいる…」

そう言い俺は想像を膨らませていった。


ーーダダダダダダ

銃声が鳴り響く、匂いを嗅げば火薬と鉄の混じった匂いがする。

ここは最前線だ。

ーーダダダダダダ

銃声がやむことは無い。

横にいる仲間も撃っている。

マガジンを一つ撃ち終わった仲間は乗り出した身を塹壕に引っ込める。

「何も気にせず撃てるってのは気持ちいいもんだな!」

そういうしょうもない冗談がその場を明るくする。だが遮るように情報が飛ぶ

「左の方向から敵複数!援護してくれ!」

そう言った仲間の方向には薄っすらと敵影が見える。俺も頭を出さないよう這って近づき仲間が身を引っ込めるタイミングで俺は身を乗り出す

「リロードだ、変わってくれ!」

身を乗り出した俺はPCのモニターを捉え引き金を引いた。


ーーダンッ


俺の肩に鈍痛が走る。

刹那、俺は想像の世界から引き戻され目の前の光景に唖然とした。


なぜならPCのモニターを貫通し後ろの壁すら貫いているからだ。


肩にうっすらと残る痛み、手から逃げるように飛び出し床に転がっている銃、部屋に充満するどこか焦げたような火薬の匂い、貫通したモニター。

思わぬことに戸惑わなかった俺、いや、一周回って冷静になった俺はここから情報を整理するのに時間を必要としなかった。


「これ、実銃だ。」


落ち着くより先に聞きなれた声で呼ばれる

「ハル!うるさい!」

母親だ。

「ごめん!」

銃声を隠すかのように大きな声で謝った。


そして俺は交番に持ち込もうかと思ったその時。

ーーっ

酔いだ。緊張の糸が切れ少しの落ち着きと交換するように酔いが回ってきた。

「今日はもう寝よう。」

俺はそう言い聞かせ趣味で行っていたベースケースに銃を、リックサックに大量の弾薬とマガジン。

入りきらなかった分はウエストポーチに入れ全て布団の中に潜らせた。

貫通したモニターにはタオルをかけ、壁には近くに飾ってあったポスターで隠した。

「朝まで絶対バレませんように。」

そう願い俺は布団の中に潜らせた凶器を握りしめ眠りについた。



ーーチュンチュン


鳥の鳴き声で意識が覚醒しようとしていた。

目を少し開いたそこは緑の下。ここは森であろうか。

少しだけ開いた目をもう一度閉じ、また眠りについた。

「なんだか平和な夢だなぁ…」

この時はそう解釈して。

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