11 貴族と魔法
俺はカバンを机の上に置き中を見せた。そこには大量の弾薬。
「中身はコレ、弾薬って言うんだ。」
そう言うと、
「だんやく…?聞いた事無いですね。」
シーレミアが答える。
「一つ触って見ても?」
「叩いたり、乱暴するなよ?」
そう言うとエーテルとシーレミアは弾薬を一つ手に取り見ていた。
「少し冷たいわ。」
そうエーテルが言いカバンの中に弾薬を戻した。
「こうして異国の物を見るのは少し心が躍ります」
ニコニコしながら言うシーレミアを見ると自分まで嬉しくなった。
「そういえば。」
俺はふと思い出した。街を歩きながら聞くより良いだろうと思いその場で聞いた。
「魔法の事教えてくれないか?」
そう言うと二人が不思議そうに俺を見た。
「魔法の事?多分あなたが求めているような有益な情報は出ないと思うわよ?」
そう言いつつエーテルは魔法の解説をしてくれた。
「魔法って言うのは大きく分けて2つ。汎用魔法と特化魔法ね。」
すると机の上に置いてあった花瓶が浮く。
「え?すげえ!」
俺が驚いているとエーテルはつづけて口を開ける。
「これが汎用魔法、そんなに驚く事ではないでしょう?」
「いやいや、驚くでしょ?なにこれ?釣り糸で釣ってんの?」
そう言いシーレミアに視線を送ると、すこし笑って
「本当に魔法を見た事が無いみたいですね」
と言った。
この純粋な反応を演技だと思われているのだろうか。
「本当に見た事無いよ」
「そうですか」
と言い少し真剣な顔つきになる。
シーレミアは「はいっ!」と声を上げた。
俺は目を疑った。
「それは、水?」
シーレミアの周りには水のような綺麗に透き通った液体が浮遊し回っているのだ。
そして今その液体を手の上で操っている。
「これが特化魔法。」
俺の思考を遮るようにエーテルが言った。
「特化魔法?」
「はい、私は水属性の特化魔法を使う事が出来るんです」
水の操作をやめたシーレミアは笑顔で言う。
「いやあ、すげぇなぁ…圧巻だよ。」
これを見るまで今までの出来事は手品なのではないかとどこかで疑っていた自分がいたが、そんな思考は吹き飛んだ。
「いえ、まだまだです。」
そう謙遜しつつどこか嬉しそうなシーレミア。自分まで嬉しくなった。
「特化魔法は何かの属性を持った魔法、貴族なら全員が使えるわ。」
「え?そうなの?」
…ちょっとまってくれ、今俺は目の前で水属性の特化魔法を見た。
という事は、
「シ、シーレミアさんはお貴族のお方でですかか?」
俺は噛みながら聞くとシーレミアは笑顔で答えた。
「はい、エーテルと同じく貴族です」
そう言った。
なんて事だ。俺は貴族に対して一発目からタメ口を決めてしまった。
何なら部屋まで足を運ばせた。
「…すみませんでした。命だけは。」
そう言い俺は今までずっとお賽銭を入れ続けた神社の神様に願った。