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プロローグ.希望担ぎ

当然ではありますがフィクションです。

良ければ評価等していただけると幸いです。

改ましてこれからもよろしくお願いいたします。

「え?」

飛鳥 一歩(あすか はじめ)は、フリーターである。深夜から午前中にあるコンビニバイトとで生計をなんとか立てている。彼は、今日、世界の終わりを目にする。夜勤終わりのことである。他の人々は、出勤のため体を動かしているが、彼は帰るためにそれをする。それが彼の日常なのだ。


しかし、今彼の目の前には日常に起きるはずのないイレギュラーが発生している。

空高くにそれはあった。黒い丸のようなもので写真に穴を開けたように存在している。

そこから更に何かがたくさん降ってくる。よくアニメやゲームで見るモンスターそのもののような印象を受けるそれは、地面に着地するや否や周りにいる人を次々と襲う、まさに地獄絵図そのものだった。ゴブリンのようなものは、手にある棍棒で人を地面に叩きつけ、大きな狼のようなものは、人を食い散らかす。


その光景に彼は呆然と立っていた、状況判断ができていない。それは皆がそうであった。

判断のつかないまま死にゆく人と違うのは、少し距離があるかどうか、近くにいるものも判断の早いもの、腰の抜けなかったものは、逃げている。その逃げる群衆の一人に肩があたり、彼に逃げるという答えを与える。気がつき彼に入って来る情報は、悲鳴と逃げる集団の足音、そして骨の砕ける音や肉の裂ける音であった。


「逃げなきゃ」


今、自分のできる最大の力で振り返り、地面を力強く蹴る。蹴った気がした。

その瞬間、自分の体から意識が飛び出たような感覚が彼に一言。


「あ、」


頭の中のすべてがクリアになり、体に力が入らない。彼も所詮は、他の人間と変わらないのだ。ましてや人の死を見てもなお走れるものは、逆に特殊だろう。すっかり腰の抜けた彼は、その場に強く尻もちを着く、座り込んだ。

その瞬間、彼が腰を地面につけると瞬間、目の前には人の足があった。


人は、死を恐れて死に物狂いで走る。それはたとえ目の前の人が倒れたからと言って決して止まりはしない。そのため集団で逃げる時、必ずと言っていいほどその原因とは関係なく逃げる集団に踏みつけられ、悲惨な姿にされた死者が現れてしまう。そう考えると彼はなかなかのラッキーマンと言えるだろう。集団の最後の方にいたからかその一発の蹴りを顔面に食らって気絶しただけで済んだのだから。

すこししてからだろうか逃げた集団が跡形もなく散ったあとにハジメは目を覚ます。

そこにはもうモンスターもいなかった。死体はたくさんあったが食い漁ったあとがなく

人を咬んでいた理由はまるで殺すためと言わんばかりの光景であった。まだ原型がなくなるまでぐちゃぐちゃにされていたほうが悲惨さは薄れたかもしれない。死者には顔がありそれぞれの表情がそこで起きた悲惨さを映し出している。


「あ、あぁまじかよ、おい、嘘だろ?」


彼は諦めているからか、あまりの事の衝撃でどこかおかしくなってしまったのかその場の全てに聞こえるような声で叫んだ。


「おい、生きてるやついねーのかよいたら返事してくれよ、なぁあ、くそ!くそ!」


声は最後の言葉を発する頃にはかすれてとてもじゃないが聞き取れるようなものではなかった、しかしこの声を聞が届いたものがいた。

彼の後方にある動かないはずのOLがいきなり喋りかけてきた。


「あなたなら・・・救える?」


「はい?」


そのOLは弱々しい中に何故か安心感のある優しい声だった。しかしどう見ても中身はOL自身では無いように感じる。動きが単調でまるで操られているかのようだった。しかし最も驚いたのはそこではない。会社勤めのOLにあってはならない物があった、目の色が緑色に光っていたのだ。


「な、なんなんだよ、お前」


動揺で声が震えている。


「一人ぐらいなら送れる、私の命を使って、過去に」


「過去に?」


彼の発言に目もくれず彼女は何かを言い始めた。


「神らに建言します。セカイは命を捨て彼に過去の道を示します。」


すると驚くことにこの地球がそれを聞いていたかのようにざわめき出し、彼の周りにある死体の山は彼を中心に円状に遠退き、いくつかの死体から血が地面に滲み出したかと思うとそれはきれいな線の形を崩すことなくひとりでに魔法陣を描き出す。そしてさきのOLは、泣きながら言う


「箱を探して・・・彼にあいたかった・・・」


「箱?彼?なんのことだよ。泣いてんじゃねーよ、くそ」


彼も幼稚園児が釣られて泣くように泣きそう声で彼女を悲観した。

彼はすでに、少し理解してきたようだ、いきなり絶望に落とされた彼は、いきなり希望を担がされこの世界をあとにする。彼もまた悲観すべきだろう


彼は魔法陣の中央でゆっくりと意識を失った。


「・・・あなたが助けてくれる!!みんなー助かるって!やったね!」

さっきのOLだろうか他にもみた顔がたくさんいる。

みんな嬉しそうにはしゃいでいる。

「やったー!」


しかし次の瞬間さっき見た光景に変わる。


「助けるって言ったじゃん、嘘だったの?この、この、ゴミク・・・!」


OLは彼の前で想像もつかないようなひどい口調で叫ぼうとしたのだろうが最後の言葉を言う前に後ろにいたゴブリンに棍棒でトドメを刺される。


「ごめん・・・」


「は!!」

大きな声で起きる。さっきのは夢だったようだ、目から涙を流している。しかしそれは大人だろうとあんなことがあったあとでは誰もが仕方ないと思うだろう。


起きて少ししたくらいだろうか、人が階段をのぼる音がする。ここに来て、2階建てだということに気づく。扉が開くとそこには茶髪を後ろで束ねた女性の姿があった。


「起きました?」


彼はすぐに異変に気づいた。女性の服装は東京やましてや田舎でさえ見ることのないようなエプロンを身に着けている。それこそラノベやRPGのようなものだ。赤色のドレスに腰にある白い布が華やかさというかファンタジー感を醸し出している。


「えぇおかげさまで。」


彼はとっさに腕で目をこすり涙を拭う。


「どこからいらしたのですか?その服装、この国では見ないものですから」


「東京から来ました、飛鳥 一歩です、どうやらお世話になったみたいで、改めて、ありがとうございます。」


「おきになさらず、私はミーチェといいます。トウキョウ、聞かない国ですね、さぞ遠かったでしょう。」


「国?ですか」


彼の中の違和感は増すばかりである。


「あ!お腹空いたでしょう、お料理お持ちしますね。」


そういえばなんだかいろいろあったせいか疲れたしお腹も空いたな。最後に食ったのバイト前だっけ、だいぶ前に感じるな


「お気持ちだけにしておきたいところですが、すいませんお願いします。」


彼女は、ニコッとこちらに微笑みかけると階段を降りていった。


彼女が降りてすぐ彼は、ベッドから立ち上がると窓の外を見て驚愕した。

この家もそうだがOLの言っていた“過去”とは違う気がする。自分は実際を見たことが無いのでなんとも言えないが遺伝子がと言うべきだろうか、この世界が昔とはどこか思えない。

目に広がる中世の町並み、まるでこの窓が液晶で、映像でも見せられている気分だ。よく考えるとこの部屋やベッドも自分の知っている歴史や感覚にない。中世なのに中世じゃない遺伝子レベルではあるがそう感じた。


「ん?」


窓の外には彼の違和感をすべて晴らす物があった、というより“居た”

犬の耳?もうしつこいほど出てきたファンタジーのそれだ。人間に犬の耳や猫の耳がついているものがポツポツいる。これを見て彼は完全に確信した。


過去ってもしかしてゲートの向こうの過去のことか!

ゲートの大本を探せってことか、でも過去ってあの時からどのくらい前のことなのだろうか、まだ謎が多いな、とりあえずこの世界に一刻も早く慣れないと。


彼は窓を眺め終わるとまたベッドに戻ってこれまでのことやこれからのことを考えなが待っていると彼女が戸を開けて入ってきた。時間にしてほんの3分ほどだろうか、少し早いきがした。


「おまたせしました。」


「ありがとうございます。」


ベッドの隣にある机に着くと、目の前にミルク粥と水が置かれる。


「ところでその装備品は外され無いのですか?」


彼女は向かい側の椅子に座ってこちらに目を向け不思議そうな顔をしている。


装備品?なんのことだろう、服のことかな?でも、自分の羽織っていた血に汚れた服は全部ベッドの脇にきれいされ畳んで置いてある、いま着ているのはここのものだろう、白いドレスのような服、寝間着のようだ。詰まるところ、今俺は、自分のものを一切身につけていない。

なので装備品もくそもない。きっとこの世界にはなにかそういう風習かなにかがあるのだろう。


「すいません、俺まだここのことわからなくて、では、お言葉に甘えて、いただきます」


木のスプーンいっぱいに粥をすくうと口に運ぶ。


コツン


なぜだろうスプーンは口に入る前になにかにあたってまるで木琴のような音をだす。


「ん?」


あれ?なんで口に入らないんだ?しかもあたったのにお粥こぼれてないし


ハジメは口に手を当てて気づいた。今自分の口には、緑色の何かがマスクのように覆いかぶさっていることに。更に入念に触ると、縦にいくつかサメのヒレのようになっている、ここから呼吸をしたり声を出しているようだ。そして鼻は機能していないようだった。


もう一度お粥をすくうと今度は匂いを嗅いでみる。やはり匂いがしない。今度はゆっくり口を意識しながらスプーンを運ぶ。すると先がマスクに当たった瞬間、お粥に少しノイズがかかったあとにスプーンから跡形もなくきれいに消えた。そして今気づいたがなんだか味はしないがお腹に入った気がする。


まじかよ、どうなってんだこの世界、というか俺の体、装備品とか言う話じゃない。これはもう一体化している。ピッタっとくっついてもうそれ自体が口の役割をしている。

外れそうに無いな。


「へーそうやって食べれるんですね!」


彼女も初めて見るのだろうとても興味津々だ。


「美味しいです」


味はしないがせっかく作ってくれたのに「味がしないからわからない」と伝えるのは失礼極まりない、たとえしなくてもそう言わないと相手も悲しむことだろう。社交辞令や建前と言ったようなやつだ。


次第にハジメは喉が乾いたという感覚に襲われる。彼は、まだマスクに慣れていないのか反射的に木のコップを口に運ぶ。


そうだ忘れてた。俺今、口無いんだった。

そう思った頃にはコップの水は空っぽになって居た。


これでは建前なんて微塵もない。お粥くらいは美味しそうに一口一口食べよう。

彼は、ボウルを口に運べばいいものを、スプ―ンを使って、適度に美味しいと言いながらすべてを完食した。


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