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秘密の贈り物

言葉使いはむずかしいので現代風になってもお許しください。

1552年の年末俺はあることを考え実行することにした。


「段蔵いるか?」


「はっ、ここに!」


いつのまにか背後にいるのは流石に驚く。未来の知識で知っていなければ俺だって恐ろしいと思っただろう。


「段蔵におりいって頼みたいことがある」


「はっ、主の頼みならばなんなりと」


「段蔵以外には頼めない仕事だ!この品と手紙をある人物に届けて欲しい。そして調べてきて欲しい事がある」


俺は綺麗な布に包まれた品と手紙を段蔵に渡し命じた。


段蔵は荷物を受け取り走っていた。またひどい任務を与える主じゃ…確かにこれは儂以外には出来ぬ仕事じゃろう。


しかし段蔵の口元は緩んでいた。今まで他人からここまで信用されたことも頼みにされたこともなかったからだ…


「出資者は無理難題を仰る」


しかし嫌な気はしていなかった。そして段蔵は目的の人物の寝所に忍び込むことに成功した。


…様…様


「曲者!何奴!?」


「怪しいものではございませぬ。我が主人の命令によりお渡しするように言われた品を持ってまいりました」


景虎は思った…どうかんがえても怪しすぎるだろう…しかし自分の命をとる気ならとっくに殺せていたはずである。


困惑しながらも流石は長尾景虎か…しばらく考えたのち話を聞くことにした。


「してどのような要件で私に届けものをもってきたのでしょうか?品とやらをみせなさい」


段蔵は絹の布に包まれた30センチほどの品と手紙を差し出した。


景虎は包みをあけると絶句した…


「ああ…これは…なんと見事な…」


景虎が驚くのは無理もない布の中から出てきたのは自らが崇拝しその身を一生捧げるといっても過言ではないというほど絶対的な存在である金箔で塗られた見事な毘沙門天の像だったからだ。


「何故これを私に!?」


「はっ、我が主人は毘沙門天を何より崇め崇拝しておられます。そして貴女様が毘沙門天を崇めているのをお知りになり、是非ともこの品を景虎様に献上したいとのことでした」


「…しかし見事だ!これをどこで手に入れた?」


「この品は我が主人が自らお造りになりました」


「なんと!お主の主人は何者じゃ!?」


「誠に申し訳ありませぬがそれは今は答えることはできません。我が主人のことならばまずお手紙をお読みください」


景虎様これほどの品を造る人物とは只者ではないと思ったが毘沙門天を崇めている以上自分に敵対する人物には思えなかった。


手紙を開くと柑橘系の爽やかな香りが立ち上る…驚きを隠せない景虎だが嫌な気はしない…手紙を読むとこう書いてあった。


親愛なる景虎様今は私が名乗ることはかないませんことお許しください。私のことは風とでも思って下さい。遠きにいる身なれども貴女様のことをお慕いしております。毘沙門天の御加護を。


景虎は絶句した…男勝りの自分を女として好いている!?しかも何故自分が女だとわかったのか!?


親族や重臣でも知るものはほとんどおらず長尾の家督を継いだ時に自分が女であることを捨てたはずなのに…


胸に熱いものが生まれたのを本人も気がつかなかった。しかし現代風に言うとこの時、景虎は恋に落ちていた…相手が元服前の幼子とは知らずに…


この後、四郎と景虎との手紙や贈り物のやりとりが始まり歴史を大きく変えることになるのだが今は誰も知らない…

愛があれば年の差婚なんて!愛が全てです!

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