太原雪斎の誤算と策略
太原雪斎は松平元信の代わりに影武者をたてます。
一時の休息の後、海津城に山県昌景と赤備え2千と負傷兵を残し、武田勝頼は、馬場信春、上泉信綱、風魔葵、前田慶次郎、本多忠勝、真田昌幸、北条千代丸ら信濃勢7千と上杉政虎率いる越後勢3千で甲斐の国に向けて出陣した!
山県昌景と赤備えは川中島の戦いで、1番の働きを見せ手柄を立てた為、温存し休ませることにしたのだ。
「皆の者!先祖代々の地である甲斐の国をいつまでも敵の手に渡していては我等は笑い者よ!今こそこの風林火山の旗の元に我等の恐ろしさを思い知らせるのだ!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
兵達の士気が頂点に達する!武田勝頼は演説で家臣や兵達をその気にさせるのが上手かった!
「出陣だ!法螺貝を鳴らせ!」
ブォオオオオ!
風林火山の旗に武田菱、諏訪大明神の旗に勝頼の赤地に金文字毘沙門の旗、上杉政虎の白地に黒文字の毘沙門の旗、竹に飛び雀の上杉家の旗が並んで進軍する!
正に戦国最強の連合軍であろう!他家にとっては恐怖と悪夢でしかないのだが…
望月千代女の姿が見えないのだが、彼女は躑躅ヶ崎館の変の後、今までの事を全て勝頼に話し謝罪し、改めて忠誠を誓うと共にある事を勝頼に嘆願し、許されていた。
そう、彼女は人探しを願い出ていたのだ!そしてある人物を探して勝頼の元を離れていたのである!
そして逃げる太原雪斎と武田義信であったが、太原雪斎は川中島の戦いでの大敗と、武田信玄にそっくりな武田勝頼に風林火山の旗、更にはまさかの軍神上杉政虎の参戦によりある決断をしていた!
川中島の戦いで今川勢は散々に打ち負かされ、ほとんどの将兵は討ち取られるか、投降するか、逃げ出してしまっていた。
今、太原雪斎と武田義信に従う兵は服部半蔵を中心とした3千あまりである。
このままでは甲斐の国を守ることは疎か、甲斐の国の国人一揆で自身が殺されかねない!?
役立たずの武田義信を生贄にし、甲府には向かわず太原雪斎は駿河を目指すことにしたのだ!
せっかく切り取った領地ではあるが、全体を見渡せるところは流石は太原雪斎と言ったところか?
太原雪斎は武田義信と兵千を甲府に向かわせ自らはひたすら駿河の国を目指して逃げ続けたのである!
武田義信は甲府を目指して躑躅ヶ崎館に何とか辿り着いたのだったが…彼には報いが待っていた。
躑躅ヶ崎館の今川方の武将達は川中島の戦いでの大敗を聞き我先にと逃げ出してしまっていた!
そしてその空き家となった躑躅ヶ崎館には武田信虎が待ち受けていたのである!
武田義信が帰還した際、義信は兵達に囲まれた。そして武田信虎が抜刀した状態で兵達の間から歩み寄る!
「同じ我が孫ながら何とも愚かなことよのう、義信!」
「勝頼が武田家発展の為に鍛錬を積み、新しいことを考え、民の暮らしを楽にし、財力を蓄えている時に貴様は何をしていた?」
「嫡男だからと慢心したか?勝頼に家督を継ぎたい野心がない為に普通のことだけしてれば良いと思っていたのか?」
「儂も気付かなんだが、太原雪斎が生きていてお主をケシ漬けにしていたとはのう…」
武田義信は虚ろな目で見ていたが、急に興奮しだし刀を抜き武田信虎に斬りかかる!
「まっこと救いようがないのう…せめてこの祖父の手で楽にしてやる!」
こうして武田義信は祖父である武田信虎に袈裟斬りに斬られ絶命した!
「此奴の妻の今川の小娘の首も刎ねよ!」
こうして武田信虎の手により今川方、武田義信方の者達はことごとく粛清されたのであった!
太原雪斎は何とか駿河の国まで逃げ延びることができた!彼の凄いところは切り替えの速さである!
松平元信は戦死したと判断して以前から影武者としていた世良田二郎三郎を松平元信の代わりに松平元康と改名させ三河に送った!
全てを知る服部半蔵は怒りに震えながらも従うしかなかった…
まだ幼いが駿河には松平元信の実子である後の松平信康がいるのだが、三河武士を抑える為に影武者を本物にしたのである。
しかしこれがより三河武士を怒らせることになるのだがこの時点ではわかる筈もない!
太原雪斎は武田勝頼との戦には敗れたが、甲斐の軍勢を主力としていた為、武田に被害は大きいが今川家だけに考えれば損害はそれほどでもないと考え直した!
そして以前の計画通りにせめてまずは北条家だけは自身の命に代えても滅ぼそうと決心するのであった。
甲斐の国は散々荒らしたので、いくら武田勝頼が優秀と言えど簡単には動けないと判断しての行動であった!
そして武田勝頼と上杉政虎の軍勢は甲斐の国に踏み入れるのであった!
武田信虎はこの世界では武田勝頼の味方です!