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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第3章甲斐動乱篇
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川中島の戦い3

川中島の戦いが決着を迎えます。

上杉政虎率いる越後勢により別働隊が壊滅していくのを見ていた太原雪斎はすぐに撤退の命令をだす!


「全軍撤退じゃ!服部半蔵は拙僧を守るのじゃ!酒井忠次と石川数正は、ここにとどまり殿として武田軍と上杉軍を防ぎ時間を稼ぐのじゃ!」


酒井忠次は唇を強く噛む…「おのれぃ今川め…!これだけの大軍を注ぎ込みながら自らの失策により大敗した上我等を捨て駒に使うとは許せん!」


怒りのあまり酒井忠次の口元からは血が滴っている。彼等は常日頃から今川家の下でまるで奴隷のようにこき使われ、戦では常に最前線に立たされ、三河武士の中には食うにすら困り、畑を耕し野草を食らい食いつなぐ者達も多かった…


しかし自分達が耐え凌ぐことにより、松平元信の帰る場所を守り、いつか岡崎城に松平元信が戻ってさえくれれば、この貧しい生活から脱却できると信じて疑わなかったのである!


しかし、太原雪斎は今ここで自分達が逃げる為の盾となり三河勢に死ねと言う!


松平元信の生死もわからない…これから三河は…三河武士はどうなってしまうのだろうか…残された家族達の面倒は誰が見るのだ…


酒井忠次は決意を固めた!「石川!儂はここで死ぬ!御主は武田勝頼に降伏いたせ!あの男は顔こそ武田信玄のような恐ろしいが、良い目をしておった…降伏した者達を悪いようにはするまい」


「しかしそれでは!?」


「よいか、今は難しいかもしれんが、いずれ三河に帰れた時に残された家族達を守る者が必要だ!」


「しかし、ここで生き残っても三河に帰れる保証はないのでは?」


「いや儂にはわかる…いずれあの武田勝頼に今川は滅ぼされるのがな!武田勝頼だけでも手強いのに、あの軍神上杉政虎と同盟を結んだとなれば、龍虎を一度に敵に回すも同然じゃ!」


「かしこまりました…酒井殿、どうかご武運を!」


「ああ…先にあの世で待っておるぞ!」


三河勢は太原雪斎の為に時間稼ぎをするつもりはなかった…石川数正は生き残りの三河勢3千を率いて武器を捨て武田勝頼に投降したのである。


そして酒井忠次は千の決死隊を率いて三河武士の誇りの為に死の突撃を行う!


「我こそは三河岡崎衆筆頭!酒井忠次なり!我はと思う者はこの首とってみせい!」


本陣に向け突撃してくる酒井忠次に対し、雑賀孫市が鉄砲隊を左右に展開させ一斉射撃を行おうとするが…


「待たれよ!」と山県昌景と赤備えが前に出る!「武士の情けだ!あの男の心意気に答えこの山県昌景と赤備えがお相手致す!勝頼様?」


勝頼は無言で頷く!


「者共かかれい!冥土の土産にこの山県昌景と赤備えがお相手致すぞ!」


酒井忠次は鉄砲隊が下がったのを見て呟く!「ありがたい!武田勢にも武士の心がわかる者がいるようじゃ!」


山県昌景と赤備えが突撃し両軍が激突する!最初は勢いがあった三河勢だが皆次々と討ち取られていく…そう決死隊は矢弾を受けたり、傷を負った負傷兵が中心であった。敢えて無傷な者や、傷が浅い助かる者達を降らせて、傷を負った者達は戦場での討ち死にが潔しとしたのである!


酒井忠次と山県昌景が馬上で対峙する!鋭く繰り出された山県昌景の槍を満身創痍の酒井忠次にもはやかわす力は残ってはいなかった!


心臓を一突きにされた酒井忠次はガフッと血を吐き出しながらその意識は深い闇へと堕ちていくのであった…


「敵将酒井忠次!この山県昌景が討ち取ったり!」


こうして川中島の戦いは武田、上杉連合軍の完全勝利で幕を閉じたのだった!


上杉政虎が武田勝頼と馬を並べる…


「間に合って良かった…」


「政虎ありがとう!本当に助かった!積もる話もあるが今は勝ち鬨だ!」


「皆の者!此度の合戦は我等の大勝利だ!勝ち鬨をあげよ!えいえいおー!」


えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!えいえいおー!


川中島に武田、上杉連合軍の勝ち鬨が響き渡るのであった!

さて追撃をするか、兵を休めるか…

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