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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第3章甲斐動乱篇
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枯骨の正体と今川家の事情

今回は何故今川義元が三国同盟を破り武田家と北条家を滅ぼすのかと言う理由です。

小田原城へ北条氏政、松田憲秀、早川殿の首を送りつけた頃の駿河の国、駿府館では今川義元が母である寿桂尼と酒を飲みながら今後の展開について話し合っていた。


今川義元には三名しか知らない秘め事がある。そう今川義元と寿桂尼、枯骨である。


三名は今川家を守る為に、味方を欺いてまでの秘め事をしていた。


全ては今川家を守る為…それは仕方の無い事だった。


この秘め事は何年も前から練りに練られた謀であった。


そう三国同盟の前から…三国同盟は天文二十三年に太原雪斎主導のもとで、今川家は尾張方面へ進む為に、武田家は信濃方面へ進む為に、北条家は関東へ進む為にと言うお互いの利害で終結された。


そもそもこの同盟は今川氏が一番得をしている。武田家は太平洋沿岸への進出は事実上不可能になり、北条家は陸路での上洛は不可能となったからである。この三国同盟により上洛して天下を狙えるのは今川家だけになったのである。


この時代の天下とは日本統一ではなく、畿内統一を目指すことである。


しかし昭和の時代の三国同盟をみてもわかるように三国同盟というものほど胡散臭い物はない。甲駿相三国同盟を昭和に例えるならば甲斐は日本、駿河はナチスドイツ、相模はイタリアである。


駿河にある臨済宗の寺である善徳寺で、今川義元、武田信玄、北条氏康、太原雪斎でこの三国同盟を集結した際に、事前に憂慮していた通りだった為、今川義元と太原雪斎は計画の実行を決意するのである!


まず、そもそも今川義元は武田信玄と北条氏康が死ぬほど嫌いであった!しかし長期的な計画を説かれ太原雪斎の言葉に従い三国同盟を結んだのである。


今川義元が、武田信玄を嫌いな理由は争いもあったが、実の父を追放し、約束を破り妹の旦那である諏訪頼重を騙し討ちにて殺し、その子である寅王も謀殺している!その為、武田信玄の妹であるねね御料人は一切の食事を摂らなくなり死亡したと言う。それだけでも鬼畜だが、後日談で、今の嫌悪に拍車がかかる理由として更には諏訪頼重の娘の諏訪御料人を犯し武田勝頼を産ませたのだ!


身体が弱かった諏訪御料人は早死にをし、その息子武田勝頼は疎まれ越後との最前線である川中島の海津城に飛ばされたらしい。我が子を愛していれば一番危険な戦国最強の軍神上杉政虎がいる最前線に間違っても送ることはないだろう!つまりはいつ死んでも良いと言うことだと今川義元は理解した。


だから武田勝頼に関しては、哀れな四男坊としか思っていない為、今まで調べたこともない…これは武田勝頼にとっては幸運な事である。


まあ普通に考えれば武田信玄を信用する者などいるわけも無かろうが…


北条氏康に関しては、長年戦さを繰り返しており、今川家が乱れた時にはいつも攻め込まれており、河東を奪われたりと常に煮え湯を飲まされて来たのだ!しかも伊勢氏の氏康が北条家を名乗る事に関しても名門である今川義元は何処の馬の骨かわからぬ伊勢風情がと憤慨していた。


しかし目的の為に善徳寺の会見に挑んだのだが、北条氏康に対して、文武両道で力を持たせたら危険だと今川義元は更に警戒心を強めた。そして武田信玄に関しては論外だった。正に檻に入っていない虎である!いつ寝首をかかれて襲われるかわからない…今川義元でなくても野放しにされた猛獣である虎が隣国にいたら恐怖でしかないと思う。


その時に今川義元と太原雪斎はなんとしても自身らが生きている内に両者を滅ぼさねば今川家が滅ぶと確信し謀を実行していく決意をしたのであった。


しかし更なる最大の理由があった!涙が出るほど情けなく悲しい理由なのだが…


最大の理由は自身の嫡子である今川氏真であった…


北条氏政、武田義信とも優秀ではなく凡将なのだがそれでもどうしても排除しなくてはならなかったのだ。


それは今川氏真があまりにも阿呆であり、愚将であり、愚かだった為である!


今川氏真、織田信雄、一条兼定といった戦国三大暗愚と言っても過言ではないだろう。


血か?育て方が悪かったか?今川義元にも理解が追いつかないが、公家の真似事は上手いが、戦国武将として涙が出るほど暗愚だったのである!


だから今川義元と太原雪斎は三国同盟後は力を蓄えることに徹した。


太原雪斎に関しては今川義元と寿桂尼との秘め事として死んだことにして自由に動けるようにしたのだ!


全てが今川氏真が暗愚すぎる為である!


今川義元と太原雪斎にもしもの事があったら間違いなく今川家は武田家や北条家によって滅ぼされるのが彼らにはわかっていた。


だから太原雪斎を枯骨として甲斐に送り込み武田義信を洗脳、薬漬けにして壊し、謀叛により甲斐を占領すると共に北条家の嫡子である北条氏政を殺したのである!


山本勘助や松田憲秀など重臣も殺し、敵の勢力は削いだ。後は滅ぼすだけである!


その三国同盟を纏めた太原雪斎である。今回の事に関して更に手を打っていた。


尾張との同盟だけでなく、これから起きる武田討伐を美濃の斎藤義龍に伝え混乱した信濃へ攻め込ませること、動く事はないとは思うが邪魔をされない為に越後の軍神に関して加賀の一向一揆を越中にけしかけること、能登畠山に越中を攻めさせること、蘆名に越後を攻めさせること、佐竹、小田、里見、古河公方、宇都宮に小田原城を攻めさせる事を約束させていた。


武田、上杉、北条包囲網である。武田は最早死に体、上杉は動けず、北条は袋の鼠である。太原雪斎の策はこうして実行に移されたのである!


今川氏真がもう少しだけでも普通なら天下を目指したが、暗愚過ぎる為に今川家を守る為に自身や雪斎に何かあれば一番の脅威となる武田家と北条家の殲滅に動いたのであった。




義元は氏真の残念過ぎる能力に絶望しています。しかしあながち間違いではありません。滅びますからね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 氏真は文官としてはかなり優秀でしたよ
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