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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第3章甲斐動乱篇
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血祭り

血祭りとは古代中国において出陣の際に敵兵やスパイを軍神への生贄として捧げる出陣の儀式です。

甲斐で躑躅ヶ崎館の変が起きていたのと同時刻の駿河の駿府館では援軍としてきた北条家の北条氏政と松田憲秀の為に宴が開かれていた。


今川義元を中心として今川家の重臣たちや三河の松平元康など今川家中の者達が一堂に集まっている。


「義元殿、私達の為に盛大な宴を開いて頂きまことに恐悦至極です」


「なんの、それは麿の方こそでおじゃるよ」


今川義元は私生活では使わないが客人の前では少しだけ公家言葉を使う。でっぷりとした身体に白い肌、そしてお歯黒…武士なのか公家なのかわからない容姿だ。


街道一の弓取りなどと言われるが、最近では自身では馬に乗るのも難しく輿に乗って戦さの際は出陣するらしい。


今川家は源氏の足利系の名門一族で、(室町殿の御子孫たへなは吉良につかせ吉良もたへは今川につかせよ)と言うほどの名門中の名門である!


しかし足利将軍家とは仲が悪く、幕府からの脱却を進め今川仮名目録を制定するなど、足利将軍家を蔑ろにしているのだが、その御三家の中でこの戦国時代に一番力を持っていたのは今川家なのである!


「久々に妹の顔が見たいのですが?」


「ホッホッホ、すまぬが早川殿は病でおじゃってな」


「ならば尚更見舞いに!」


「ホッホッホ、それには及ばんでおじゃるよ!直ぐに兄弟仲良く会えるようにするのでな!」


北条氏政は背中に冷たいものが走る…顔は笑っているが目が笑っていないのを不思議に思ったからである


「そういえば厠に行った松田憲秀が中々戻って来ぬが遅いですなあ?」


「ホッホッホ、屋敷が広いので迷ったのかもしれぬのう!」


「まあ遠慮はいらん!もっと飲みなされ!」


美人の女中が北条氏政の杯にどんどん酒を注ぐ


「いやあもうこれ以上は!」


「北条家の嫡男は酒が弱いのかえ?」


家の名前を出されたら北条氏政といえど飲まざるを得ない…そして言われるがままに酒を飲み潰れてしまったのである。


翌日目を覚ました北条氏政であったが身体の自由が効かない!?


気がつけば周りには甲冑姿の今川義元と今川勢に囲まれている。


北条氏政は縛られていた…


「貴様ら、これはどういう事だ!?憲秀!憲秀はおらぬか!?」


すると朝比奈康朝が「ハッ、ここに!氏政様」と声色を使い松田憲秀の首を北条氏政の前に投げつける。


すると周りから笑いが溢れる!アッハッハハッハッハ!


「すまんすまん!もう喋れないので儂が代弁してやったわ!」


ヒィヒィ!今川氏真などは堪えきれず腹を抱えて笑っている!


「どういうことだこれは?私をどうするつもりだ」


今川義元がクイと首で朝比奈泰朝を促す。


「冥土の土産に教えてやろう!今回の出兵は関東じゃ!織田信長とは氏真様がお犬の方を嫁に迎える事で和睦した。精々西の抑えになってもらうさ!」


「なんだと!?そんなことをしたら武田が黙ってないぞ!?」


「ホッホッホ、武田信玄なら嫡子の武田義信の謀叛で最早この世にはいまいて」


アッハッハッハッハッとまた笑いが起こる!


「妹は…お早はどうした!?」


「刺客を送ってある!すぐに冥府で逢えようて!」


「主らの首を北条氏康に送りつけ怒り狂い小田原から出てきた処を攻め滅ぼす算段の軍勢よ!」


北条氏政は血の涙を流す…「おのれぃ…おのれぃよくも!よくも!許さんぞ!」


「これがなれば麿は駿河、遠江、三河、甲斐、信濃、武蔵、相模、伊豆、上野を治める天下人じゃ!?そして全てが上手くいっておる!愉快!愉快じゃ!」


今川義元はニタリと笑い扇子で北条氏政の額を叩く!


「麿が憎いか?悔しいか?許せないか?しかし泣いても何もできんのう」


「さて楽しませて貰ったのでそろそろ楽にさせてやろうて!」


「朝比奈、殺れ!」


「ハッ!これより必勝を願って血祭りの儀式を執り行う!軍神よ受け取りたまえ!」


ザシュッ!北条氏政の首からは大量の血が噴き出すのであった…


そして今川義元は油断していた北条からの援軍2千に攻めかかり皆殺しにしたのであった。


そして北条領への進攻と信濃への進攻が始まるのであった…

桶狭間の戦いは起きませんでした。今川は織田と同盟を結び、武田、北条の殲滅に動き出します。武田は嫡男は再起不能の薬漬け、北条は嫡男は死亡しました。

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