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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第3章甲斐動乱篇
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躑躅ヶ崎館の変2

武田義信により透波は二倍の金で買収されており、彼等は勝頼の忍びと違い家臣ではない為より条件の良い方へ寝返ったのでした。それにより武田信玄は不覚を取ってしまいます。

「お館様!太郎義信様御謀反!?」


「昌信と信廉か…」


「お館様!敵は5千!お味方は千が良いところです!まもなくここは包囲されますぞ!」


「昌信、信廉…儂の為に、いや武田の為に儂に命をくれまいか?」


「水臭い事をおっしゃられますな、元よりこの昌信はお館様に取り立てられた者、命が惜しい訳がありましょうか!」


「兄上!それがしもお家の為に死ねるなら本望ですぞ!」


「そうか、十中八九儂らは全員死ぬ事になろう!しかし残りの僅かな可能性に賭けたいのだ!」


「今回の件は義信の謀叛を見抜けなかった儂の失態じゃ!義信の背後には今川義元がおる!このままここで儂が死ねば武田家は滅んでしまう」


「今川義元の一家臣となろう!しかし大名としての武田家を残す方法が一つだけある!」


「それはいったい?」


「信濃の勝頼じゃ!たとえこの後、甲斐から信濃を攻めたとしてもあやつの領地は信濃の最北じゃ!敵が攻める前に守りを固められるであろう!」


「それにあやつの許嫁は越後重臣の娘と聞いておる!上手く行けば越後から攻められることはなかろうて!故に上杉政虎が勝頼に味方してくれれば信濃は持ち堪えられるはずじゃ!」


「昌信よ、ここに上杉政虎への文をしたためた!これを持って越後へ向かってくれ!」


「まだ武蔵方面は包囲されていない筈だ!それともし生きて越後に辿り着き信濃へ入れたら勝頼に仕えるように!あやつはまだ若いが我が子の中で一番才能がある」


「ははっ!この命に代えても!」


「それとこれを持っていけ!必ず勝頼の役に立つはずだ!」


それは箱に収められた品と、武田信玄が若い頃使っていた具足であった。


高坂弾正は数名の配下の兵と共に武蔵方面へ落ちていった。史実彼の異名は逃げ弾正である!


「信廉!その方は儂の具足をつけ儂のふりをして躑躅ヶ崎館で立て篭もり時間を稼いだら降伏いたせ!義信が愚か者でなければ親族は殺しはしないだろう!殺せば信濃の信繁達も完全に敵に回す事になる!」


「かしこまりました!しかしお館様…いや兄上はどうするおつもりか?」


「儂の首が敵に渡れば信濃にいる者達も義信に降る者が多くなろう!だから儂は抜け穴から抜け出し富士の樹海に入る!」


「しかしそれでは!?」


「全ては武田家の、勝頼の為じゃ!運が良ければ生き延びることもあろうて!」


「さらばじゃ!」


こうして武田信玄は、百姓の服を着て刀大小のみを抱えて抜け穴から抜け出し富士の樹海の方向へと消えていくのであった!


一刻程時間を稼いだ後、命令通り武田信廉は武田義信に降伏した。


「武田信玄が降伏した為捕らえました!」伝令からの報告に本陣へと引っ立てるよう命令する。


甲冑姿の武田信廉が引っ立てられてくる。しかし彼は史実において武田信玄の影武者をしていたくらい似ていた為、他の者は彼が武田信玄と信じて疑わなかった。


「無様な姿ですなぁ父上!」意地の悪い笑みを浮かべて義信が信廉を足蹴にする。


ドカっと倒れこむ信廉だったが、義信に怒りと失望を覚えた。こんな奴の下で生き残っても自身の武士としての誇りが失われるだけだと!


信廉は義信の顔に唾を吐きかけ大声で叫ぶ!


「このうつけが!貴様は自身の実の父親の顔もわからん程のたわけか!?」


そして起き上がり義信の顔に頭突きをくれる!


「兄上はとうの昔に逃げ延びたわ!貴様はおしまいじゃ!北条家だって黙っておらんぞ!この今川の飼い犬が!」


鼻血を流しながら義信は刀を抜いて信廉の腹に刀を突き立てる!


枯骨は急いでそれはなりませんぞと止めようとしたが時遅く信廉は血を吐き出しながら睨みつけ義信の足に噛み付く!


義信は信廉の首を跳ねるがその首は義信の足に歯を食い込ませたまま固まり引き剥がす事が出来ず義信の左足の肉を持って行ったのだった。


結果武田義信は左足が不自由になるのであった。


枯骨はこやつは武田信玄の影武者と言われる実弟の武田信廉か!?しかしまずい事になった。これでは武田信玄の行方は分からぬし信濃の一族を全員敵にする事になる。


武田勝頼やその弟はまだ若造だからなんとでも出来るが、武田信繁が厄介だと目の前が暗くなる。


儂とした事がしくじったわい…義信の阿呆が…少しケシ汁を飲ませ過ぎたようじゃな…これでは全く役にたたんわい…心の中で後悔する枯骨なのであった…

武田信廉は死亡、武田信玄は行方不明となります。そして武田信廉が殺される状況を霧隠才蔵の配下の忍びがみており、勝頼と信繁に情報を伝えるのでした。

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