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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第3章甲斐動乱篇
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躑躅ヶ崎館の変1

勝頼の地獄の一年が始まります。

永禄三年五月、勝頼は胸の奥に引っかかっている何かが気になり、遺憾ではあるが身内である甲斐武田信玄の元に真田忍軍の霧隠才蔵を派遣していた。


道中で霧隠才蔵は透波と見られる忍者に襲われて仕方なく返り討ちにしていたが何か様子がおかしい。


透波と見られる集団の中に伊賀者が混ざっているのだ。松平家の服部半蔵の手の者か、それとも今川家の藤林長門守の手の者かは不明だが、百地三太夫の手の者ではないだろう。


府中では、武田義信が今川義元への援軍の為兵を集めていた。


2500の兵を援軍に出すと聞いていたがどう見ても2500より多く見える。


諏訪より、駿河に詳しい者として案内役に山本勘助が武田義信より指名され陣中に招かれていた。


出発は明日の朝との事で兵達は陣をはり野営をしているようだ。


山本勘助は武田義信の本陣に来ていた。


「若殿!これはどういう事にござるか?お館様は2500の兵を援軍に出すと命じられましたが明らかに兵の数が多すぎますぞ!?」


武田義信は薄ら笑いを浮かべたまま何も答えない。


山本勘助は声を荒げて詰め寄るが相手にされないので「お館様に報告致す!」


「待たれよ!それは困りますなあ!」


陣幕の裏から枯骨が姿を現わす!


「ば…ばかな…貴様はとうに死んだはず!?」


次の瞬間に山本勘助の身体を無数の槍が串刺しにする!


「ガフ…!おのれ…た…」


次の瞬間に山本勘助は首から血を噴き出す自分の胴体を見ていた…そして意識は闇に包まれた。


義信は山本勘助の首を掴むとこう叫んだ。


「良いか!余に逆らうとこうなる!敵は躑躅ヶ崎館にあり!これより今川家の災いとなる武田信玄の首を取る!出陣だ!?」


山本勘助の首を槍に突き刺し武田義信軍は躑躅ヶ崎館に向けて進軍を開始する!


「お館様…お館様!」


「何奴だ!?姿を見せよ!」


霧隠才蔵がすっと姿を現わす。


「拙者、武田勝頼様配下の霧隠才蔵と申す者です」


「無礼者!勝頼の配下が何用じゃ!」


「無礼は承知で申し上げます!太郎義信様御謀反!」


「馬鹿な!?なんだと!?それはありえん!それにそのようなことが本当ならば透波が報告するはずだ!?」


「透波はお館様を裏切り義信様につきました。根回しがされているらしくこの甲斐にお館様の味方は躑躅ヶ崎館にいる武田信廉様と高坂弾正様以外おりませぬ」


「山本勘助はどうしたのだ!?」


「先程義信様に殺されて首を刎ねられ敵軍に晒されています!」


「敵の数は五千、こちらはせいぜい千が良いところ!お逃げください!」


嘘を言っている様子ではないな…真実か…ならば!


「霧隠才蔵と申したな、儂のことは良い!そこにある葛籠と今から文をしたためるのでそれを持って勝頼のところへいけ!」


「しかし!?それでは!?」


「これは命令だ!?」


こうして武田信玄から葛籠と文を預かった霧隠才蔵は躑躅ヶ崎館が敵に包囲される前に闇へと消えるのであった…

今回のことで黒幕は数匹の猛獣の尻尾と1匹の狸の尻尾を踏むことになります。動物は尻尾踏まれたら怒りますよね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時代というのは、水もの。はっきし、わかんだね。
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