新兵器開発
切り札とは隠しておくから切り札なのです。新兵器はバンバン全ては投入しません。
勝頼はラボであることを行なっていた。危ないので誰も近づくなと言ってあったのだが葵は勉強したいことがあると離れなかった為、仕方なく危なくなったら逃げるように言って聞かせた。
了解とばかりに葵は頭から鍋をかぶっている…何とも言えないが見ていて愛嬌があるので勝頼は何も言わなかった…
令和でかなりI.Qの高かった勝頼は歴史は勿論だが物の歴史やその開発過程においても熟知している。
今回勝頼が行なっているのは、油脂の加水分解である。これによりグリセリンを作りだす。
フフフフフ…悪いことを企んでいる顔だと葵は直感的に思った。
そしてそのグリセリンを硝酸と硫酸の混酸で硝酸エステル化することでニトログリセリンを作り出す。
ニトログリセリンは狭心症などの治療薬にも使用できるが1番はダイナマイトである!この時代にダイナマイトがあれば鉱山開発や城攻めや海戦で恐ろしい程の威力を発揮する。
勝頼はニトログリセリンを手に入れたのだ!硫黄に関しては密かに草津を押さえていたので後は知識と技術の問題で勝頼はこれが可能であった。
ただ使い方を間違えると面倒な事になる為、日本国内では切り札として秘蔵しておくことにする。
もう一つは火薬を使った花火作りだ。葵はその花火を作る為の工程を穴が空くほど真剣に眺めていた。
そして勝頼からその材料を分けてもらうと、竹筒に金属や火薬など様々な物を調合して導火線をつけた自らの爆弾を完成させた。
勝頼から手に入れた火打ち石を仕込んだ手袋と合わせて大業を完成させたのである。風魔忍法火遁の術!その爆音と爆発は凄まじいもので更に中に釘等仕込めばより殺傷能力が高まるであろう代物である。葵も勝頼に負けないくらい悪そうな笑みを浮かべるのであった。
葵は小太刀二刀流で背中にクロスに小太刀を背負っているが腰には片方に勝頼が作ったククリ刀を一刀下げており、普段の調理や草や木を薙ぎ払う、獲物の解体や時として飛び道具としても使っていた。
クナイや手裏剣も仕込んでおり天然のマキビシなどその他何処に隠しているのかわからない程暗器を仕込んでいるのだ、これに火遁の術が加わった事により複数人に対応出来るようになった為、お腹が空いてない限りは葵は伊賀の上忍にも遅れを取らないであろう。
癒し系のゆるキャラであるが、葵は次期風魔小太郎であり本当に強いのである!
それから一週間が経った頃、勝頼がある面白い物を作ったので葵にくれると言って来た。
何か新しい食い物をくれるのかと葵は目を輝かせたが…
勝頼が取り出したのはウーツ鋼で作った2対のチャクラムであった。その威力は30メートル先の竹をも切り落とす。
勝頼が作った物は特製だったのでその威力や飛距離はさらに凄まじい物だった。
勝頼が実際に投げてみた所をみて葵はその威力と美しさに目を輝かせた。
しかし唯一の欠点は一度投げるとブーメランの様に戻って来ない為、探し出し回収しなくてはならないということだった。
葵は「欲しい!欲しい!」とねだるが勝頼はここで一つ葵を構うことにした。
右手に持つのはチャクラム、左手に持つのは勝頼が作った砂糖をまぶしたドーナツ!?
「このドーナツは砂糖を存分にまぶした南蛮の菓子だ!美味いぞ!?どちらか一つ葵の欲しい方をやろう」
勝頼は最初から両方葵にあげるつもりだったのだがついつい構いたくなってしまう。勝頼の悪い癖だ…
ガーン!?葵は絶望のあまりムンクの叫びのような顔をしている。
「どっちも欲しい…私は一体どうしたらいいのだ…」
葵はどちらかを選べずに顔を真っ赤にさせてプルプル震えている。
お預けを食らった犬のように目を潤ませ勝頼の方を懇願するように切なそうな目で見る為、可愛そうになってしまい勝頼が折れた。
「すまん。私が悪かった。そんな目で私を見るな!」
反省した勝頼はチャクラム一対と持っていたドーナツ8個のうち7個を葵にあげた。
葵の表情はわかりやすくパーァァァァと明るくなり飛び跳ねて喜んでいる。
構ってはいけないと思うのだが勝頼は葵の表情の変化が好きであり、わかっているのだがついやってしまうのだ。
まるで女子のようにドーナツを頬張り幸せそうな笑顔を見ているともしや葵は女子なのでは?と最近思い始める勝頼なのであったが、勝頼が鈍感で勘違いしているだけであり、誰も葵を男とは言っていないし、葵はれっきとした女である。
葵にしてみれば失礼極まりない話だが、最初のイメージと風魔小太郎の名前と葵が使う体術?柔術が勝頼を勘違いさせたのも仕方のないことである。
そんな勝頼の思いを知ってか知らないでか葵は「このドーナツという物はなんて美味いんだろう。私にも作れるかな?」とチャクラムよりもドーナツに心を奪われて笑顔を浮かべるのだった。
チャクラムは優秀な武器なので使いこなせば恐ろしい威力を発揮します。勝頼も鎧の肩当てにチャクラを数個仕込むこととなります。