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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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百物語!?

今回はゆるい脳休め回です。

勝頼は、武田、上杉連合艦隊の大勝利に満足していた。


段蔵に命じ全国の生活に困った者や、浪人、川者、サンカ、乞食、罪人、奴隷などをかき集め蝦夷に送るように指示を出した。


未来の真似をして屯田兵を組織したり開発や開拓を進めるのに人材が必要だからだ。


又、明智光秀に書状を送り詳しい縄張り図と共に令和と同じ場所に五稜郭の築城を命令した。


助五郎に命じ集めたヨーロッパの寒冷地に強い麦やジャガイモなども蝦夷に送る手筈を整えた。アイヌとの取引や蝦夷の特産品は助五郎に独占的に流し上方で高値で売り払うルートを構築した。


助五郎は商人としても、茶人としても歴史に名を残す大人物なのだが、一般の人は千利休や茶屋四郎や今井宗久を茶人や大商人と言えば思い浮かべるだろう。


しかし助五郎は実はそれらに負けないほどの大人物なのである。


堺の天王寺屋の助五郎と言えば知る人ぞ知るである。


今では勝頼の専属商人となっており史実より権力、資金がある為、現在日本一の大商人となっている。おかげで勝頼は世界中の欲しい物が手に入り助かっている。


助五郎としても勝頼の発明や取り寄せた物で売れなかった物は今まで一度もなかった為、金儲けの為と勝頼の期待に応えるために必死にやってくれている。


勝頼は助五郎からある面白い物を仕入れた。ダマスカス鋼である。


19世紀に失われた技術だが今の時代にはある。シリアで加工された商品はダマスカスと言うが勝頼はその生産元のインドと助五郎を通じて貿易ルートを作ることに成功した。正式名称をウーツ鋼と言う。


刀としては日本刀が世界一で硬度も最強だが勝頼はその他の可能性や芸術品、贈呈品としても価値があると踏んでそれを取り入れると共に失われた技術を未来に残したいと考えたのだ。現地の職人のスカウトも助五郎に依頼してあった。


また、勝頼は火打ち石の研究をしており世界中の火打ち石を集めていた。新型の鉄砲や勝頼が喉から手が出るほど絶対欲しいリボルバー、ジッポライターを開発する為に必要な事だからである。


勝頼には趣味があり海津城にラボがある。新たな武器の開発の為の鍛治施設や陶芸やガラス製品などを自ら作る研究施設で最近では炭鉱開発にも力を入れており今は輸入だが蝦夷で採掘出来るようになればよりコークスを作成しやすくなる。


武器の開発には火力は必要不可欠なのである。


そんな勝頼は趣味を兼ねて五つの試作品を作った。作る際は勿論本職に手を貸してもらいながらなので出来は間違いない。


ダマスカス鋼で作成した一対のククリ、日本刀、槍、ガラスのワイングラス、火打ち石の仕込まれた皮の手袋を作ったのだがそれらは催し物、いわゆる大会を開いて優勝者に与えることにした。


海津城下にお触れを出したのだがそれには国外からも人が集まった。


まず、ダマスカス鋼の日本刀を景品に武術大会を開いたのだが…上泉信綱に勝てる者などいる訳もなく上泉信綱が優勝商品を手に入れた。


次はワイングラスを景品とした楽器での大会を開いたのだが、これは乱戦になった。因みに勝頼は助五郎から仕入れた蛇三線が得意だったりするのだが…


馬場信春は和太鼓、山県昌景は鼓、何を勘違いしたか鈴木重秀は法螺貝、何か勢いと力押しの感じがする。


ここでの本命は風魔葵と望月千代女だ。意外な特技で葵は琵琶と笛が得意であり、千代女はお琴が得意であった。


他の者達は落選し、葵は笛で挑むが千代女のお琴に負けワイングラスは千代女のものとなった。


「ホホ、葵さん素敵でしたわよ。間違いなく貴女の優勝だったわ。私が相手でなければね」


葵は無念さと悔しさでワナワナ震えるのだが本当に欲しいものはワイングラスではなかったので怒りと悔しさを抑えて深呼吸をした。


「女狐め…!」


しかし勝頼が作った物は全て欲しかった為に葵は悔しかった!


次は火打ち石を仕込んだ皮の手袋を景品としたイリュージョン(幻術)対決であったがこれは風魔の秘術で葵が圧勝した。


「クス、千代女さん貴女の圧勝でしたよ。私が相手でなければね」


千代女はワナワナ震えながら「あの雌狸め!」と悔しがるのだが景品に魅力がなかったので大人の対応で笑顔を見せるのであった。この手袋が葵の大業につながることになるのだが…


次は槍が景品の槍試合の大会だったが上泉信綱が参加しなかった事により混戦になった。山県昌景や馬場信春は順当に勝ち進むが優勝したのは前田慶次郎という浪人だった。


勝頼は「前田慶次!?あの前田慶次か!?」と驚き美味い酒を馳走したいので是非城下にとどまってくれと頼み、慶次も酒の誘いは断れぬと暫く城下にとどまる事になった。


その夜は山県昌景や馬場信春と飲み明かし前田慶次も大変打ち解けたようだ。


最後の景品である一対のククリだが最後は夏らしく勝頼は怪談、そう百物語で1番怖い話しをしたものに授けると決めた。


その日の晩、海津城では百物語が行われていた。百物語とは怖い体験談を1人1つずつ話して蝋燭を消していくと言うものである。


まず昌景が…「これは女中から聞いた話であるが…夜な夜な台所に物音がするので覗くと妖怪が現れ食べ物を貪るのだが人の気配を感じると煙のように消えてしまうようじゃ…」フッと蝋燭を消す…


葵は背中に冷たいものが伝うのを感じていた…


真田昌幸が次は某が!「夜な夜な森の方に人影が現れて森の中に姿を消すのを村人達が見ております。あれは妖だ!」フッと蝋燭を消す…


葵はさらに背中に汗をかいた…


信春が次は某がと話し出す。「夜な夜な蔵に妖怪が現れ水飴をペロペロ舐めているらしく1人は顔はわからぬが化け狸を引き連れているようである」

フッと蝋燭を消す…


葵と網丸は汗をダラダラかいている…


次は信綱が話し出す。「勝頼様の身辺を警備しているのだが時々勝頼様が寝ている時に背中にしがみつく人影が見える時がある…あれは妖怪子泣き爺ではないか?」フッと蝋燭を消す…


勝頼は思った…「確かにたまに寝ている時に背中に温もりを感じる事がある!?まさかな…」


葵は顔を横に背けている…


次は私がと千代女が話し出す。「甲斐にいたころたまに虎に襲われる夢をみて眼が覚めるとピーなのです…」


勝頼と昌景、信春は苦笑いする…多分あの虎だと…


最後に葵が琵琶を演奏しながら話し出す…「あれは私が大好きなおはぎを朝早く起きて5つ作り3つまで食べて残りの2つをおやつにとっておいた時のこと…2つあった筈のおはぎが一つに減っていたのです…それでも残り一つがあるのでどうにか自分とお腹を落ち着かせ冷静になろうとしていたのですが…最後の一個が消えていたのです!」


網丸と千代女が汗をダラダラかいている…


葵は琵琶を弾きながら目をかっ!と見開き「奪われし食い物の恨み…忘れたわけではあるまいな……!?」


あまりの迫力に網丸はキャイーンと鳴き、千代女は数滴漏らした…他の参加者達も腰を抜かしそうになっている。


あまりの恐ろしさと迫力には平家物語の琵琶法師も真っ青だ!


「あ、葵の優勝だ!このククリを授ける!」


こうして百物語はお開きとなったのだがこの日の恐ろしさは末代まで語り継がれることになる!


その葵はといえば色々見られてるのはまずいからもっとバレないようにしようと心に誓うのであった…



葵は夜な夜な勝頼の布団に忍び込み一緒に寝てるのでした。男としてこれが嫌な人はいないと思います。可愛いと思ってしまいます。


読者様のご意見大変参考になることがございます。ありがとうございます。

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