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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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蝦夷独立!

勝頼は資源が多く広大な土地のある蝦夷にかねてから目をつけていました。

北上を続ける武田、上杉連合艦隊は目的地の沖合に敵に見つからぬように停泊中であった。


今回の目的は蝦夷制圧である。その足掛かりとして徳山館の蠣崎季広を攻めることであった。


蝦夷地は冬が雪に包まれる為、夏に攻める必要があったのだ。


蝦夷地はまだ稲の品種改良が進んでいない為、石高はゼロであった。


勝頼は令和の知識で越後で上杉政虎と共に寒さに強い稲の研究を進めているが実用にはまだ2、3年かかりそうだ。


石高がゼロの為、アイヌなどとの交易により何とか暮らせているが、最近までそのアイヌとも敵対関係にあった為、彼等は貧しい。


戦は海上より旗艦信濃と3番艦越後の12ポンド砲を徳山館に打ち込めばそれで終わるのだが、なるべく建物は無傷で抑えねば冬を越す事が難しくなる為、その作戦は取らなかった。


そして明智光秀と宇佐美定満は夜陰に紛れて函館に上陸した。


そして海岸線に沿って牽引してきた筏を使って横に一直線に馬防柵を設置する。


そして夜が明けるまで兵を休めるのであった。


朝になり驚いたのは徳山館の蠣崎季広である。海岸線に見たことのない巨船を含めた船団と海岸沿いに馬防柵を設置して陣をはる2色の毘の旗と水色桔梗と三瓶子の旗が揺らめいているのである。


「見たことのない旗印だが一体どこの者達だ?」


しかしそれに答えられる者は誰1人としていなかった。


蠣崎季広は直ぐに集められる歩兵1000名と騎馬隊300騎弓隊300名を率いて海岸線に向かった。


確かに巨船は、恐ろしさを感じるが目の前の敵の陣形を見て胸を撫で下ろす。


「海岸線に陣をはり軍を横に展開するとは敵は戦さの仕方を知らないのか?」


蠣崎季広は数騎を連れ前に出て行く。


「儂はこの地の領主、蠣崎季広だ!貴殿らは何者だ?答えによっては生きて帰れぬと心得よ!」


「武田勝頼が配下の明智光秀なり」


「同じく上杉政虎配下の宇佐美定満である」


「なんだと!?琵琶島城のあの宇佐美か?」


「いかにも!」


明智光秀は知らないが武田勝頼の名前は聞いた事がある。なんでも神童や麒麟児などと呼ばれている男だ。宇佐美定満は上杉家の重臣である。


「その武田と上杉がこの地に何用だ?」


「この地を豊かにしに来た!大人しく降伏すれば本領安堵を約束する」


「そんなことをしたら安東家が黙ってないぞ?」


「安東水軍は全滅させてきた。だから安東家はここには来られないと知れ」


明智光秀はニヤリと笑い拿捕した半壊した安東水軍の旗艦の安宅船を指差す。


確かに見覚えがある。あれは安東水軍の旗艦だ。まさか此奴らの言っている事は本当なのか?しかしにわかに信じられない…いや信じたくは無かった。


とにかく一戦も交えずに降伏など武士としてのプライドが許さなかったのと目の前の敵の陣形を見て到底負ける気はしなかった。


「戯けたことを!叩き潰してくれる!」


「仕方ありませんなぁ。仏罰が当たりますぞ!我等の主は毘沙門天の化身にて!」


「弓隊前に一斉に打ちかけよ!」


しかし武田、上杉連合軍はそれを竹の盾で歩兵が全てそれを防ぐ。


「ぐぬぬね、おのれ!小癪な真似を!騎馬隊突撃!」


敵の動きを見ながら明智光秀が指示を出す。


「鉄砲隊前に!まだだ!まだ撃つな!ギリギリまで引きつけるのだ!」


ワーと騎馬隊が突撃してくる。


「あのような柵、踏み倒せ!」


「今だ!撃てい!」


落雷の様な轟音と共に約300丁の鉄砲が火を噴く!


間髪を入れず第2射、第3射が火を噴く!そう明智光秀の鉄砲隊がとった戦法は三段撃ちである。


一瞬のうちに騎馬隊は全滅、歩兵も死傷者を出し完全に戦意を喪失している。


追い討ちをかけるように上杉勢が柵からうって出た為敵は大混乱に陥り我先と逃げている。


蠣崎季広は馬に乗り撤退しようとしたが馬が先程の轟音で混乱している為動けない。


「今だ!捕らえろ!」


宇佐美定満の指示で蠣崎季広は捕らわれた。


「殺せ!生き恥は晒さぬ!」


明智光秀と宇佐美定満は蠣崎季広の縄を解き武田勝頼が考えていること、この地を豊かにするつもりのことを自分が聞いた限りを全て話して協力を求めた。


蠣崎季広はまさかと思ったが、目の前の船団と今の戦いを身を持って体験している為、彼等の言っている事は本当かもしれぬ。しかも我が先祖も武田氏で同族に当たる。もしそれで蝦夷地の生活が豊かになるのであるのならと、武田勝頼に降ることを受け入れた。


明智光秀達にしてみても蝦夷地やアイヌに詳しい蠣崎季広はどうしても味方にしたかった為、ほっと胸を撫で下ろした。


勝頼の真の目的はまだ完全に日本国になっていない蝦夷における独立国家の樹立であった。日本国はあくまで天皇が中心であり幕府として武家が治めることに異論は無いが色々と制約がある為、海外への進出も考えている勝頼は日本国と別の帝国連邦を作り世界統一を目指して戦争のない未来を創るのが夢なのである。


まずはそこに足掛かりを作ったのである。


日本国内の領土と蝦夷は別扱いになる為、蝦夷駐屯軍は国内の争いには参加せず函館の守りだけを固め別行動をとる事になる。総責任者は明智光秀、その補佐が宇佐美定満である。


旗艦信濃と3番艦越後は直江津に向け帰還したが他の船は全て蝦夷に配備された。


アイヌは、なるべく友好的に自国に取り込んでいくようにとの指示だった為、武力制圧はなるべく避け交渉を重ねて行くことになる。





蝦夷駐屯軍は蝦夷全体の開発、整備をして行くこととなります。

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