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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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その頃の海津城

今回は間話として海津城での出来事を書き次話で連合艦隊についての続きを書きます。

連合艦隊が北上して安東水軍を壊滅させていた頃、勝頼の元に堺から助五郎がやってきていた。


助五郎は堺でも有数の大商人で通常なら主人である助五郎本人が信濃まで来ることは、もはやありえないことであったが、以前からの勝頼との付き合いと勝頼の能力を天下をとる人物だと買っていること、何より勝頼の考えた商品や作った品は莫大な利益を生み出していた為、他の大大名には番頭やその他の人物に行かせているが勝頼だけは別格であった。


助五郎が海津城下と富山城下に出している天王寺屋の支店ではあらゆる物が手に入るのと、勝頼からの品を仕入れるのにお互いに最高の関係を築いている。


こうして助五郎本人がやってくるのは勝頼が特別に頼んだ品を持ってくる際か、勝頼が新商品を開発した時である。


助五郎には上杉家との仲を話してあり直江津港を使用できるように手配してあるので比較的早く来られるようになったのだ。


今回頼んでおいた商品の受け渡しとその後の話をした後に助五郎が茶を振る舞ってくれるらしい。


なんでもその際に会わせたい人物がいるのだとか。


そして今回勝頼が助五郎に頼んだのは詳しい図や自生してる場所をサーチアイにより探し出して南蛮より持って来させた除虫菊である。


除虫菊とはシロバナムシヨケギクのことでありピレスロイドを含む植物であり現在のセルビアで発見された殺虫剤の原料である。


勝頼がこれを使って作るのはあの夏の最強アイテム蚊取線香と竹を使って作った噴霧器から射出する殺虫剤である。噴霧器は水鉄砲の様になってしまう為水が出る口を特別に加工して使用できるようにしてみた。


この殺虫剤は改良が必要であったが、蚊取線香に関しては日本国だけでなく世界中で大ヒットすることになり勝頼は生産が追いつかず嬉しい悲鳴をあげると共に日本国の海外への代表的な輸出品となりもう新製品はいらないのではないのかという程の財力を得ることになる。勿論つくり方や原料は門外不出なので信頼できる風魔衆や真田忍軍、甲賀衆などを中心に生産させることになる。今は北上している艦隊がその地を押さえればセルビアで自生している位なので大量生産できるだろう。


財力は世界を支配すると勝頼はほくそ笑むのであった。情報や知識は金に結びつく。勝頼はその二つを誰よりも持っていた。


助五郎もこれにより日本でもはや敵はいないほどの大商人として日本の経済を支える今で言う大財閥になるのであった。


今回その他南蛮から植物の苗や種、実物も多数頼んでおいた為、それを口実に葵と千代女に新作の料理を考えたので2人に試食してもらい意見を聞きたい。その為松代温泉に新たに建てた家臣達専用の療養所にて2人に1番に振る舞いたいので千代女には鮎など川魚を用意して欲しい、葵には雉や鴨、鶉でも良いので野鳥を捉えてきてほしい。と頼んでおいた。そして真田昌幸に配下の者を使い極上の蕎麦を用意しとくようにと頼んでおいた。


その為、千代女と葵はお互い負けてなるものかと配下の者を引き連れ朝から山に入っている。


勝頼は海津城の茶室で助五郎と助五郎が連れてきた50歳前後とみられる人物と向き合っていた。


勝頼はにこにこしているがその笑顔の中にある笑っていない目の前の人物にぞっとした。油断ならない人物と言うことはわかる。勝頼の本能が感じるのは妖怪のそれである!


勝頼の全身をにこにこしながらも舐め回すように見てくる。どうやら品定めしているようにも感じられる。


勝頼は背中に冷たいものを感じながらも覇気を放ち威厳のある声で言葉をはなつ。


「武田四郎勝頼です。本日は如何なる御用でしょうか?」


その人物は舐め回す様に勝頼を見た後、これだけの見事な城と城下町を持ち、これだけの様々な品を考案し、財を成している人物が自分の様な素性の知れない人物と会い、しかも丁寧に話す事に驚いた。まだ若いがその眼光や身体より放つ気は只者ではないと思っていたのだが。思った以上の人物の様だと思った。


これだけのものがあれば人は誰しも傲慢になり自分を失ってしまいがちなものだがこの若造は違うとその男は思った。


「某三好長慶が家臣松永久秀と申す者。この助五郎とは懇意にしておりまして勝頼様が日頃考案した品を愛用しておりましてな。一目お会いしたいと助五郎に無理を言ってと頼みましたのじゃ」


勝頼は絶句した…目の前にいる人物があの戦国の梟雄松永久秀だと!?妖怪に見える訳だ。


「天下人と言われる三好長慶様の右腕として名高い松永殿とこれは驚きました。貴殿程の大物がまさかこんな信濃の片田舎に参られるとは恐れ多いことです」


「ほう某をご存知で!?」


「失礼を承知で話させてもらいますが世間では松永殿の事を悪く言う輩もいるようですが、心から三好長慶様の為に尽くす忠臣で茶人で文化人である松永殿を知らぬ訳がございましょうに」


松永久秀は驚いた。久秀は三好長慶が誰よりも好きだった。そして誰よりも命をかけて仕えてきた。しかし、家中の妬みや嫉妬により悪い噂を流されいつも悪者に仕立て上げられてきた。しかしそれでも久秀は良かった。長慶だけが自分を信じてくれれば…しかし目の前の若者は自分の本質を見抜き自分のことを評価してくれている。自分の名前を聞けばあからさまに嫌な顔をされるか怯えられるか、迷惑そうにされるかでしかなかった久秀の目から自然と一筋の涙が流れた。


「いかがされました!松永殿?」


「何、小虫が目にはいりましてな。お気になされぬよう」


茶会が終わり松永久秀は思った…この若者、気に入ったと!


鬼の目にも涙とはこのことだが、自身の本質を見抜き分け隔てなく接してくれたのは三好長慶以外に初めてであった。松永久秀にとって勝頼と過ごす時間は何とも清々しく心地よかった。


その夜、葵、千代女が別室で先に食べた勝頼の新作料理が、療養所の広間に集められた家臣団にも振舞われていた。


勝頼が作ったのは今が旬の淡水魚の唐揚げと、蕎麦に野鳥の肉が入ったカレー南蛮蕎麦である。


唐揚げも美味すぎるがカレー南蛮の材料が揃ってそれを始めて食した葵と千代女はあまりの美味さに失神しそうになった。


カレーは病みつきと言う名の依存率が高い常習性がある食べ物になるのはこの時代では仕方のないことだった。


葵は美味い美味すぎるよ!勝頼様大好きだと悶えるのであった。


男でも女でも相手の胃袋を掴むのは1番大切なのは今も戦国も同じである。


松永久秀と助五郎と言う勝頼のカレーの中毒者が生まれてしまった瞬間であったのを勝頼は気付いていなかった。


美味いは正義です。



シリアスな話ばかりだと疲れてしまうので緩い話も入れるのが自分流です。

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