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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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八咫烏

戦国時代は破傷風や風邪をこじらしての肺炎などで命を落とすことが多かったようです。もちろん衛生面や栄養面も関係していたと思います。勝頼は人生五十年を変える為に行動を起こします。

勝頼は戦国の世の中で医療や衛生面が現代に比べて劣っている事に関してあることを考えていた。


消毒用アルコールはイモ焼酎の度数を上げて対応しようと思っていたが抗生物質の必要性を感じていたのだ。


勝頼による食生活の改善により勝頼の家臣団の寿命は上がっているが、この時代では風邪も命取りになる。


「青カビからペニシリンを作るか…」


勝頼は葵を呼ぶと畳が浮き上がり下から葵が現れた。全くなんて所から出てくるんだ…一体自分の屋敷の地下はどうなっているんだと勝頼は思った。


「葵、風魔の若い衆で医学や薬に詳しい者はいないか?」


「それならば風魔の里に一つ歳下の弟の茂作がいますよ。」


風魔の里か…少し遠いと思ったがあれを試す機会だなと勝頼は思った。


「葵の配下の動物部隊は優秀だ。今回は風魔の里への伝令を動物部隊に頼もうと思う。特に優秀なあいつにな!」


次の瞬間葵が出てきた穴から二つの目がピカーンと光りジョジョ立ちをした網丸が現れる!いつもおっさんのようなだらけた顔をしてるが目がキラキラ輝き背中に風呂敷を背負うパフォーマンスまで見せている。


勝頼は苦笑いを浮かべながら…


「すまんが網丸、今回はお前ではなくて黒べえに頼もうと思っている」


がーんと網丸はトボトボ穴に戻るが勝頼が「竹輪やるからそう拗ねるな」と言うと機嫌が直ったようだ。


「私も竹輪が欲しい!」


葵がお腹をさすりながら叫ぶ!やれやれお前もかと思ったが勝頼はわかったわかったと竹輪を用意するのであった。


「葵、すまないが黒べえを呼んでくれ」


庭に歩きながら勝頼が言うと葵はあからさまに嫌そうな顔をしている。黒べえは葵が育てた鴉で突然変異で産まれながらに足が3本ある。しかも利口で流暢に人の言葉を話すのだ。


勝頼はその姿と頭の良さから八咫烏だと思っている。


葵はしかたなく渋々と黒べえを笛を鳴らし呼ぶ。


すると上空から黒い影が現れアホーと葵の頭に糞を落とすと近くの木にとまる。


「だから嫌だったんだ」


葵は顔を真っ赤にしてプンスカプンスカ怒っている。


黒べえは頭が良いだけに人間の言葉を理解しているので名前をつけてもらう際に黒神とか黒風とかなんか格好の良い名前を期待していたのだが葵のネーミングセンスで黒べえにされてしまった為酷く落胆し今でも根に持っているのだ。意外と執念深いタイプの性格らしい。


「黒べえ、風魔の里まで飛び茂作を呼んできて欲しい」


鴉は仲間同士で情報の共有ができる為、道に迷う心配はないと思うがこれはそれを確かめる実験であった。


数日後、風魔の里の上空に八咫烏が現れる。


「カーカー茂作!茂作!葵が呼んでる!すぐ来い!」


畑を耕していた葵よりやや大柄な男がそれを聞いてボソリと答える。


「かしこまりました姉上・・!」


数日後、風魔の里から茂作が到着し勝頼の前で平伏していた。


「遠路ご苦労であった。其方に頼みたいことがある。」


勝頼はペニシリンについて説明し、製造方法を伝える。これからは医療も今まで以上に力を入れていくつもりだ。指示は勝頼が出すのでそれを実行する責任者となって欲しいと伝えると茂作は…


「某が責任者…ハハーッ!全力で勝頼様の為に尽くさせていただきます!」


普通なら年齢的にあり得ない抜擢だが勝頼は能力主義であり年齢など関係なかった。


勝頼は茂作にその為の屋敷と研究設備を与えた。


「金に糸目はつけぬので必要な人材は好きに集めるが良い!頼んだぞ!」


「ハハー!」


勝頼は満足そうに頷くと心の中でもこう思った。しかしあまり似ていない兄弟だな。性格もだが何かこう葵の方が女子のようで可愛い気がする。


それはその筈だ!勝頼が勝手に男と思い込んでいるだけで葵は女子なのだから。色々と後で責任を取らされることになるのを勝頼はまだ知らなかった。


黒べえには褒美に新鮮な鹿のレバーを与えた。これにはかなり気に入ったようで、黒べえはもっと働くからもっとくれと叫ぶ。


勝頼はニヤリと口元を吊り上げて黒べえに話しかける。


「ならばもう一つ頼みたいことがある。ある人物をここに連れてきて欲しい…お前がこう叫べば必ずその者はここについてくる」


「我は八咫烏なり!運命だ!付いて来い!」とな。フフフフフ…


勝頼は段蔵を呼び指令をだす。


「悪いが黒べえと紀州まで行ってある男をここに連れてきて欲しい。」


「成る程、八咫烏鴉ですな。ということは雑賀党の雑賀孫市ですかな?」


流石は段蔵だ、よくわかっている。傭兵集団である雑賀党の雑賀孫市は鉄砲の名手だ。そして旗印は八咫烏。そう八咫烏を崇拝しているのだ。黒べえの言葉を聞いたら神のお告げだと信じて疑わないだろう。歳もまだ二十代と若く勝頼の目指す世界を作るには不可欠な人物だ。黒べえと段蔵の幻術があれば失敗する事はないだろう。


勝頼は段蔵と細かい相談をした後越後にいる武田海軍に連絡をして出航準備をさせるのであった。

八咫烏は神聖なる鳥として紀州の傭兵集団雑賀党の旗印として有名ですね。そして勝頼は鈍感な為気づいていませんが遂に葵が女子だと判明することとなりました。

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