新年の宴
玉川大盛軒と言うラーメンの名店がありましてそこのラーメンは絶品であり辛味噌ラーメンが美味すぎます。無加水卵練りこみ自家製麺が特徴でパツンパツンという歯ごたえが特徴的であり噛めば噛むほど旨味がでる。一回行くだけでなく通うことでボディーブローのようにじわじわハマる名店です。
風魔小太郎一行も海津城に到着した為、主だった者を集めて勝頼は新年の宴を催すこととなった。
風魔小太郎は葵達より噂には聞いていたが海津城の天守閣と街並みに小田原にも引けを取らぬ見事な物だと驚きを隠せなかった。
集まったのは主だった重臣で山県昌景を筆頭に馬場信春、内藤昌豊、上泉信綱、明智光秀、真田源五郎、加藤段蔵の面々に越後から長尾景虎、直江景綱、それに景虎が連れてた日焼けした公家らしくない公家といつかの謎の剣術家だった。
公家は訳あって名をあかせぬとの事だが逞しい外見上地方に流れた貧乏公家か何かだろうと思った。例の剣術家はその公家の親族にあたるとかで護衛との事だったのでそれ以上は聞かなかったがやはり只者ではないだろう。
どうやって越後まで来たのかと言うことだが、景虎に譲ったブラックパール号型3番艦越後のおかげで自由に上方と行き来をしているらしい。
あれの機動力は同じ時代の船でもトップクラスだろうからな。
そして風魔小太郎一行なのだが…此方にも日焼けしたガタイの良い男が1人混じっているのだが…まさかな?
そして勝頼より少し歳が下か位の少年を連れていて千代丸というそうだ。
どうやら勝頼の噂を聞いて是非勝頼の小姓にして欲しいとの事でわざわざやって来たらしいので断る訳にも行かず千代丸を小姓にする事となった。
宴に入る前に別室で風魔小太郎が勝頼に伝えたい事があると言う。なんでも今川が戦準備を始めていて今年か来年あたりに尾張に攻め込む動きを見せているらしい。
勝頼は成る程、桶狭間か?と思ってしまった…
しかし不可解なのは、北条にも援軍を頼んだらしく、北条氏政を援軍の総大将に指名してきており、北条は後方からの従軍で危険もないと判断してその話を受けて2000の兵を出すらしい。
史実と何か違う気がしたがそもそも勝頼が歴史を変えてしまっているので仕方ないかと思った。
しかしこんな重要な機密を話してしまって良いのかと尋ねると武田とは同盟国であり北条氏康も勝頼の事を買っている為話しても問題ないとの事だ。
北条氏康には葵達が勝頼に仕えている事を話して了解を得ているらしい。
北条か…色々複雑だが勝頼が風魔衆を引き抜いた負い目があるのと歴史的に嫌いなのは北条氏政でありむしろ北条氏康は名君だと思っていた為、小太郎が葵達が勝頼に仕えている事を話したのは仕方ないのとは思ったのだが北条は景虎と仲が悪いのでどうしたものかと思ってしまう。
小太郎にその事を話すとそれは北条と長尾の問題であるので勝頼は気にしなくて良いとの事だった。
宴が始まった際に、まずは湯葉に醤油をかけて山葵を添えたものを出すと皆その美味さにため息をついた。武将クラス以外の者達にも同じ物を出している。
酒は清酒にいも焼酎、ワインをそれぞれ出したのだが初めて飲む者達はその美しさとあまりの美味さに虜になってしまった。
これは勝頼の狙い通りである。
そして刺身に醤油と山葵を添えた物が出てくると口の中でマリアージュして溶けるその美味さにおかわりをねだる者まで出るくらいであった。
驚くのはまだ早い!勝頼はこの日のために最高のメインディッシュを用意していたのだ!
そう、それはラーメンだ!無加水卵練りこみ自家製麺の名店を前世で知っていた為、それならば今ある材料で美味いラーメンが作れると考え麺を作り、鶏ガラスープに魚介と味噌を合わせた味噌ラーメンに煮卵とバター、猪の肉で作ったチャーシューと葱を乗せた物だが極上の逸品に仕上がった。
皆に振る舞った所あまりの美味さに感動して涙を流す者までいた。
葵も勿論涙を流していた。美味い!美味すぎると!
そんな楽しい宴の中で、景虎、謎の公家、謎の剣術家、小太郎の連れてきた男はそれぞれが思うところがありそれぞれ酒を飲んでも目は笑っていなかったが共通する事は皆が勝頼を認め一目も二目も置くのであった…
料理でのもてなしは国賓を迎える時もそうですが、料理や酒によって相手の力量が出るものです。チートな勝頼のもてなしはさぞ響いたと思います。