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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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海津城帰還

今回は前回の視点とは別に海津城に帰ってきた勝頼の視点です。

海津城に戻った勝頼は風魔衆に屋敷を与えることにしたが、現在与えられる大きな屋敷はなかった為、急いで武家屋敷の中に建造を命じ、暫くは仮住まいの普通の屋敷と入りきらない分は長屋に寝泊まりさせることにした。


葵と網丸は風呂敷を背中に抱えて仮の風魔屋敷に入って行こうとするが勝頼が手まねきする。


「まて葵!お前達はそっちではない!」


ガーン!葵と網丸は長屋行きだと思って涙目になっている…


それを察した勝頼は説明する。


「違う!そうではない!長屋ではない!お前達はもっと彼方だ!」


勝頼が城の方角を指差した為、葵と網丸は風呂敷を背負ったままパーっと顔を輝かす。


勝頼は城下町を案内しながら葵と網丸を連れて城の方に歩いていく。


風呂敷を背負うその姿はまさに現在でいう田舎から都会に上京したあれだ…だがそこが良い!


城に向かう途中、団子屋から美味そうな匂いがしてくる…葵と網丸は無意識にヨダレを垂らし、勝頼が団子屋を通り過ぎようとすると後ろ髪引かれるように名残惜しそうに何度も背後を振り向きお腹をさすっている…


それを見た勝頼はふぅと溜め息を吐くと…


「そういえば小腹が空いたな。案内の途中すまんが、ちとそこの団子屋で休憩してかんか?」


それを聞くとパァァァと顔を輝かせ葵と網丸は何度もこくこくと頷く…


やれやれと勝頼は思いながらも嬉しそうに団子を頬張る葵と網丸をみて微笑むのだった。


勝頼は葵といると何故か戦国の世でギスギスした生きるか死ぬかの空気や日頃のストレスから解放されて心地よかった。


土産の団子を笹に包んで貰って大事そうにもつ葵と網丸を連れて勝頼は城までたどり着いた。


立派な天守閣の海津城は規模こそ小田原城に負けているがこんな豪華な城を葵は見たことが無かった。


こっちだと吊り橋を渡り勝頼は堀を渡っていく。


外堀が城下町を囲い、内堀は二重となっており橋は最初は普通の橋だったが、現在は城の防御の為に吊り橋に改造してあった。


一つ目の内堀を渡ると勝頼の動物達が放されており、その動物達の小屋や管理する小屋がある。勝頼はそこを葵と網丸に案内したので、葵はその小屋をみて「ここが我が家か?まあこれだけ城の近くに住めるのなら悪くないか」と荷物を降ろすが、それをみた勝頼が何をしてると言う目で見てる…


「葵!そこは犬小屋だ!」


葵はえっ!?と驚き荷物を持ち上げるが網丸は犬なのでそこに住む気でいた。


「網丸もこっちだ!葵と離すなんて無粋なことはせぬよ」


勝頼は微笑む。網丸は驚いてぽかんとしている。


そして勝頼は最後の内堀を超え城内にある自分の屋敷まで葵と網丸を連れてくる。


葵と網丸は口をパクパクさせながらも屋根裏か軒下が自分達の部屋になると思っていた。


しかし勝頼は屋敷内の良い部屋に葵と網丸を案内して…


「今日からここがお前達の部屋だ!自由に使うが良い!」


広くて綺麗な部屋な上、ふかふかの布団もある!?しかも城主の勝頼の屋敷の一室だ!葵はとまどいながら勝頼をみて何故自分達にここまで良くしてくれるのかを訊ねる。


忍びの風魔衆にとって城下に屋敷を与えられるだけでも破壊の待遇なのに、城主の屋敷に部屋を与えられるなど聞いたことがない!葵でなくても驚くのは当たり前だ?


「不満か?」


不満などあるわけがない…フルフルと慌てて葵と網丸は首をふる。


「旅の途中いつも横で寝ていたではないか。しかも葵は風魔衆を束ねる者。だったら護衛は近くにいた方が良いし私が葵を大切に思っていると言う理由では駄目かな?」


葵と網丸は感激のあまりダーっと滝のような涙を流す…


そんな葵と網丸を優しく撫でながら勝頼はこれからも私の為に宜しく頼むぞと呟く。


葵は嬉し涙を流しながらも決意する…この人にずっとついていこうと…




海津城が攻められるとは思っていませんが日々より良い城になるように改修しています。勿論富山城もです。そしてそろそろ越後で建設中の船が完成します。

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