謎の武芸者
富山城の整備を行います。長尾家は魚津城を越中国での拠点にするようです。
別働隊についての報告では、景虎率いる越後勢は蘆名勢を散々に蹴散らし敵に千以上の死者を出させたらしい。
なんでも景虎自ら先頭に立って散々に蹴散らし名のある武将も討ち取られたとか?
怒れる龍の逆鱗に触れたら恐ろしいという事は痛い程わかったであろう。蘆名は指揮官クラスの将兵も多数失ったので数年は積極的軍事行動は出来なそうだ。
勝頼は今後少し時間がかかるが、富山城を現在の規模に近い規模に改修することを目指すとともに海津城にある製鉄や軍需施設など主要な設備を富山城へ移す事にした。
勝頼が将来的に考えている計画をもし実行した際には海津城は返還しなければならない可能性が高いからだ。
また、兵も農民兵以外の俺が金で雇った常備兵数千を少しずつ富山城へ移す事にした。
海津城には食糧的内政施設と従来の火縄銃生産拠点や牧場を残し、軍事面より内政面に力を入れるようにしようと思う。
この時代も金と食糧はどれだけあっても困ることはない。
富山城にも、同様の食糧内政施設を作らせるが、同時に港の整備を実施しようと思う。
造船は最初の計画通り、越後の現代でいう直江津港あたりで行おうと思っている。信濃から木材を輸送するのに越中より交通の便が良いからだ。
富山城にて武者修行中の旅の剣術家が、勝頼の噂を聞きつけて謁見したいとのことであったので、勝頼は頭巾を被り会うことにした。
相当有名な剣術家なのか?家臣達は覇気に当てられて冷や汗を流す者もでた。
名を菊童斎と名乗るこの男は俺より9歳程、歳が上ぐらいで若く見えるが?
勝頼は毘沙門天による覇気を発してみた。
周りの者達は意識を失ったり、腰砕けになったりしているがこの男は動じず、鷹のような眼で逆にこちらに覇気を飛ばしている。
本当に何者だ?と勝頼は思った。
ただ覇気を放った手前俺は非礼を詫び、越中での出来事についてなどについて話したりしていた。
菊童斎の方も、何者だ?頭巾に隠れて顔は見えないが声は若い…しかしあの覇気は本物で、自分でなければ気を失うのも無理のない凄まじさだと思っている。
しかも背後には確かに毘沙門天が見えた。
日の本の情勢や日の本の未来についても言葉を交わしたが、どれにおいても聡明でありこの男が望めば天下を取れるのではないか?とまで思った。
しかし大崎玄蕃か?大崎の家にあのような者が居たであろうか?
試しに天下を狙う気はあるのかと聞いてみたが、家を継げる立場にないので、名乗る家や立場がありませんと寂しそうに笑っておったが…
惜しいな…しかし名乗る家や立場があれば天下を狙えるとも受け取れる。
大崎玄蕃か…覚えておこう。
さて次は本来の目的地である海津城へ向かうと致すか…
そして会談の後、俺は幸隆を連れて山に入り猪を仕留めた。すぐその場で血抜きをして部下に解体させる。そして必要な部位や後で使える部位を持ち城に戻る。
「ハンバーグ!ハンバーグ!今日の夕飯はハンバーグ!」
俺は鼻歌を歌いながら自ら調理をするが、周りの者はポカンとしていたのには苦笑いだ。
肉を叩いて山芋をつなぎにしたシンプルなハンバーグだがこの日の夕食でそれを食べた幸隆や直江景綱などは目を見開き美味い!美味いとお代わりをして頬張っていた。
いつの時代もハンバーグは正義なのだ!しかし玉ねぎとパン粉をなんとかしなくてはな…
ハンバーグは正義なのです。鼻歌に出てしまうほど美味しいのです。