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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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越後勢現る!

誤字脱字は気付き次第修正させていただいてます。

勝頼は海津城の天守閣から景虎と景色を眺めていた。海津城下が、大勢の人々の往来で栄えているのが一目でわかる。


「私はここから眺める民達の活気と笑顔が好きなのです。改めて海津城下はいかがですか?」


「素晴らしい町だと思います。短期間でここまでの発展を遂げた町は、私も今まで見たことがありません」


「お褒めにあずかりありがとうございます」


勝頼は嬉しそうな顔をした後、少し寂しそうな顔をする。


何か不満でもあるのかと景虎は首を傾げた。


その時遠くから早馬が駆けてくるのが見えた。


広間に戻ると昌景と幸隆もすでに座っていた。


「勝頼様、国境警備の者より急ぎの報告があるとのことです」


「通せ」


「ご報告致します。越後との国境に軍勢が集まっている様子」


勝頼と景虎はお互いの顔を見合い頷く。


「勝頼、彼等が用があるのは私です。私がそこまで参りましょう」


「景虎、それには及びません。昌景!」


「ハッ」


「軍勢を率いて国境まで赴き客人をこちらにお連れしろ。ただし代表者、二名までとする」


「かしこまりました」


昌景は直ぐに赤備えの騎馬隊1000騎を引き連れ国境に向かった。


国境には越後勢が集まっていた。景虎の出奔の報せを受けた彼等重臣たちは急ぎ後を追ったが、景虎の行方は知れず焦っていたところに、軒猿からの報告でどうやら信濃に向かったらしいとわかったのだが、敵国である以上むやみに踏み入る事は出来ないでいた。


ある者は、「今すぐ全軍で追いかけるべし!」


ある者は、「待て、まだ本当に殿が信濃に向かったとは限らん。下手に動けば戦になるぞ」


と慎重な意見を述べる。兵数こそ3000程であるが、そこには長尾家の重臣の殆どが集結していた。


すると前方より赤に装備を統一された騎馬隊が近づいてくる。


越後勢に緊張が走る…あれは武田最強の赤備え…


すると騎馬隊の中より大将らしき男が前に出てくる。


「我が名は武田勝頼が筆頭家老、山県三郎兵衛昌景なり!越後の方々とお見受け致す!代表の者と話がしたい」


越後勢の中より代表者らしき人物が前に出て叫ぶ。


「某は、越後坂戸城主で上田衆筆頭長尾政景と申す!此方に争う気はござらん!此方も話し合いがしたい」


二名は騎馬にて兵達の中央に走り出て向かい合う。


「さて、まずはそれ程の兵を引き連れ信濃との国境に集まった理由をお聞かせ頂きたいものですな?」


「そ…それは」


長尾政景はバツの悪そうな顔をしていたが、意を決して話し出す。


「我ら人を探しておりまして…見つかり次第直ぐに引き上げもうす。だから此度のことはどうか目をつぶっていただけないであろうか?」


「ほう…それにしては随分と物々しいことですな?重臣の方々も多数いらっしゃるようだが?」


「むう…それは此方にも色々事情がありまして」


政景は昌景の質問に冷や汗を流している。


すると山県昌景は笑いだした。


「ワッハッハ、すまんすまん。こうでも言わぬとそちらも我が主の言葉を信じぬと思うてな。そちらの事情は存じておる」


長尾政景は目を見開き驚いたが直ぐに鋭い眼になり聞き直す。


「存じておると申しますと?」


「そちらの大切な方は、我が主君の海津城で丁重に客人として扱わせて頂いている」


「な…なんと!それでは?」


「我が主君勝頼の命により、そなたらが集まってるようなので海津城までお連れしろとのことだ。ただし代表者二名のみに限るとのこと。あとは此方の指示に従って貰うが宜しいですかな?」


主君が敵方の城にいる可能性が高いとなれば、たとえ罠だとしても従う以外の選択肢はなかった。


「あいわかった。暫し話し合う時間をいただけるか?」


「ならば我らはここで待機するうえ代表者を決めてこられるが良い」


「かたじけない」


長尾政景は自軍に戻ると事情を説明して、もう一名の武将を連れて戻ってきた。


「お待たせ申した山県殿、こちらからは某とここにおる直江殿で同行させていただく」


「某、宿老の直江景綱と申す。此度は宜しくお頼み申す」


「これはこれは噂に名高い直江殿でござるか。某、山県三郎兵衛昌景と申す。海津城までは我らが護衛するゆえ、安心してついて参られよ」


そして昌景は長尾政景と直江景綱を護衛しながら海津城へ向かったのだった。


昌景と政景の遭遇です。次回は海津城内での話になります。この回から主人公の呼び方は四郎から勝頼に統一させて頂きます。

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