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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第2章海津城編
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運命の赤い糸

主人公が上杉謙信のファンでスキル毘沙門天を持っている。皆さま運命の赤い糸って信じますか?

ここは海津城内の一室、勝頼は気を失っている景虎を優しい眼差しで見守っていた。


「しかし美しいな」


美人で美しいだけでなく、雪のように白い肌に思わず俺は手を伸ばして頬を触ってしまう。


俺が悪いんではない。景虎の肌が綺麗すぎるから無意識に手が伸びてしまったのだ。


男子たるもの白く美しくスベスベな肌が嫌いな奴はいないだろう。


俺だけじゃないよな?


個人的には、転生前に白い肌でほっぺの可愛い女子の頬をみると、ついギュッと掴みたくなってしまう白い肌とほっぺ好きなのは関係ないはず…


「うう…私はいったい?」


景虎が目を覚ましたので俺は急いで手を引っ込める。


「ここは海津城内です景虎様」


「其方はいったい!?」


「名乗るのが遅くなりました。私は武田晴信の四男にて海津城主であります、武田四郎勝頼にございます」


「毘沙門天を見た時にまさかと思いましたが、其方があの麒麟児として近隣に名を馳せている武田の若君でしたか…」


「勝頼殿、其方が私をここへ?」


「ええ、ご無礼かと思いましたが急に倒れられたので此方にお連れ致しました」


「そうですか…まずは礼を言います」


「先程…その…私の事を慕っていると言ってくれたのは何故ですか?」


「毘沙門天の導きにより運命を信じているからです」


「毘沙門天の導きによる運命?」


景虎は何故か悪い気はしていなかった。目の前にいる勝頼殿の中に確かに毘沙門天の姿を見た。そして景虎も毘沙門天を信じている。勝頼が毘沙門天の導きによる運命と言うのであればそれは誠のことなのだろうと思った。


「景虎様、私には叶えなくてはならない私の義があります。その義の為にも貴女の力が必要なのです」


景虎は考えていた。彼の父晴信は、父信虎を駿河に追放し、諏訪家を裏切り、信濃へも侵攻した。武田に義があるとは思っていない。


「義ですか…勝頼殿は、武田家に義はあると思っているのですか?私は到底思えませんが?」


「確かに今までの武田に義があるとは言えません。ただ私は、道のりは険しくとも、それを変えていきたいのです」


「その為に私の力を借りたいと言うことですか?私にどうしろと?」


「私の妻になって頂きたい!」


景虎は驚いた。力を借りたいと言うことに関しては理解できたが、まさかこれだけ歳が離れているだろう男性からプロポーズされるとは思っていなかったからだ。ただ身体の芯がぐっと熱くなり、胸に今まで感じたことのない熱いものが溢れてくるのを感じていた。


「しかし私は勝頼殿よりずっと年上ですよ?」


「人を好きになる気持ちに年齢は関係ありますか?運命に年齢は関係ありますか?」


「しかし私は毘沙門天にこの身を捧げた身です」


「それならば、問題ありません。何故なら私も毘沙門天ですから!2人で進めば、より強い毘沙門天のご加護を得ることもできましょう」


勝頼の背後に浮かび上がる毘沙門天を見て景虎は心を決めた。ただ、どうしても聞いておかなければならないことがあった。


「勝頼殿、其方にとっての義とはなんですか?」


「私の義とは、正義とは、ただ朝廷や幕府に忠誠を尽くすとか言うものではありません。自らの力で、全ての民が争いなく、飢えず、安心して暮らせる世の中を創り出すことです」


景虎は胸を貫くような強い衝撃を受けた。自分が考えていたのは越後安泰と朝廷や幕府を支えていこうと言うぐらいだったのだが、目の前の少年はもっと遥か高みを目指している。しかし、この少年ならば、もしかしたらそれができるのではないかと思ってしまう。


「勝頼殿の義はわかりました。しかしそれは、容易いことではありませんよ?」


「一人では難しいでしょう。でも景虎様と二人ならば必ず達成できると信じています」


そこまで言われたら、そこまで自分の事を必要としてくれる人がいたら…もはや抗う術をもつ女性はこの世にいないだろう…景虎は、全てをこの少年にかけ生涯を捧げようと心に誓った。


「勝頼殿の覚悟と、私への気持ちは私の心に響きました。共に生涯を義の為に歩んでいきましょう」


「では?景虎様」


頬を赤らめて景虎はコクリと頷くと微笑んだ。


「様はいりません。私の事は景虎とお呼び下さい」


この後、歴史は大きく変化していくことになる…

実際に結婚するのは、お互いの家中のこともあるので数年後になります。

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