白馬に乗った王子様
主人公は父晴信とかなり打ち解けており良好な親子関係になっていたす。
旅の疲労からか心労からか、俺は倒れてしまった彼女を城内に運ぶ為に笛を吹いた。
前方から蹄の音が響いてきて白馬が現れる。
「ヒヒーン」
我が愛馬ながら相変わらず鼻息が荒い…目の前に美女がいるからか?
全く誰に似たのやら…それか名前のせいかもしれない…
実は元服して以来、俺は父晴信と仲が良い。
初めて海津城に来た時は、天守閣や色々な設備をみて俺のことを物の怪の類かと疑った様だが、スキル毘沙門天で枕元に毘沙門天を立たせ、上手いこと言っておいたので、信心深い信玄は俺の有能さは毘沙門天の加護があるからだと嫌でも信じた。
晴信はそのことがあって以来、度々訪れてきては俺に戦国の世のしきたりや、領主とはなんぞや、軍略とはなんぞやを指導してくれる。
他の目的と言えば、俺が味噌から新たに開発した醤油をえらく気に入り、他にも良いものを考えよとか何か美味いものを作って食わせろ!といって俺に料理を作らせては躑躅ヶ崎に沢山のお土産を持って引き返していくのだ。
今では、この肉体のせいか、自分が子孫でその血を引くせいか実の親子になれたと思っている。
人前では、相変わらず威圧感たっぷりで恐ろしい限りだが、2人の時は軽口や冗談を言い合える仲なのである。
やはり恐るべし武田信玄!歴史に名を遺すだけあり大物で色々なことにも順応力が高い。
そんな父晴信から貰った馬がこの白馬で名を白子と言う…
全くなんて酷いネーミングセンスだ…白い馬が産まれたので白子…そのせいか気性も荒く俺以外に懐かない…そこまでは良いのだが、恥ずかしい事に名前を呼ばないと動いてくれないのだ…
俺は、景虎を白子に乗せて城を目指す。
「ハイよーしらこ!」
俺ばかりが恥ずかしい思いをするのも癪であったので、父晴信にも御礼にと覇毛と言う名をつけた馬を贈った。
勿論名前を呼ばないと言うことをきかない。
フフフフフ…噂で聞いたところによると、父晴信がハイよーハゲと言うと、反応してしまう家臣がいるとかいないとか?
まあ実際の晴信は禿げてなく、有名な肖像画は畠山さん?のようで実際に反応するのは髪が寂しい家臣が自分の事を呼ばれたかと思ってしまうようだ。
俺は白子に景虎を乗せて城に向かっている…そう正に白馬に乗った王子様!
やばいな!このシチュエーションは女子なら誰でもキュン死してしまう奴だ!
中身は、白馬に乗ったおじ様だがね…
いや、この時代だから白馬に乗ったお殿様?
なんか、暴れん坊のあの人のイメージにしかならなくなってきたので、四郎は考えるのを辞めた。
何故、笛を吹くと愛馬が飛んでくるかと言えば、白子には常に専門の配下を付けており笛の合図で放ってもらうからだ。
海津城に着くと、昌景と幸隆は絶句した後、幸隆はジト目で俺のことを眺めており、昌景に至っては眉間に手を当てて溜め息をつく有り様だ。
「若…以前よりませているとは思っておりましたが年上の女子を手篭めにしてくるとは…」
幸隆は此方に目を合わせない…
「まて!昌景誤解だ!とにかく部屋に布団を用意してくれ!」
「なんと昼間から!うううう、やはり儂は若の育て方を間違えてしまった」
「だ・か・ら誤解だ」
俺は、彼女が長尾景虎と言う事とことのしだいを説明すると、昌景はショックのあまり倒れてしまった。
なんとか景虎を布団に寝かせることができた俺は幸隆と話をしている。昌景は心労で倒れてしまったので別の部屋に寝かしている。
「この事を知っているのは、昌景、幸隆、段蔵だけだ!しばらく内密に頼む」
「はぁ…確かに事が事だけに他の者には言えませんな…」
幸隆の生え際がこの時後退したとかしないとか…
次回は少し真面目な話になるかも?です。