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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第5章関東統一編
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苦悩の若者

いつも誤字脱字ありがとうございます。

小田原城下でも一位二位を争うかと言う人気店、酒、お食事処(葵屋)にて、まだ日が高いうちから若い男二人が酒を飲んでいた。


この酒、お食事処(葵屋)は勿論風魔衆直営店であり、店の主人はあの風魔葵である。


店の設計には、武田勝頼も関わっており普通の店とは違う作りになっている。


台所の前のカウンター席、椅子とテーブルの一般席、座敷にそれぞれ小さな囲炉裏がある座敷席である。


一般席のテーブルは円卓となっており、より多くのお客が利用出来る様に工夫されている。


木造平屋建てだが、天井には手動で回るシーリングファンがついており、煙突の数も多くなっており換気は完璧だ。


従業員は背中に(魔)の文字が書かれた半被を着ており勿論全員風魔衆である。


葵屋の看板料理は、様々な肉を使った鍋や、その他の肉料理に新鮮な魚介類である。


小田原城下では、この時代に抵抗のある肉食も大大名である武田勝頼自ら推奨している為、領民達には抵抗が無いため繁盛しているのである。


鍋は特製の土鍋を使っており、一番人気は味噌で煮込んだ牡丹鍋である。


若い二人は座敷席にて、牡丹鍋をつつきながら複雑な表情をして酒を飲んでいる。


二人とも顔は幼さが残るのだが、身体つきはしっかりしており背が高い。


二人の正体は佐竹義重と真壁氏幹である。


「ここの飯と酒は美味いな」


「まことに、他の土地では食べられませんな」


酒と料理は美味いと気に入っているようで浮かない顔をしているのは別の理由のようだ。


「もう何と言うかこの小田原にいると全てが虚しくなってきたわ…」


「拙者もです」


二人は小田原城と武田勝頼を知れば知るほど全てにおいて勝ち目がないと悟ったのである。


それはある意味この二人が優秀故に、相手の凄さや強さ、恐ろしさを認めることができるのである。


義重はそれを悟り大蛇に暗殺計画の中止を命令したのだが、殿の命令以外聞くことは出来ぬと突っぱねられてしまったのだ。


仕方なく二人は大蛇達とは袂を分かれて今に至るのである。


「このままだと滅ぶであろうな?」


「拙者も同感にござる」


佐竹家が滅ぶのが目に見えている上、暗殺計画など実行したら失敗は勿論のこと余計に責める口実を与えてしまうのだ。


義重はいっそこのまま出奔してしまいたいと本気で思っている。


時代の流れが見えない父佐竹義昭やその重臣達にも失望し、愛想を尽かしていた。


しかしこの先に更に予期せぬ事態に巻き込まれてるのを二人は知らなかった…

敵の実力が理解出来るのは一流の証です。

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