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大崎玄蕃と名を変え生き延びた武田勝頼の末裔の咆哮  作者: 吉良山猫
第5章関東統一編
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白雪の鬼姫

いつも誤字脱字ありがとうございます。

小田原城内で旅の一座として知名度が上がり城に招かれる目前まで来た佐竹義重達。佐竹義重自身が最強戦力であるのだが、まだ若年であるが元服し義重の右腕になっている真壁氏幹も同行していた。


真壁氏幹は長さ二メートルにもなる木杖、(金砕棒)を手にしており若くも鬼であった。


鬼佐竹に、鬼真壁…まさに地獄の鬼達が小田原に潜んでいるのである。


しかしそんな優秀な若い鬼である二人だからこそ気が付いた事がある。


狭い領内にいる間は、父親である佐竹義昭やその親族、側近達からしか情報が入って来なかったが…小田原城下や小田原城の様子は彼等が聞いていたものとは全く話が違った。


小田原城下の繁栄は今まで見た事のない規模であり、その賑わいや活気は領内が見事に治められている事を示し、町は笑顔で溢れていた。


取り扱われる商品には今まで見た事がない者で溢れており、そこは正に都であった。


そして、小田原城を、見ると目眩がした…素人でも分かるような鉄壁の守り…十万の兵を持ってしても滅ぼす事が出来そうもない難攻不落…これに攻め寄せるなど、海外で例えるならば(ドンキ・ホーテ)と言っても過言ではない。


旅の一座を束ねているのは、大蛇と言う名のこの時代では大柄ながら細身で筋肉質で蛇の様な眼をした二十代の男であった。


策略や手回し、陰謀に長けた大蛇であったが、大局を見る力や知識能力は無く、彼は必ず今回の暗殺が成功すると確信していた。


だが大蛇は気が付いていなかった…旅の一座の女性達が既に数名拐われ風魔衆や服部半蔵の伊賀衆に入れ替わっているのを…


彼女らは暗殺者として暗殺の手口や色仕掛けの術に関しては厳しく仕込まれていたが、忍者ではない。


総合的に何でも対応でき、後の世でも日の本最強として名を残す風魔や服部に喧嘩を売るなど愚の骨頂なのである。


武田勝頼の奥方として知られる風魔葵の面白い話も勝頼や親しい身内だけに見せる素顔であり、実際忍びの界隈では葵は二つ名があった。


(白雪の鬼姫)と…勝頼が聞いてたら震え上がりそうな二つ名だ。


風魔葵はその雪の様な美しい肌で、雪の日は白い装束で雪とその身体を同化させて姿を消し、敵が命を失った時にその自らの返り血でようやくその姿を認識できると言うものである。


葵の白いその肌が相手の返り血以外で赤く染まるのは自身の愛する人である勝頼の前だけであった。


葵は勝頼の前では可愛い存在であるが、忍びの界隈ではくノ一で最強の部類であり、恐れられる存在なのである。


以前歩き巫女の頭領である望月千代女が勝頼に手を出そうとした事があったが、葵の中に得体の知れない恐ろしさを感じ身を引いた程である。


そんな最強のくノ一である葵であるが、小田原城の勝頼の自室ではやりとりがなされていた。


ドンドロドロドロドロ…シャーシャーシャーと音が聞こえてくるのである。


不気味な音に勝頼と牙が冷や汗を流しながらその音がする方を眺めてみると…


「か・つ・よ・り・さ・ま〜」


「ひぃぃぃぃ」


勝頼と牙が観た先には、小太鼓の様な物をドンドロドロと両前足で叩く網丸と…眼を座らせながら砥石でクナイを研ぐ葵、そして丸太で爪を研ぐくうであった。


「にゃ!」


あまりの迫力に牙も猫の様な唸り声をあげる…そして勝頼は咄嗟に牙の背後に回り込み盾にしたのだが、牙は可哀想に耳と尻尾が垂れ下がっている。


正に地獄絵図だ…


「勝頼様、城下で今流行の美女の一座を城にあげると耳に挟みましたが…どういう事でしょうか?」


暗い笑顔の葵の横でくうが牙を剥いて爪を出している…


勝頼と牙は真っ青になる…


勝頼は牙にすまん今度最上級の肉を食わせる…だから盾になってくれと心で叫ぶ。


牙はそれを察して諦め、勝頼の前に立ち健気に主人を守っている。


「葵…誤解だ!全て悪いのは父である信玄だ!俺は関係ない!俺は参加せぬぞ!本当だ!信じてくれ!」


葵は目を細めて勝頼に言う…「ほう…それは誠ですか?勝頼様」


「本当だとも。今回のことは父上の独断だ、相手は全て父上に任せる」


大体が事実だった為、何とか首が繋がった勝頼と牙なのであった…


勝頼と牙の主従…いや男の友情が深まったのは言うまでもない。

メリークリスマス!

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